第41話 黒船経営会議(19/6月)
(簡易人物メモ)
糸瀬貴矢(14): 黒船SC 代表
矢原智一(11): 黒船SP 代表
細矢悠(14): 黒船TA 代表
真弓一平(8): 黒船SC 管理部長
福島亜紗(9): 西野黒船食品 統括部長
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2019年6月末。黒船幹部がサッカーパークに集合した。参加メンバーは、黒船サッカークラブから代表の糸瀬と管理部長の真弓。黒船サッカーパークからは代表の矢原。黒船ターンアラウンドからは代表の細矢と、西野黒船食品に出向中の福島である。
打ち合わせの場所は、いつものようにコンテナハウス。以下は当日配られた資料と、経営会議の議事録である。
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黒船サッカークラブ
(実績報告)
県リーグは2戦2勝と好調な滑り出し。5月に木国高校から三瀬学人選手を獲得。紆余曲折あったが、想定よりも早くチームにはフィットしており、2部リーグ突破に向けて不安要素はない。
今月から開催されている黒船カップに関しても、県リーグ1部相手に2勝をあげて決勝進出。格上の相手との対戦で自分たちの立ち位置を知る意味でも良い経験になっていると思われる。
(今後の方向性)
まずは7月に黒船カップのタイトルを取ること。データ収集班の追加分析と、相手チームである伊勢瑞穂FCの対策を徹底する。
8月から開始されるリーグ戦については特に心配していないが、黒船カップとの対戦で1部リーグのチームとは僅差の戦いになっていることから、2年後確実に関西リーグへ上がるために選手の補強は積極的に行いたい。場合によっては年俸の支払を含めて金銭の交渉も選択肢に入れるべく、契約書の整備も並行する。
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細矢「年俸ですか、ようやくサッカークラブっぽくなってきましたね」
真弓「関西リーグに所属する選手は給料をもらっている場合が多いです。1部になれば元Jリーガーの選手もいますから、複数年契約で移籍金の話もあります。うちのターゲットは関西リーグレベルなので、そろそろお金も絡んでくるということです」
矢原「金額感はどれくらいのイメージなんだ?」
真弓「月5万円とか10万円とか、そのあたりから始めたいです。県リーグ2部のチームとしては、それでも珍しいと思います」
糸瀬「真弓さん、その程度であればもちろん問題ないよ。交渉に使ってください」
真弓「ありがとうございます!」
細矢「どんな選手を狙っていくんですか?」
真弓「三瀬くんの加入で中盤は少し分厚くなりましたが、やはりもうひとり真ん中の選手は欲しいです。あとはDFですね。監督の下村ももう37歳になりますから、黒船カップでも少し話題に上がりましたが、1対1に強いDFは獲得したいです。それからもし三瀬くんを生かすのであれば、左サイドでも個の力で突破できるような選手がいれば、より攻撃のオプションは増えることになります」
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黒船サッカーパーク
(実績報告)
第二練習場の人工芝化工事が7月には完了。これで三面芝生のサッカー場が確保できるようになるため、練習以外の用途でも使いやすくなった。サッカー関連の設備はこれでひと段落する。
黒船カップの運営は今のところ大きな問題なくこなせている。
それから今月末に黒船サッカーパークの子会社として、新会社「黒船ホテルマネジメント」を設立する。ホテル海楽荘の元オーナー、小山修造氏との共同出資の予定であり、来月から本格的にサッカーパーク内でのホテル建設に向けた準備を田辺組と協議する予定。
(今後の方向性)
黒船カップの決勝はサッカーパークとして初めてチケットを購入して見にきてもらう形となるので、準備は念入りに行いたい。
その後はとりあえずホテル建設に注力する予定。1年後の稼働開始を目指す。
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細矢「ホテル建設の資金はどれくらいで、その資金手当について教えて頂けますか?」
矢原「ホテル建設資金は12億円前後を予定している。森田主導で現在収支計画を策定中だが、あまり大掛かりなホテルにしてしまうと開発の時間がかかったり、オペレーションのリスクも発生するため、既存のホテル海楽荘よりも小規模なものを考えている。資金手当は…糸瀬さんどうですか?」
糸瀬「紀南信金の理事長からは融資の確約をもらってるよ。融資金額はまさにその計画次第にはなると思うけど、半分くらいは出るんじゃないかな」
矢原「良いですね。半分出るなら、修造氏の出資金と合わせて黒船側はほぼ手出しなしで開発できることになる」
細矢「ホテルの売りというか、コンセプトみたいなものはいかがですか?」
矢原「シニア向けに温浴施設の充実と、子供向けにプレイパークの併設を予定している。木国も広義では観光地だが、代名詞的な名所があるわけじゃないからな。将来はサッカースタジアムが名所になるのかもしれないが、現段階では難しい。そうなると滞在すること自体で楽しんでもらう工夫がいる、ってのが現場からの意見だ」
細矢「うん、その通りな気がしますね」
糸瀬「なんか、お祭りみたいな雰囲気にできない?」
矢原「お祭り?」
糸瀬「シニアと子供がそれぞれ楽しめる空間であることは良いと思うけど、一緒になって遊べるところが欲しい。お祭りって子供も大人も楽しめるじゃん」
細矢「あ、屋台村みたいなの作るのはどうですか? 食べ物も遊戯もごっちゃになったようなやつ」
糸瀬「おおー、そういうやつよ」
矢原「検討します」
真弓「あ、ちなみに練習場については、木国JSCもスクールとして使ってもらえることになりました」
矢原「真弓さんありがとう。このへんは地道に増やしていくしかないな」
糸瀬「了解。サッカースクールとか、うちで検討してもいいけどな」
細矢「将来的には必ずやりたいですよね。才能の発掘場所になるかもしれないし。タイミングかなあ」
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黒船ターンアラウンド
(実績報告)
wetube事業は池田明里のアンバサダー就任効果により登録者数は4,000人を突破。月次の再生回数も10万回を超えており、少額ながら収益発生中。
トロングジムの賃料収入は安定。3件目の開発も順調に進んでおり、8月から稼働開始の予定。3件目のPJ資金についても紀伊銀行からの追加融資にて対応済み。
出資先の西野農園について今年の梅収穫高は順調との報告を受けている。また西野黒船食品は、トロングジムと共同開発したプロテインが販売を開始。さらに単独での商品第1号となる「黒梅袖」の生産が始まっており、7月からECメインで販売を予定。
(今後の方向性)
黒梅袖のマーケティングに注力予定。ホテル海楽荘の小山修治社長とは商談済みであり、ホテルに商品を置いてもらうことは確定している。その他wetubeでも宣伝動画を作成済みである他、各スポンサーや紀南信金とも折衝中。
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矢原「黒梅袖?の生産量はどれくらいなんだ?」
細矢「大と小で2種類作るつもりですが、一旦それぞれ500個ずつ。売上で言うと、100万円強の想定です」
矢原「了解。食べたけど、美味かった」
福島「ありがとうございます!」
糸瀬「ほっしー、福島さん。とりあえずはお疲れ様。よくここまで持ってこれたな。結果的に梅の収穫時期にもギリギリ間に合わせてもらってありがとう。パッケージ含めて高級感があるので、経営サイドでもトップダウンで営業して販路の拡大に努めよう」
細矢「プロテインと合わせて今年1,000万円の売上は目指したいと考えています。これ以上となると、現状の生産キャパでは追いつかないため、外部工場の探索も並行して進める予定です」
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グループ業績報告
(19/04〜19/06)
売上 20,106,610円
利益 4,848,943円
収支 ▲45,151,057円
(参考: 進行期の事業計画)
売上 300,000,000円
利益 100,000,000円
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まず売上の内訳として、トロングジムの賃料収入が18百万円と大半を占めている状況。次に費用については、メインスタジアムの芝メンテナンス費用が大きいが、社員の採用に伴う人件費の増加もあり。利益としては前期に引き続き黒字。
収支については一部トロングジムの追加の開発については借入調達できたものの、第二練習場の人工芝工事の投資が主な要因として、40百万円強の赤字となった。
細矢「なかなか規模が出ないですね…事業計画の売上3億円きついな」
矢原「まだ初めて一年もたってないぜ」
糸瀬「ホテルが稼働すれば一気にボリュームは出てくるだろうけど、今年の数字には入れられないから、ほっしー。Seesaw手が離れたから、新しいやつ見つけてきて」
細矢「ういす」
以上。




