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黒船サッカーパークへようこそ!  作者: K砂尾
シーズン2(2020)

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第102話 黒船経営会議(20/9月)

(簡易人物メモ)

糸瀬貴矢: 黒船サッカークラブ 代表

矢原智一: 黒船サッカーパーク 代表

細矢悠: 黒船ターンアラウンド 代表

濱崎安郎: 南紀ウメスタSC GM

森田梢: 黒船リアルエステート 執行役員


ーーーーーーーーーー

 2020年9月末。黒船幹部がサッカーパークに集合した。参加メンバーは、黒船サッカークラブから代表の糸瀬と南紀ウメスタGMの濱崎。黒船サッカーパークから代表の矢原。黒船ターンアラウンドから代表の細矢、そして子会社黒船リアルエステートの執行役員森田である。


 打ち合わせの場所は、南紀ウメスタSCクラブハウス内のミーティングルーム。以下は当日配られた資料と、経営会議の議事録である。



・・・・・・・・・・

黒船サッカークラブ


(実績報告)

 リーグ戦は7節まで消化。6勝1分、勝ち点19にて単独首位。次節ホームの紀北サッカークラブ戦で勝利すればリーグ戦2位以上が確定し、関西リーグ昇格に向けて関西府県CLへの出場が決まる。


(今後の方向性)

 まずは次節の試合に集中し、その後関西府県CL出場チームのデータ収集を開始。


・・・・・・・・・・



濱崎「シーズン後半に入って、途中加入の選手もチームにフィットしてきました。次節はアウェイで唯一勝ち点3を取れなかった紀北サッカークラブとの試合ですが、必ず勝ちます」


細矢「おお…! 珍しいですね、強気な」


矢原「次の試合勝てば、関西府県CL確定?」


濱崎「はい、もう少し言えば、紀北サッカークラブ戦以降の9節、10節で当たるのは下位のチームですので、次勝てば1位はほぼ確実と考えています」


糸瀬「1位で出場する意味はあるんだっけ」


濱崎「あります。一次ラウンドは6府県から12チームが3つに分かれて総当たり戦を行いますが、各県の1位チームは分散しますので、1位で終わった方が強豪と当たりにくくなります」


細矢「なるほどですね。逆に2位で進出したら1位チーム2つとやらなきないけなくなるってことだ」


濱崎「ご理解の通りです」


糸瀬「了解。アローくん頼んだ」


濱崎「はい」



・・・・・・・・・・

黒船サッカーパーク


(実績報告)

 ホテル山楽荘稼働開始。3ヶ月経過して平均稼動率88%で繁忙期を消化。

 バス停プロジェクトについては市役所及びバス会社宛事前相談済み。

 

(今後の方向性)

 ホテルについてはここからが勝負所。引き続きテレビCMの継続放送や、インフルエンサーを駆使したマーケティングに加えて、季節のイベントをホテルでも開催予定。

 バス停に関しては、関西リーグ昇格と同時に町内会への根回しを開始予定。

 

・・・・・・・・・・



糸瀬「まずは無事にオープン、そしてスタートダッシュ本当におめでとう。よくやった、ほんとに!」


矢原「ありがとうございます。会長たちにも直接言ってあげてください」


細矢「いや、本当にお疲れ様でした。ほぼそう想定通りの数字じゃないですか?」


矢原「もう一息いきたかったけど及第点という感じ。口コミも悪くない。サービスが強いオペレーターだと、こういうとこは助かるな」


糸瀬「9月が下がってるのは季節性?」


矢原「そうですね。8月までが繁忙期で、9月はなんとか80%確保できました。これを翌月以降の閑散期でも続けられたら、かなり数字は伸びるかと思います」


糸瀬「マーケティングは継続するんだよね?」


矢原「テレビCMはやります。インフルエンサーはちょっとピックアップして、ある程度露出の多い人を使うかどうか検討中。並行してホテル側で季節のイベント企画を従業員のみんなからアイデア出してもらっています」


糸瀬「了解。バス停の件はどうなってる?」


矢原「市役所には挨拶行きまして、予想以上に協力してくれそうです。市役所に紹介してもらってバス会社ーーー紀州バスの社長にも挨拶行きましたが、こっちは元々黒船のイベントやアウェーゲームにサポーター乗せて行く時にチャーターしてますんで、関係は良好です」


糸瀬「つまり後は町内会を残すのみってことか」


矢原「関西リーグへの昇格が決まり次第、動く予定です」



・・・・・・・・・・

黒船ターンアラウンド


(実績報告)

 wetube登録者数20,000人突破。メンバーシップ会員(有料)は419人。

 不動産事業は南海アーバンコーポレーション社から県内のマンション3棟を取得し、売上増加。

 食品事業は、新商品の梅酒は、パインキャピタル及びウォンキットグループと共同にて開発しており、年明けから販売開始予定。

 Athlemは12月に補助金が入金見込み。来月アプリリリース。


(今後の方向性)

 引き続き不動産事業を伸ばす意味でも南海アーバン社はじめとしてパートナーを増やしていきたい。

 Athlemはマーケティング策を検討中。


・・・・・・・・・・



森田「8月に南海アーバンコーポレーションという上場企業から3棟マンションを追加で購入しました。本町に1件と、橋本に2件。総額21億円の内、20億円は紀伊銀行から借入しています。元々紀伊銀行の法人部長からの紹介でしたので、融資はスムーズでした」


糸瀬「物件の評価額はどれくらいなの?」


森田「23億円です。既存物件同様に空室部分はリノベかけて賃料上げに行きますので、評価はもう少し伸びると思いますが…」


細矢「初回の物件はスペシャルシチュエーションでお得に買えましたが、今回相手はプロなんで、こんなもんだと思いますよ。そこまで安いってわけではないですが、これで毎月1,500万円家賃入ってくるならアリだなと思って、もう買いました」


糸瀬「うん、全然いいと思う。上場企業なら他にも物件ありそうじゃない?」


森田「あると思います。いま話してるのは和歌山支店長ですが、大阪本社まで挨拶行くことも考えています」


糸瀬「分かった。必要があれば同席するから、森田さんに任せるよ」


森田「ありがとうございます!」


濱崎「それから、アプリ開発事業なんですが、ウメスタでのテストは概ね問題なかったので、本格リリースに向けて準備を始めます」


細矢「マーケティングですね、宣伝の仕方をちょっと考えます。あ、それから実はこれITなんとか補助金ってのに採択されてて、12月頃になるかと思いますが。700万円くらいお金もらえます」


糸瀬「知らなかったの?」


細矢「いやいや、小渕さん(アスリム社の社長)が教えてくれなかったらわかんないですよ、がっつりDDしてるわけじゃないんですから。でも逆に泡銭みたいなもんじゃないですか、認識なかったから。だから、もう700万円まんま使って大規模に宣伝しようかなと」


糸瀬「了解、その考え方でいいんじゃない?」


細矢「ういす」



・・・・・・・・・・

グループ業績報告


(20/04〜20/9)

売上  4.1億円

利益  1.5億円

収支 △4.0億円

預金残 3.1億円


※売上の内訳

ホテル事業 : 2.3億円

不動産事業 : 1.3億円

その他   : 0.5億円


(参考: 進行期の事業計画)

売上 15億円

利益  6億円


・・・・・・・・・・



 半期が終わって売上高は4.1億円と大幅な増収増益で着地。売上の内訳を見ての通り、追加物件の取得で不動産事業が伸びていることはもちろんだが、それ以上にホテル事業が収益を牽引。


 キャッシュフローは、投資先行によって第1四半期に続いて赤字の状況ではあるが、手元資金にはまだ余裕があるため、特段問題ないものと考える。


 事業計画の達成、売上高15億円が見えてきた。また、この半期で紀伊テレビ、紀州バス、南海アーバンコーポレーションなど、地元企業や大企業との接点が生まれたので、関西リーグ昇格後はスポンサー探しに注力する予定。


 

以上。

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