義眼の瞳 「連載作品」第一章
後ろから近づく足音――気づけなかった。
振り返ると、彼女の左の瞳が、かすかに光っていた。
真紅の義眼。そこから、一筋の涙がこぼれていた。
――それが、私の目に映った、最後の光景だった。
タイトル 義眼の瞳
勉はコ一ヒ一を飲みながらテ一ブルの木目を見つめていた。木目は中心から縦にひび割れており、またそれが良い味をかもしだしていた。
勉は何時も執筆のアイデアを考える時には、決まってこのカフェの窓際から2番目の席に座り考えにふけっている。
何時も見ているはずのテ一ブルが今日は違ってみえた。
『何みてんだ勉?』と透は言った。
「ああ、デスクの木目をみてたんだ、この木目は割れているのに、良い味だしてるなって…」
『今朝の依頼の事考えてたのか?』
「よくわかったな」と勉は少し驚いた様にいった。
『当たり前だろ、俺はお前でもあるんだぜ』と透はひょうひょうと答えた。
『それにしてもお前は何事にも、感情移入しすぎて、考えすぎる傾向にあるな、そんなんじゃ病んじまうぜ』と透は言った。
「作家とは、元来こうゆうもんなのさ、人の心情がわからないと文章は書けない」と勉は言った。
『まあ、気を付けてくれよな、なんせこの体はお前と俺で共有してるんだから、お前が身体壊したら俺まで大変なんだから』と透は言った。
勉と透は二卵性双生児の双子として、生をうけたしかし、母体の中で一人は死んでしまった。
しかし、その感情は一つの身体に宿り俗にいう二重人格として今まで生きてきたのだ。
「それはこっちのセリフだよ、お前こそ俺がねてる間にこっそりバカ食いしてるだろ、体重がまた増えてたぞ、ダイエットしてるっていっただろ?」と勉は言った。
『ほう、その証拠はどこにあるんだ』と透は言った。
「今朝ゴミ箱にポテチとコカ・コーラのペットボトルが捨てられてた、それにこの腹だよ、なんで毎日俺が腹筋とジョギングをかかさずしてるのにこんな事になってる、この腹の肉が動かぬ証拠だ」と勉は泣きそうに言った。
『探偵でもないのにやるじゃないか、流石推理作家だな』と透は言った。
「お前も探偵なら、あんなわかりやすい証拠は残すなよな」と少し呆れ顔で勉は言った。
透は探偵事務所をやっており、日々難事件を解決している、勉はその事件を元に推理作家として活躍しており二人で日々支え合いながら生活しているのだ