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黒船サッカーパークへようこそ!  作者: K砂尾
シーズン1(2019)

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62/115

第60話 黒船経営会議(19/12月)

(簡易人物メモ)

糸瀬貴矢: 黒船サッカークラブ 代表

矢原智一: 黒船サッカーパーク 代表

細矢悠: 黒船ターンアラウンド 代表

真弓一平: 黒船サッカークラブ 管理部長


ーーーーーーーーーー

 2019年12月末。黒船幹部がサッカーパークに集合した。参加メンバーは、黒船サッカークラブから代表の糸瀬と管理部長の真弓。黒船サッカーパークからは代表の矢原。黒船ターンアラウンドからは代表の細矢である。


 打ち合わせの場所は、いつものコンテナハウス。以下は当日配られた資料と、経営会議の議事録である。



・・・・・・・・・・

黒船サッカークラブ


(実績報告)

 リーグ戦は10戦10勝で県1部リーグへの昇格が決定、チームとして今季の目標は達成した。

 また真田宏太との間でプロ契約を締結するとともに、3月までタイリーグ2のラーチャブリーSCへの期限付移籍が決定した。

 来季のシーズンに向けて、既存スポンサーであるトロングジムと田辺組より新たに2,000万円ずつのスポンサー料を獲得。


(今後の方向性)

 1月にサポーターズミーティングの開催を決定。改めて今季の総括や来期の体制などを発表する予定。

 選手補強については継続的に実施しており、来年3月に卒業する高校生を中心に複数名の獲得は期待できる。

 また昨年同様、2月に関西1部のシュガーダ和歌山とのプレシーズンマッチが決定。テストマッチとして活用したい。

 スポンサーについては今回事業計画達成に向けて経営陣を中心に営業活動中。


・・・・・・・・・・



細矢「まずは真弓さん、1部リーグ昇格おめでとうございます」


真弓「ありがとうございます。私は何もしていませんが…とにかくよかったです。詳細は来月のサポーターズミーティングで諸々発表したいと思いますが、来年は厳しい戦いになりますので、準備をしっかりやりたいと思います」


細矢「選手補強的には、やっぱり真田くんの抜けた穴をどう埋めるかになりますか?」


真弓「直接的にはそうなると思います。ただなかなかあのレベルの選手を一本釣りしてくるのは簡単ではないので、まずは若手選手を複数取って、チーム全体の総合力を底上げする方向になります」


糸瀬「実際、2部リーグのレベルだと真田がいなくなった影響が分かりにくいから、また2月にシェガーダとやることになったので、そこでチェックする感じになりそう」


細矢「あ、またセットしてくれたんですよね。シェガーダはJFL上がれなかったんですか?」


真弓「はい、上がれませんでした。今年はJFLチームとの入れ替え戦に出るための地域チャンピオンズリーグ(地域CL)で敗退しており、足踏みしている感じです。地域CLは短期決戦かつトーナメント要素もあるので、正直運の要素も出てきますね…」


矢原「やっぱトーナメントの一発勝負は難しいよなぁ」


糸瀬「他人事じゃないよ。俺らも来年はそれやんなきゃいけないんだから」


真弓「糸瀬さんの仰る通りです。来季は1部リーグを首位で終えても、その後の関西府県CLを突破しなければ昇格できません」


矢原「存じ上げております」


細矢「選手補強は今まで以上に大事ですね」


糸瀬「そして先立つものとしてお金ということだけど、スポンサーについてはまず、今シーズンに続いてトロングジムと田辺組からスポンサー支援を浮かれたのはありがたい。しかも金額は倍増。まだ交渉中の先はあるので、ユニフォーム作成のギリギリまで粘りたいと思う」


(ここからオフレコ)

細矢「どこか候補の先はあるんですか?」


糸瀬「ホテル案件で接点を持った紀南信金とウォンキットグループには打診済み、それからこれは向こうから連絡あったんだけど、パインキャピタル(第2話参照)からも支援したいって」


細矢「パインキャピタル、松木さん?」


糸瀬「ああ、なんか調子いいから乗っかろうってことかもしれないけど。もらえるものはもらっておこうと思う」


矢原「絶対なんか言ってくるでしょ」


糸瀬「まぁそれはスポンサー関係なく言ってくるときは言ってくるからさ」

(ここまでオフレコ)



・・・・・・・・・・

黒船サッカーパーク


(実績報告)

 オフシーズンのイベント招致は失敗。

 黒船ホテルマネジメントは順調に工期を進めており、プレオープン含めてスケジュール通りで動いている。

 

(今後の方向性)

 来年は確実にシーズンオフの稼働を上げるために冬場のライブイベントの営業を強化する予定。

 ホテルに関しては徐々にソフト面での準備を始めるために規程やマニュアルの整備を始めている。並行して、ホテルの稼働によって、黒船サッカーパーク自体に人が集まるので、広告や看板の設置による収益確保も狙いたい。

 また、ウォンキットグループとの共同事業の可能性について、ウォンキットジャパンの代表と協議中。

 

・・・・・・・・・・



細矢「ライブイベントのプロ進藤さんがいても取れなかったんですね」


矢原「正直これは俺が悪かった。ライブの場所っていうのはかなり前倒しで場所を押さえるらしくて、そこの見立てが甘かったんだ。初動が遅かった。来年はなんとか確保できるように動きます」


糸瀬「了解。あと看板についてもそうだけど、あくまで来年はホテルのオープン自体が最重要なので、そっち優先で構わないからな」


矢原「わかりました」


細矢「最近もう流行りじゃないかもしれないけど、なにかメディアとかも使って盛り上げたいですよね」


矢原「そこは福島執行役にお願いしてるんだよな」


細矢「あ、そうでしたか。福島執行役なら安心ですね。wetubeチャンネルだけじゃなくて、旅行メディアみたいなところと組んでプロモーションやった方が良いとは思うので」


糸瀬「それと、さっき矢原が触れてくれたけど、ウォンキットグループとなにか一緒にビジネスできないかっていうのを考えてる(第54話参照)」


細矢「プラウィットさんでしたっけ、ウォンキットジャパン責任者の」


糸瀬「いまウォンキットの日本向け事業はホテルだけなんだたけど、もっと多角化したいらしいよ」


細矢「なんでうちとやりたいんですか?」


糸瀬「ホテルの件で、俺らがウォンキットを助けたっていう整理になってるっぽい。ほら、結果として彼らに売ることになったじゃない?」


矢原「ああ…なるほど。確かに、そういう見方もできますね」


細矢「まさに黒船じゃないですか」


糸瀬「確かに。初めて黒船らしいことしたな。まぁ、ちょっとこっちも本気で考えてるから、なんかまとまりそうになったら共有するよ」



・・・・・・・・・・

黒船ターンアラウンド


(実績報告)

 wetubeチャンネル登録者は6,000人を突破。広告収入は月次10万円。

 黒船食品は福島を執行役員として任命し、全面的に事業自体を任せることにした。直近の月次売上高は130万円。外注先の工場は引き続き選定中。


(今後の方向性)

 wetubeの有料チャンネルの準備が整った。年明けからはこの動画のアップに合わせて月額1,000円でサブスク開始予定。

 黒梅袖の製造に関しては、外注先は絞られてきたので、来春には完全に移行する形を目指しつつ、次の商品開発に着手するとのこと。


・・・・・・・・・・



糸瀬「次の商品開発?」


細矢「はい。黒梅袖は順調な出だしになったので、外部委託での製造が始まり次第、販売ルートを開拓してある程度の規模までは増やせると思うんですが、いかんせんひとつひとつの値段が安いので、儲からないんですよね」


矢原「食品販売はうちに限らずどこもそうだよなぁ…」


細矢「なので単価の取れる新しい商品を作り出すのが来期の目標になると思います。できれば次の梅の収穫時期から出していけるような」


糸瀬「なるほど。やっぱ食品大変だなぁ。そのリソースも確保しなきゃいけないんだろ」


細矢「4月から新人くんが入ってきますので、少しでも福島さんの負担が減るといいんですけど。それに外部委託するということは今の製造人員の手が空くということでもあるので、彼らにも協力してもらって、なんとか形にしたいですね」



・・・・・・・・・・

グループ業績報告


(19/04〜19/12)

売上 126,714,980円

利益  67,362,313円

収支  17,362,313円

グループ預金残 296,172,313円


※売上の内訳

トロングジム : 69,000,000円

スポンサー収入: 40,000,000円

黒船食品   : 7,700,000円

スタジアム関連: 5,885,000円

グッズ売上  : 3,430,000円

wetube    : 699,980円


(参考: 進行期の事業計画)

売上 300,000,000円

利益 100,000,000円

・・・・・・・・・・


 売上高は1億円大台を突破。スポンサー収入が入ってきたところが大きい。セグメント毎の売上については引き続きトロングジムの賃貸収入が牽引しているが、黒船食品の売上が伸びてきており、スタジアム関連収入を追い抜いた。コストはスタジアムの維持費用と人件費が主な支出項目であるもコントロールはされており、予定通り来年3月のボーナス支給は十分に可能と考える。増収増益での着地。


 収支については、今期は引き続き黒字にて進捗。スタジアム関連の開発がひと段落したことと、直近の投資は全て銀行融資をつけられていることなどが要因として挙げられる。グループの現預金残高は約3億円。作業開始当初は5億円でスタートしたため、まだトータルでは赤字の状態ではあるが、経営陣からの追加資金の注入なしでも事業運営に支障のないレベルでの資金繰りは維持できているものと考えられる。



細矢「いよいよあと3ヶ月残すだけになりましたね」


糸瀬「スポンサーで一気に行くしかないな。目標1億円で探してくるわ」


(ここからオフレコ)

細矢「パインキャピタルと紀南信金、ウォンキットグループ、なんかいけそうではありますよね」


矢原「紀伊銀行はいけないかな?」


糸瀬「頭取に連絡してみるか? でも紀南信金がスポンサーに入ると、出しにくいかもしれんな。一応ライバルでしょ?」


細矢「いや、そこは大丈夫じゃないですか? 業態も一応は違うし、規模なんてまるっきり違いますよ」


糸瀬「確かに。やってみる価値はありそう」


細矢「お願いします。一社2,500万円はハードル高いですけど」


糸瀬「了解」





 

以上。

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