第90話 黒船経営会議(20/6月)
(簡易人物メモ)
糸瀬貴矢: 黒船サッカークラブ 代表
矢原智一: 黒船サッカーパーク 代表
細矢悠: 黒船ターンアラウンド 代表
濱崎安郎: 南紀ウメスタSC GM
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2020年6月末。黒船幹部がサッカーパークに集合した。参加メンバーは、黒船サッカークラブから代表の糸瀬と南紀ウメスタGMの濱崎。黒船サッカーパークから代表の矢原。黒船ターンアラウンドから代表の細矢である。
打ち合わせの場所は、4月に建設されたクラブハウス内のミーティングルーム。以下は当日配られた資料と、経営会議の議事録である。
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黒船サッカークラブ
(実績報告)
リーグ戦は3節まで消化。2勝1分で紀北サッカークラブと勝ち点では並んでいるが、得失点差により現在リーグ首位。
7月より椋林翼、畑中哲也の2選手の加入が内定。同時にレンタル移籍中の真田宏太については7月末にて契約満了予定。
(今後の方向性)
8月に再開されるリーグ戦に先立ち、7月に椋林翼と畑中哲也の加入が内定。また7月にレンタル移籍中だった真田宏太との契約は満了予定。
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濱崎「まず、リーグ戦に関しては、第3節の紀北SC戦は引き分けとなりましたが、1節と2節でゴールを稼いでいましたので得失点差でリーグ首位となっています。全勝でリーグ戦を突破することつもりでやっていましたので、前半で勝ち点3を積み上げられなかったことは残念です」
細矢「この試合、濱崎さん的にはどういった見方をしているんですか?」
濱崎「先程の話と矛盾しますが、私は引き分けに持ち込めたことは評価したいです。相手は昨年の優勝チーム、アウェーゲーム、悪天候、レフェリーのジャッジもやや不利に働いたと言わざるを得ない中で、ハーフタイムに組織を修正し、2点を取って試合をタイに戻したわけですから、これが一発勝負ではないリーグ戦ということを踏まえると、十分だったと思います」
矢原「じゃあ頭の体操になるかもしれないんだけど、もしあの展開で勝とうと思ったら、何が必要だったんだろう」
濱崎「補強にも絡んでくるところですが、終盤に個の力で打開できるような攻撃的なカードがうちにあれば、逆転できる余地はあったかと思います」
糸瀬「なるほど、それが椋林くんね」
濱崎「はい、この度、個別には頭出しさせてもらっていた椋林翼と契約まで持っていくことができました。1試合最長45分の限定契約となります」
細矢「怪我の具合は大丈夫だったんですか?」
濱崎「メディカルチェックや基礎的な体力テストは全て行なってクリアしています。懸念されていたスピードも計測上は全く衰えていません。7月からチームへ合流させて、徐々にフィットさせていきます」
糸瀬「木田が言ってたけど、めちゃすごいんだって?」
濱崎「そうですね、実際に練習参加しないとなんとも言えませんが、メンタルの問題やイップスみたいなことがなければ、間違いなくキープレイヤーになると思います」
矢原「楽しみだなそりゃ」
濱崎「そういった意味では、同時に加入する畑中哲也も確実に今いる選手よりカテゴリは上の選手だと思ってもらって構いません。もちろんそれなりの給料を払うわけなので、当然かもしれませんが」
細矢「畑中は先発起用、椋林はスーパーサブみたいな感じですか?」
濱崎「監督次第ですが、イメージはそうだと思います。4バックを採用することも出てきた中でサイドの選手は圧倒的に不足していたので、良い補強だと思っています」
糸瀬「あと、真田は7月で契約が切れるってことでいい?」
濱崎「はい。本人にも確認しました。来月畑中と一緒に帰国すると思いますが、うちとの契約は来月で満了し、フリーでラーチャブリーSCに再加入する流れになるかと思います」
矢原「やっぱ、ちっともったいない感じはするよな…」
濱崎「仰る通りですが、我々のリーグカテゴリ上、やはり無理やり複数年契約を巻いて移籍金を取るみたいなことはやりにくいですね…」
糸瀬「この議論は終わってるって認識だよ。スポンサー料ももらってるわけだから。真田にはうちの宣伝頑張ってもらおう」
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黒船サッカーパーク
(実績報告)
ホテル山楽荘オープン。ホテル建設に係る工事の残代金6億円は、会長である小山修造氏からの出資金にて支払い済み。
ウォンキットグループと共同でバイオマス発電所の建設プロジェクト開始。5月に黒船サッカーパークの一部の土地をSPC宛売却。売却代金の10億円は全額SPC宛出資済み。
広報部活動開始。市役所、地域住民、自治会宛にタッピング中。
(今後の方向性)
7月から紀伊テレビにてホテルCM放送予定。7月から夏休みシーズンとなるため、稼働を確保しつつ単価を上げたいところ。
広報活動については、プロジェクトメンバーを選定の上、まずは市役所宛に社長及び担当部長にて面談予定。
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細矢「現在のホテルの予約状況はどうなってるんですか?」
矢原「wetube、ウェブメディア等への広告出稿の甲斐もあって、8月末までほぼ土日は埋まっている状態だ。ここからCMとか使って、平日の稼働をどれだけ上げられるかってところだな」
糸瀬「インフルエンサーを使ったインステやTictukの投稿もいい感じだったね」
細矢「言うて30人くらい来てもらいましたからね」
矢原「うまくいけばオープン後に雑誌の取材等を組んでくれる可能性もあるので、そのあたりの対応は進藤にやらせる」
糸瀬「OK。広報はどうなってる?」
矢原「進藤を中心にプロジェクトメンバーを仕切って、動き始めてます。大西選手のお父さんが市役所の道路交通課の課長になったらしく、来月アポ取ってるので、まずは挨拶に行ってスムーズにことが運べるように進めます」
糸瀬「ああ、覚えてるよ、懐かしいなぁ…。よろしく伝えておいてね」
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黒船ターンアラウンド
(実績報告)
wetube登録者数15,000人突破。メンバーシップ会員(有料)は405人。
不動産事業は順次リノベ後の部屋が埋まり出しており、稼働も上昇中。
パインキャピタル傘下のOEMメーカーと組んで、新商品の梅酒を開発中。
スポーツ選手管理アプリAthleMを開発中。
(今後の方向性)
梅酒開発については、冬場から発売が可能な状況で漬け込み作業中。この間で商品名や広告宣伝などマーケティングのアプローチを固める。
AthleMについては、現在アプリ審査中であり、7月には南紀ウメスタでテスト運用が開始できる見込み。
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細矢「梅酒開発については、梅は黒船食品、砂糖はウォンキットシュガー社の合作となっており、本格的に利益がとれるのは数年後になってしまいますが、半年で市場に出せるものを通常版として販売予定です」
糸瀬「ウォンキットジャパンのプラウィットと共有してる?」
細矢「してます。最短で3ヶ月で飲めるようになるらしいので、9月頃に試飲してもらって、タイでどう売るという話もしたいと思っています」
糸瀬「了解」
矢原「アプリの件はもうできるってこと? まだ2ヶ月くらいしか経ってないけど」
細矢「細かいところは濱崎さんにお任せしてしまっていて、お願いできますか?」
濱崎「はい。アプリ自体はできており、審査が通れば限定公開されます。元々のアプリをベースにアレンジしたようなものでしたので、時間はかかりませんでした。私と真弓さんが一応マネージャーアカウントとして入り、試合や練習のスケジュール更新を行います。選手にも個別のスマートフォンにアプリをダウンロードしてもらい、アカウント登録すると、個別の選手のデータや、フロントとの1対1チャットなどの機能は使えるようになります」
糸瀬「テスト結果を踏まえて修正した後、いわゆるローンチみたいなのは来年?」
濱崎「そうですね。年内ローンチして来年から使ってもらう感じにしたいなと思います」
糸瀬「了解」
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グループ業績報告
(20/04〜20/6)
売上 7,218万円
利益 1,334万円
収支 △3億1,564万円
預金残 3億9,657万円
※売上の内訳
不動産事業 : 5,630万円
黒船食品 : 769万円
その他 : 819万円
(参考: 進行期の事業計画)
売上 15億円
利益 6億円
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第1四半期は売上高7,200万円を計上。前年同期の実績が2,000万円ほどであったことを考えれば、一年で3倍に成長している。引き続き売上の柱は不動産事業であるが、その他のセグメントも確実にボリュームが出てきている。
とはいえ進行期の目標金額15億円にはまだまだ及ばず、第2四半期から利益の取り込みが図れるホテル事業に期待せざるを得ない状況。
収支については、ホテルの工事残代金やバイオマス案件への出資など、大規模なキャッシュアウトはほぼ同額の資金手当を行うことができたが、それでもクラブハウスの建設資金やセイラマンションシリーズのリノベーション費用等の出費により、赤字での着地となった。
以上。




