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15.夫の本気

厄介な男に絡まれ夫がキレて…

嫌な予感は当たりお隣の一輝だった。夫と永人は面識がなくキョトンとしている。


「帰省したなら挨拶に来いよ」

「はぁ?」


挨拶もそこそこに文句を言う一輝に夫の空気が代わる。幼いながら父親の機嫌が分かる永人は、私の手を引っ張り母を呼びに行くか聞く。母より夫を遠ざけた方がいいと思い、永人に夫を実家に連れて行くようにお願いする。


「父さん。ママはお話があるから、先に海に行く準備をしよう」


普段なら息子の願いは優先する夫なのに、視線を一輝から外さず冷たい声で


「父さんはこのおじさんと話があるから、ママと行きなさい」

「!」


ヤバい!これ井鷺氏案件だ。慌てて夫の手を取り引っ張るがびくともしない。唯ならぬ雰囲気に永人が実家に走った。敵視された一輝は夫を一瞥し鼻で笑い、私に視線を向け嫌味を言い出した。


「結婚願望無いとか言って俺を振っておいて、こんな冴えない男を選ぶなんて、母親同様に見る目がないな。そんな男じゃ稼ぎ無く、生活も苦しいから帰省も出来ないんだろ」


そう言い勝手に自分を選ばす自滅した可哀想な女だと決めつけ持論を披露した。どんどん冷たくなる夫の空気。真剣にヤバい!


「香里さん。昔からこんな酷い事こいつに言われて来たの?」

「えっあ…事実じゃないし気にしないし、相手にしてないから。ほら早く用意しないと海行くんでしょ」


そう言い夫をこの場から離脱させようとしたら、夫は一輝に近づきキスしそうな位顔を寄せて何か言った。何を言ったのだろう? 見る見るうちに一輝の顔色が無くなり、腰を抜かし地面に座り込んだ。


「香里さんの優しさを勘違いするな。次そのような口を叩けば…分かるな!」


夫が最終警告をする。一輝は震えながら夫を見上げると、口を開け呆けている。


「なんだその顔は!香里如きがこんな美形と結婚するなて…お前俺に何か隠しているだろう!」


そう言い私を睨みつけた。どうやらしゃがみ込んで夫を見上げた為、夫の御尊顔がちゃんと見えたようだ。そしてそんなイケメンと結婚した私に秘密にしている武器()があると思った様だ。


『そんなもん私にあるなら、自分が知りたいわ』


そう思っていたら楠田家から一輝の父親が飛び出して来て、一輝を立ち上がらせ頭を上から押さえて一緒に謝罪した。どうやら永人から話を聞いた母が隣に連絡してくれた様だ。

本当におじさんもおばさんも常識のあるいい人なのに、何故こんなバカ息子が出来上がったのだろう。不思議でならない。

こうしてバカ息子が退場しいつもの夫に戻った。後で一輝に何を言ったのか聞いたが


『香里さんの耳が穢れる言葉だから教えない』


そう言い教えてくれなかった。

この夫の暴言?が効いたのか一輝がウチに絡む事は無くなり、その上色ボケ爺さんにウチを諦める様に説得したそうだ。後日母に聞くと


『二度とウチに関わらない様にしなければ、家を出て縁を切ると言ったらしいわ。曽孫が楽しみのあの爺さんも最後は折れて3世帯住宅は諦めた様よ』


夫のやきもちから期せずして母の悩みが解消し、有意義な帰省となった。喜ぶ母に安心したが、私は井鷺氏に報告しなければならず憂鬱になったのは言うまでもない。




お読みいただき、ありがとうございます。

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