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25 解毒薬

 ランバートは国王陛下にお目通りを願うとすぐに通してもらうことができた。


「妻が嫁入りの時に小瓶を一つ持ってきておりました。この小瓶はラナ草の解毒薬だと妻が申しておりましたので、一度ご確認いただきどうぞお使い下さい。しかし残念ながら、一人分しかございませんでした」


 両手に大事そうに小瓶を持ち、献上する姿はとても素晴らしいと思ったけれど、この選択がアルタイルの命を奪うことにならないか、私には判断がつかなかった。


「そなた……本当に、それで良いのか? 同じ子を持つ親だから、そなたの気持ちは痛いほどわかるし、そこまでして受け取っても良いのだろうか」


 国王陛下が受け取った時点で、解毒する優先順位はおのずと決まってしまうのでランバートの心情を考えると同じ親として辛いのだろう。


「えぇ、どうぞ。アルタイルは将来、騎士団長になりたいのだと申しておりました。いつも身体を鍛えておりますので、毒にも打ち勝つだけの体力があると信じております」


 ランバートは、我が子の体力を信じて貴重な一つだけある解毒薬を国王陛下に手渡した。


「そなたには、一生感謝し続けることになるだろうな。ウィンザルト国から解毒薬が届き次第、アルタイルにも必ず飲ませるゆえ、それまで辛抱してくれ。今後も、ベルガモット公爵家に困ったことがあれば我だけでなく息子ヴィクトルの治世になっても必ず、このご恩は返すことを約束する」


「光栄にございます」


 この会話からしばらくして、間違いなく中身が解毒薬だとわかりヴィクトル王太子殿下に飲ませたところ、半日ほどで目が覚めることができ、尊い一人の命がまず助かった。


 残り二人も解毒薬を手にすることで、すぐに助けられるとこの時は誰もがみな信じて疑っていなかった。

お読みいただきありがとうございます!


第二章はここまでです。

ベルガモット公爵家の決断によりヴィクトル王太子殿下は救えましたね。

第三章からは波乱の幕開けです。クレアの決断をお楽しみくださいませ♪


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