第10話 黒船経営会議(18/12月)
(簡易人物メモ)
糸瀬貴矢(6): 黒船サッカークラブ 代表
矢原智一(4): 黒船サッカーパーク 代表
細矢悠(4): 黒船ターンアラウンド 代表
真弓一平(3): 黒船サッカークラブ 管理部長
村上(初): 田辺組 黒船事業部 部長
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2018年の年末オブ年末、12月30日。黒船の幹部が朝から黒船サッカーパークに集合していた。四半期ごとに行われる経営会議が今回に限ってはイレギュラーな日程となった。
参加メンバーは、黒船サッカークラブから代表の糸瀬と管理部長の真弓。黒船サッカーパークからは代表の矢原。黒船ターンアラウンドからは代表の細矢。そしてオブザーバーとして、田辺和善専務の計らいで発足した田辺組黒船事業部の村上部長である。
打ち合わせの場所は、田辺組から先日届いた移動式コンテナハウスてあった。ムービングハウスと呼ばれるそれは、災害対応の応急施設として用いられることが多いそうだ。見た目はただのでかい四角い箱だが、水道、電気もすべて使える優れものである。なお、田辺組の計らいでムービングハウスは漆黒にカラーリングが施されていた。
以下は当日配られた資料と、経営会議の議事録である。
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黒船サッカークラブ
(実績報告)
和歌山県サッカー協会宛に南紀ウメスタSCのリーグ申請済み。正式に来季の県リーグ2部への参戦が確定した。
またトロングジムからスポンサー料1,000万円獲得の上、選手の体調管理を担当する専属トレーナーを確保。
(今後の方向性)
来季2部リーグを勝ち上がるための戦力補強が最重要課題である。来年4月に新社会人となる高校生、大学生の進路決定に合わせた形でセレクションを実施。即戦力の確保に努めたい。
また手続面においてはメインスポンサーの獲得に合わせてチームのエンブレムやユニフォームの作成を近々で仕上げる必要あり。
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真弓「セレクションについては、先日アップされたwetubeの動画にて告知済みです。うちのターゲットにするレベルの選手はまだ進路を決めきっていないでしょうから、タイミングは良いかと思います」
糸瀬「具体的な補強ポイントはあるの?」
真弓「えー、すべてと言いたいところですが、最低限ゴールキーパー(GK)、インサイドハーフ(IH)、フォワード(FW)が欲しいです」
下村「自分で言うのもなんですが、うちは最終ラインのセンターバック(CB)がしっかりしているので、三部の戦いではあまり目立ちませんでしたが、やはり一番後ろからコーチングできるGKは優先して確保したいです。またうちは得点力がないので、カウンターから一発で決めてくれるFWは必須ですし、守備から攻撃へ転じる際にボールを捌けるIHも、という感じですね」
細矢「セレクション以外でスカウトとかはしないんですか?」
真弓「もちろんやっています。GKとFWは候補となる選手がいて、すでに声を掛けていますが、いずれにしてもセレクションに参加してもらってから最終決定する流れとしています」
糸瀬「了解。年明け楽しみだね」
真弓「またユニフォームについては、ちょっとまだ手が回っていないです。もちろん時間をかけてしっかりやりたいのですが」
細矢「あ、ユニフォームは福島さんに任せようかと思ってるんですよ」
糸瀬「福島さん?」
細矢「動画作ってくれた人ですよ。メディアの方なんで、デザインとか詳しい人も知ってそうだから。どうせだったら地元の誰かに任せたくないですか?」
真弓「はい、こちらは特にそれでも構いませんが」
糸瀬「ほっしー、それで進めて」
細矢「わかりました」
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黒船サッカーパーク
(実績報告)
特になし。第2練習場の開発はまもなく工事完了の見込み。スタジアム横の有料駐車場は2月には完了すると思います。
(今後の方向性)
第2練習場が完工次第、第1練習場の人工芝化工事の着手に向けて田辺組と打ち合わせ中。ベースの設備を整えた後、収益性確保の施策を立案予定。
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矢原「村上さん、経営会議へのご参加ありがとうございます。立て続けに色々お願いして申し訳ないです」
村上「とんでもないです。むしろこちらの人手不足で練習場の工事を同時に進められず申し訳ありません。あ、申し遅れましたが、田辺組の村上と申します」
矢原「ふたつの練習場同時に作ったらチームの練習する場所なくなっちゃうんで、この順番で大丈夫ですよ。ありがとうございます」
糸瀬「駐車場は何台?」
矢原「1,000台にしました。J1のスタジアム基準で調べると2,000台を確保しているチームが多いですが、駐車場もこの規模になると結構費用がバカにならなくて。一旦は1,000台。それでも正直相当確保してる方だと思います」
糸瀬「真弓さん。1,000台ってどれくらい埋められるもの?」
真弓「JFLからJ3への昇格要件として平均入場者数2,000人という数字が定められています。ですので、JFLに上がるタイミングでは、それくらいは埋まる形にしないと先が続かないかと」
糸瀬「なるほどね。そうすると、やっぱその一歩手前の関西リーグに上がるところでは埋めたいね」
細矢「1,000台駐車できて有料なら結構お金取れそうですよね。料金設定はどうするんですか?」
矢原「それ相談しようと思ってたんすよね。時間制の場合が多いみたいですが、マンションとかと同じで高くて停めてくれないくらいなら安くして埋めたくなる」
糸瀬「同感。とりあえず一律500円とかにしちゃおうぜ。埋まってから料金アップしつつ、駐車場の追加開発を考えよう」
矢原「了解」
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黒船ターンアラウンド
(実績報告)
トロングジムの開発工事が進捗中。3月には完工する予定であるため、来季はトロングジムからの賃料収入が収益として計上される見込み。
またwetubeの公式チャンネルを開設した。
(今後の方向性)
wetube事業については早期の収益化を目指して、まずはコストをかけて登録者1,000人を目指す。
その他ソーシングルートを確保して、収益源となる事業やアセットの探索に注力予定。
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細矢「ジムの月額賃料は月次で合計600万円。もちろん1億投資しているわけではありますが、2年で元取れるわけですから、矢原さんマジでファインプレイだと思います。こういうの増やしていきたいっすね」
糸瀬「いま投資のお金、手金でやってるんでしょ? 銀行行って借りてこよう。会社自体は創業から1年しか経ってないから苦しいけど、ジムのクレジット使えるからいけるんじゃない?」
細矢「あー、わかりました。そこで追加の案件とか取れれば、もっと儲けられるかもしれないっすもんね」
矢原「結構ビジネスライクな社長だったんで、しばらくモニタリングしてみて良かったら、買ってもいいかなと思うね」
糸瀬「あー、なるほど、買収かぁ。ただ俺らのミッション的にあんまりM&Aはしたくないんだよなぁ。地元から仕事取ることになっちゃうでしょ」
矢原「まぁ、それはそうなりますけど、手段を選んでいる余裕なくないですか。金作らないと」
細矢「そんなイチかゼロかで考えなくてもよくないですか。間を取って経営権は渡して金だけもらうとか、方法はあるわけですし」
糸瀬「そこはおいおい考えよう。でもおいしいビジネスなのは分かった。wetubeのほうは?」
細矢「この前作ったばかりなので、なにも…。とりあえず登録者数1,000人いかないと収益化できないので、みなさん登録してくださいね」
矢原「どんな動画を上げるん?」
細矢「えーと全部。サッカーチームに限定したチャンネルではなくて黒船全体なので、サッカー以外の我々のビジネスも動画にできます。第二弾は先程のトロングジムの代表呼んで、そっちからの流入も狙おうかなと。あ、もちろんセレクションの動画も撮りますよ」
糸瀬「動画作成のコストは?」
細矢「今はジモットわかやまさんの撮影班に外注して、一本10万円でやってもらってます。調べましたが、正直これが相場ですね」
糸瀬「なるほど。10本で100万円ってことでしょ? これできれば内製化したいね」
細矢「検討します」
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連結の業績報告(2018/11-12)
売上10,000,000円
利益6,450,000円
収支▲3,208,550,000円
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糸瀬「えー、まとめると、とりあえず最初は投資期間なので、赤字は仕方ない。3月に決算変更するつもりなので、むしろ決算数値的にはバンバン金使ってもらって、来期2020/3期の飛躍に備えよう。以上、解散!」
つづく




