表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/65

46 見世物

「わぁ~お母様見て!! なんかいっぱいいるよ!!」


 入り口の方が賑やかになったと思ったら、六歳くらいのピンクのドレスで着飾った女の子が母親に手を引かれて入ってくるのが見えた。

 母親のドレスの陰になって見えなかったけれど、二歳くらいの男の子もいるようだ。


「これな~に?」

「これは精霊様よ。 とても美しいわね」

「うん!! 初めて見た!!」


 興奮して話すところを見ると、この国ではなく近隣諸国からの招待客なのだろう。精霊を見たことがないらしい。

(やっぱり、レクナ王国と同じで自然豊かな国では精霊の力が高く、人間に見つからないように目隠しをする力も持っているみたいね)


 興味を示した女の子は、順番にガラス瓶の中にいる精霊を見ていく。


「……でも、なんでみんなガラス瓶の中に閉じ込められているの? お外に出してあげないとかわいそうだよ。ほら、見て。精霊様、元気のない子ばかりよ」

「そうねぇ……自然界にいるのが本来のお姿なのだけれどね……」


 きっとこの母親はザイン第二王子殿下が『精霊コレクター』だと知っているのだろう。他国の王族を貶めるような発言はできないはずだ。


「きっと、精霊様を見たことのない私たちのために飾って紹介して下さったのよ。精霊様を紹介した後に、自然に逃がしてあげるんじゃないかしら?」


 母親は、都合の良いように解釈をして子供が疑問を抱いたままでいないように、返事をしている。

 確かにこのガラス瓶の中にいる精霊の中には精霊王に引き取られる者もいるのだから、嘘は言っていない。


 ガチャーーーン


 その時、ガラスの割れる音がする。

 目を離した隙に小さな男の子がガラス瓶を触って、床に落としてしまったのだろう。

 傍にいた警備員は、「危ないですから離れて下さいね」と男の子に伝える。

 彼が一番気にしているのは精霊の状態だろう。頭を打ったのかぐったりしているけれど、ガラスの破片は当たらなかったのか怪我をしているようには見えないことを確認すると、警備員は新しいガラス瓶をポケットから取り出し、気を失っている精霊をそちらの瓶に放り込んだ。


 彼は、ザイン王子殿下から精霊を盗まれたり、逃すことがないように言われているのだろう。

「ふぅ」と安心した声を出すと、ガラス瓶をテーブルの上に再び飾り、男の子にも「触ったらいけないよ」と(たしな)めている。


 ガラス瓶の破片もすぐに取り除かれ、何事も無かったかのように控えの間は整えられた。


 その後も、精霊を見に来るのは、精霊を見たことのない人ばかりで、「可哀そうに……」とつぶやきながら見る人もいれば、「この精霊はとても可愛いから、我が国に譲ってもらえないか交渉してみよう」と言う人もいる。ウィンザルト国の国章を胸につけた貴族たちは、ザイン王子殿下との会話がはずむように、「あれ? これが新しく手に入れたっていう精霊かな?」「いや、こちらの精霊ではないでしょうか?」

 などと、話の種になるように会話目的に物色している人もいた。


(レクナ王国の王族はまだ到着していないのかしら? もしくは、最初から呼ばれていないという可能性もあるのかしら)


 私は一向に姿を見せない、レクナ王国の招待客にひょっとしたら招待されていないからこの場に来ないのかもしれないと不安を感じ始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ