第75話 黒船経営会議(20/3月)②
(簡易人物メモ)
糸瀬貴矢: 黒船サッカークラブ 代表
矢原智一: 黒船サッカーパーク 代表
細矢悠: 黒船ターンアラウンド 代表
濱崎安郎: 南紀ウメスタSC GM
福島亜紗: 西野黒船食品 執行役員
森田梢: 黒船ターンアラウンド 社員
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黒船ターンアラウンド
(実績報告)
単体売上: 1.2億円
税前利益: 1.0億円
2020年2月に新設した子会社である黒船リアルエステートに既存のジム投資事業を集約。不動産事業として売上を牽引。
その他、黒船食品は目標であった売上1,000万円を達成。外部委託先も決定。4月から工場を外部に移管。西野農園にある既存の工場は新商品の試作場所として継続利用。
wetube事業に関しては登録者数9,000人、有料登録者数が250人を突破。
(今後の方向性)
不動産事業は今後も収益の柱として期待されるため、物件情報を継続的に入手できるネットワークの構築を検討。
黒船食品については、外部委託のオペレーションの変更とともに県内2つのホテルに卸す予定。新商品のアイデアも引き続き考案中。
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矢原「セイラシリーズの稼働率はどんなもんだっけ?」
森田「白浜町は無事に完工しまして、稼働率65%くらいまでは引き渡しと同時に埋められる見込みです。吹上と木国については、ともに稼働50%程度で低調ですが、現在空室部分のリノベーション作業中であるため、完了次第募集かけていきます。本当は繁忙期の3月に間に合わせたかったんですけど、さすがに無理でした」
細矢「白浜町は新築でリゾートタイプだし、無理に埋めにいくより、家賃を上げにいってもいいかもしれないね」
森田「ありがとうございます。私もそう思います。希少性はあると思いますので、単価アップ狙います」
糸瀬「キャッシュはあるし、借入もできるだろうから、今回みたいなお得な物件があったらどんどん買っていこう」
森田「はい、4月から管理スタッフも入社しますので、私は新規の営業に集中したいと思います。いま紀伊銀行と紀南信金の不動産セクターの担当者と話をしていまして、既存物件の稼働率を上げられれば、継続的に融資を受けることはできると思っています。決算もいいですし」
細矢「今売上1億くらいなので、来年で倍にはしたいですね」
糸瀬「じゃあ梅干しどうぞ」
福島「言い方! …えー、黒船食品は当初計画通り何とか初年度売上1,000万円確保しました。皆様ご協力ありがとうございました。ホテルからの引き合いはいくつか来ているのですが、生産キャパシティが追いつかずに持ってもらっていましたが、4月から外部工場で作り始めますので、ここで一気に営業かけて増やしていきたいと思っています」
細矢「順調だね、ほんと。あとは新商品だけか…」
福島「黒梅袖は正直ほんとにうまくいってる気がして、ちょっとハードル上がっちゃってるんですよね…」
矢原「単価高いやつにしろよ。梅干しなんていくら売ってもたいして儲からん」
福島「部下のやる気を削ぐ発言反対!」
矢原「部下じゃねえよ。関連会社の社長だから…あれだ、親戚のおじさんみたいなもんだ」
糸瀬「ーーーあ、なんか。松木さんが会いたがってたよ。黒船食品絡みで仕事の話したいって」
細矢「あ、そうなんですね。パインキャピタルだから東京っすよね…」
糸瀬「一応ほら、スポンサーになってもらってるから、挨拶も兼ねて行った方がいいよ。ほっしー、福島さん、東京行くよ」
細矢「ういす」
福島「出張!」
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グループ業績報告
(連結損益(19/04〜20/03))
連結売上 2.7億円
税後利益 1.3億円
連結収支 4.3億円
(資産負債(20/03末時点))
預金残高 7.1億円
選手CV 1.2億円
不動産等 62.6億円
有価証券 0.3億円
借入合計 22.5億円
(今期事業計画達成状況)
連結売上 3.0億円(93%達成)
税後利益 1.0億円(134%達成)
(来期事業計画)
連結売上 15.0億円
税後利益 6.0億円
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糸瀬「というわけで売上は僅かに計画に届かなかったものの、利益ベースでは大幅達成。オーバーアチーブとなりました。みんな改めてありがとう」
矢原「投資でお金使ってPL作ってるイメージたったんだが、現預金も増えてるな。期初は5億円じゃなかったっけ」
森田「そうです。セイラシリーズが大きかったです。11.5億円で3棟買いましたが、それに対してローン15億円つけられたので、その分キャッシュが増えてる感じですね。ただセイラは買った後、空室が出るたびにリノベのコストがかかるので、トータルではトントンくらいかと思います」
矢原「なるほど。わかりやすいな」
森田「ありがとうございます…」
福島「矢原さん、森田さんに甘くないですか? 私の時もっと厳しかったですけどぉ…」
矢原「説明の仕方も能力のひとつだ」
細矢「そろそろ新しい金融機関の開拓もしようと思ってます」
糸瀬「それぞれ残高どれくらいだっけ」
細矢「紀伊銀行は数億なんでたいしたことありませんが、紀南信金の残高は20億超えちゃってるんで、信金的にもたぶんもうエクスポージャーは限界です。すごい頑張ってくれてると思う」
矢原「和歌山の金融機関なんて他にあるか?」
細矢「もうないですね。紀北の方なら信金ありますが、エリアが違うんで」
矢原「となると、木国に支店出してる関西の銀行か、もうメガバンクだな」
糸瀬「ホテルオープンして稼働が安定したら、メガに借り換えしてもらおうか。今は開発途中だから土地代見合いみたいな感じだけど、CF出始めればどかんと評価額も上がるっしょ」
細矢「賛成です。金利も下げられるかも」
矢原「近い内に200億円の融資引っ張ろうってわけだから、いきなり新規で飛び込むのは無茶だよな。今のうちに実績作っといた方がいい。メガの中だと…」
細矢「やっぱATBC(浅野大洋銀行)じゃないですかね」
糸瀬「属性的にはそうだろうな。メガの中で一番金儲けに純粋なところだから、形式で判断しないし。ただ、とは言っても正攻法でいって引っ張れるかね…」
細矢「資金使途と返済原資が変わっちゃいますもんね。そもそもきついんだよな」
福島「どういう意味ですか?」
森田「あ、えと、銀行って融資した案件から生み出されたお金で返済して欲しいものなんですよ。例えば黒船食品でお金借りたら、黒梅袖の売上で返して欲しいんです。黒船食品で借りたものを、例えばセイラシリーズの家賃から返すとかっていうのは、銀行は好みません」
細矢「200億円をサッカースタジアムの収益で返す計画なんて描けないからね…J1に昇格する可能性なんて銀行の中で議論し始めたら永久に答えに辿り着かない。黒船グループ全体の利益で返していくっていうストーリーで稟議上げてくれるところじゃないと」
矢原「そうなると、もう政策的にトップダウンで無理やりやってもらう方法も考えといた方がいいな」
糸瀬「地域とか考えれば紀伊銀行なんだろうけも、さすがに200億円は無理だろうな。デカすぎる。シローンで数十億入ってもらうのが限界じゃないかな」
福島「シローン?」
森田「シンジケートローンのことです。複数の金融機関が同じ案件に一緒に融資することです。200億円規模の融資は1つの金融機関単独でやるというのは現実的ではありません。シローンにしてたくさんの銀行に入ってもらう形にするしかないと思います」
細矢「そういうこと。ただみんなで一緒にと言っても仕切り役、リーダーを決めるんだよ。アレンジャーとか呼んだりするんだけど。そのアレンジャーを誰にするかって話だね」
糸瀬「使えるコネとしたら、葦原銀行かな」
矢原「ーーーあ、そうか。葦原は松木さんが常務やってたから」
糸瀬「東京出張のときに聞いてみるよ。なんか一枚噛ませろとか言ってきそうだけど」
細矢「このレベルになると、一枚も二枚も噛んでもらって構わないから、通してほしいですね」
矢原「あれだな、とりあえずそういう準備はしておかなきゃならんが、どっちみち数字作らないとそもそも門前払いだよ」
糸瀬「だな。あくまでそっちが優先、金融機関営業は下準備」
細矢「うううん!」
福島「どうしたんですか、細矢さん」
細矢「いや、なんかちゃんと進んでる感じがして。一年半前にできたばかりの会社なのにさ。スタジアムの増改築は最大の目標だけど、不可能じゃないところに踏み留まってるのは凄いことだよ」
矢原「売上たったの3億だぜ」
細矢「来年15億でしょ」
糸瀬「うん、来年は売上15億円目指す。矢原頼んだ。ホテルにすべてがかかっている」
矢原「小山さん詰めておきます」
福島「会長もうお年なんだからかわいそうですよ…」
糸瀬「ーーーあ、予告通り3月に全員ボーナス出しますので、来年もみんなよろしく頼む」
福島「ありがとうございます!」
森田「ありがとうございます!」
糸瀬「ではこれにて経営会議を終わります」
つづく。




