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38 生きる意味

 私がウィンザルト国に到着するや否や、ザイン第二王子殿下にガラス瓶に閉じ込められた。

 片手でガラス瓶を鼻歌混じりにブンブンと振りながら、ザイン王子殿下は一つの部屋に入っていく。


 私は言葉を失う。

『精霊コレクター』とは、どう意味だったのかやっと理解することができる。


 私の目の前には、ガラス瓶に閉じ込められた精霊たちがズラリと並び、百個以上のガラス瓶が、所狭しと研究室のような場所の棚に置かれている。


 目を凝らすと、中には一体ずつ精霊の姿が確認できる。


 私は、私以外の精霊を見たことが無かったので、初めて同類を目にして少し嬉しく感じたものの、精霊たちの目には力がなく、本当に生きている精霊なのかと疑わしく感じてしまう。


「ほら、お前もここの仲間入りだ」


 ザイン王子殿下は、埃のかぶったガラス瓶の横に私を閉じ込めたガラス瓶を無造作に置く。

 隣のガラス瓶は蓋がはずされていて、中に精霊はいないようだ。

(どこかに逃げていったのかしら? それとも……)


 私は嫌な想像をして、身震いをする。

 精霊だっていつかは死ぬはずだ。もしかして、ガラス瓶の中で一生を終えたということだろうか。それとも別の場所に移動しただけだろうか。


 周囲のガラス瓶を見回すと、ラベルが貼られている。


 名前、特徴、日付けが記載されている。

(あの日付は何? ガラス瓶に閉じ込められた日かしら?)


 私は、見える範囲内で日付を目で追っていくと、だいたい一年以上前の日付けが書かれていて、逆に二年を超す日付は見当たらない。


(このガラス瓶の中に入れられてから二年経つ前に、どこかに移動するということ?)


 私は、ガラス瓶の中に座り、今後、何が行われるのか様子を伺うことにした。


 ■■■


 まずは、精霊たちの髪色は……以前、レクナ王国で会食した時にザイン王子殿下が話していた通り、金髪と緑が多い。ピンク色の髪の小さな女の子の精霊が一人いるのは遠目で確認できる。


(あっ、あこにいるのは水色の髪色ね。空の色みたいで綺麗だわ! 水に関係のある精霊さんかしら?)


 肌の色も、透き通るような白い肌の精霊が一番多いけれど、中には黄色い肌をもつ精霊や赤い肌の色を持つ精霊もいる。


(何の精霊なのかしら? 火の精霊とか?)


 私自身、卵から生まれたので何の精霊なのかわからない。

 ただ、そんなことを気にせずに生きてきたので、種類が解っても仕方がないことなのだが。


 ガラス瓶に閉じ込められて、一年が経った。

 精霊は基本的に何も食べなくても生きていけるし、清潔を保つ必要ない。

 だから、私はこのウィンザルト国に到着したままの服装で一年中過ごした。深緑色の縁取りされたドレスを見る度に、アルタイルのことを考える。


(アルタイルも私とお揃いの服を着てくれる日があったら嬉しいわね。今日、ひょっとしたら着ているかもしれないわね)


 想像するだけで、退屈な毎日でも耐えることができる。


 ただ、このガラス瓶の精霊たちを観察してわかったことがある。やはり二年が経つ前にどこか別の場所に連れて行かれるようだ。


(じゃあ、このガラス瓶に閉じ込めているのは、何のためかしら?)

 私は、閉じ込められている精霊たちを見て、一つの仮説を立てる。


 ガラス瓶の中に閉じ込めて、「出られない」と意識付けをさせて逃げたり、叫ぶ気力を失わさせるための期間を設けているのではないかと。


 私自身は、アルタイルとの想い出を思い返したり、レクナ王国で過ごした素晴らしい生活を懐かしんで楽しむ術を知っている。

 でも、もし仮に卵から孵化した直後に閉じ込められたり、生きている意味を見失ってしまえば、他の精霊たちのように生気の全くない、表情の抜け落ちた精霊になってしまうのではないだろうか。


(この後のことを考えて、一定期間、ここで監禁しているのではないかしら? そして、二年経つころに別の場所に移動させて……その後のことは、自分で経験するしかなさそうね)


 私は、ガラス瓶の中で二年経つのを辛抱強く待った。

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