表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/65

37 知らされた真実 【side アルタイル】

 モルトが躊躇いながらも、クレアがウィンザルト国に到着した日のことを話し始める。


 ぼくを含め、ヴィクトル王太子殿下、キアナ王女殿下は庭園に用意された華やかなテーブルを囲み、椅子に座って彼の話に耳を傾ける。

 モルトの表情から、内容が良くないものだと想像できたので一切、食べ物や飲み物には手をつけず、居住まいを正し、背筋を伸ばして彼に注目をした。


 モルトは、大きく深呼吸をしてから顔を上げて、見た事実だけを坦々と語り出す。


「もう国王陛下には報告してあるのですが、クレア様とお別れをし解毒薬を受け取った時のことです。私は国王陛下からの手紙を預かっておりましたので、それを、ウィンザルト国のカール第一王子殿下にお渡ししました。そして、その場で目を通していただきました。その手紙にはクレア様を丁重に扱って欲しい……そうでない場合は、ウィンザルト国に攻め入る可能性もある。それくらい大切な精霊様なのだと国王陛下は書き記し、クレア様が(ないがし)ろにされることがないように対策しておりました」


 ぼくは、国王陛下がクレアの今後を(うれ)いて、配慮し、文をしたためて牽制してくれたことが嬉しかった。


 モルトはそのまま、報告を続ける。


「ただ、その後です。ザイン第二王子殿下はクレア様の髪を引っ張り持ち上げた後、あろうことかガラス瓶に放り込んで、蓋をして閉じ込めてしまわれたのです……私も憤りを感じ抗議しましたが、聞いてもらえず解毒薬を持ち帰ることしかできませんでした。あの時ほど、自分の無力さを痛感したことはございません……だから、正直、クレア様が今、どのような扱いを受けているのかと想像すると……恐らく、レクナ王国と同じように大事にされていることは無いと思います」


「なっ!!」


 ぼくは、大好きなクレアが乱暴に扱われていることを聞いて、腸わたが煮えたぎる。

 ぼくと同じ気持ちを抱いたのかヴィクトル王太子殿下、キアナ王女殿下も険しい表情だ。


「落ち着け、アルタイル。どうするのが一番良いのか冷静に考えろ」


 ヴィクトル王太子殿下が諭してくるけれど、なかなか頭は冷めそうにない。

(今……ぼくがやるべきこと……クレアを取り戻すために……)

『精霊コレクター』と呼び名があるくらいだから、簡単にクレアを手放したりはしないだろう。でも、収集するだけで、大事に接してくれていないのなら迎えに行かなくてはならない。


 正当な手段で。


 もちろん、その時は国王陛下の力添えも必要になってくるだろうけれど、陛下自身、攻め入る可能性もあるとすでにウィンザルト国に伝えてくれているのだから、クレア奪還に協力してくれるはずだ。


 ぼくは、頭の中で将来の見通しを考える。


 まずは、十六歳で今、在籍している貴族学院を卒業して……単位が早く取れるのなら卒業を早めてもらえるかの交渉をしよう。その後、王国騎士団に入って……経験を積んで……最短でいつ騎士団長になれるだろうか。


 ぼく自身が彼女を奪い返すほどの実力を持たないと、クレアを迎えに行って救出することは不可能だ。


 騎士団長になった後は……クレアが大切に扱われていないという証拠をつかんで、ウィンザルト国に攻め入って、彼女を奪い返す。


 ぼくは将来の見通しをつけ、目標が定まる。


 迎えに行くまで、まだまだ時間もかかるし、ぼくの地位も実力も必要だ。

 やらなければいけないことは、山ほどある。


(クレア。必ず君を迎えに行くから……それまでどうか耐えてくれ)


 ぼくは、これからの未来を全てクレアを奪い返すことに注ぎこむことをこの場で誓った。

お読みいただきありがとうございます。


アルタイル視点のお話が続きましたが、次回からクレアのお話になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ