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この復讐は100%うまくいく  作者: 柿井優嬉


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「最近なされている提案で、柴崎さんは『社会党はこれまでのように政府や与党に反対するだけでなく、ちゃんと自ら政策を考え、その実現に向かって行動する政党へと生まれ変わったんだ』と有権者にアピールしたいのだと思います。しかし、果たしてそれは本当なのでしょうか? ネットにこのようなコメントが書かれているのをよく目にするので紹介しますと、『あの社会ドラフトって、何なの? 冗談としか思えないんだけど。例えばこの前あいつが言った、税金を払う額が高い奴にやる返礼品て、限られた数しかなくて、所得の多い順だったら、大金持ちしかもらえないことになるけど、そんなんわざわざやる意味あるか? 結局、勝ち組は大変な病院や役所なんかで働かなきゃいけなくなったり基本損になるだけだから、こんな制度を導入することに賛成しないし、負け組だって、最低賃金を上げろとか口では言うが、本音はタダで現金をくれたりするほうがいいんで、学習支援とか努力する必要があるあの内容じゃ支持しない。柴崎はそれをわかってて、面白そうってだけで評価したり、これなら言う通り格差は縮まるはずだと真に受ける甘い考えの連中といった、一部の人間からの票を目当てに、でたらめな話をほざいてるに過ぎない。所詮、もう少しばかり議席を増やして、自分も党も安泰でいられりゃいい程度のことしか考えてやがらないんだ。だって社会党だぜ、社会党。社民党ですらない。政権を獲れるわけないし、本気であんなもん実行する気なんてさらさらねえよ』」

 男性コメンテーターは、見ていた手もとのタブレット端末から隼人に視線を移し、話を続けた。

「言葉遣いは乱暴ですが、多くの人が納得や共感する部分をたくさん含んでいるように思い、敢えてこれを選んで読みあげさせていただきました。私自身も、このたびの柴崎さんのアイデアは見通しが甘いのではないかと考えておりまして、例えば学習支援に関して、先日の番組で、それによって貧しさゆえに勉強が満足にできていない子どものほとんどを援助できるようになるといったご説明をされてらっしゃいましたけども、少子化であっても保育所に入れないお子さんが大勢いる現状をきちんと踏まえれば、あの柴崎さんの案では勉強を教える大人が足りなくなるであろうことはすぐに気がつくはずです。まさか、ほんのわずかでも勉強ができれば教師役を認めるといった無責任な考えではらっしゃらないでしょうし。しかも、肝心の支援を受けられる順番は、正確性を欠いても構わないといういいかげんさ。保育所の待機児童問題もいろいろな条件をもとに入れる順番を決めているわけですが、あれを見ればわかるように、当事者の親御さんたちにとって順番は何よりも重要で、やむにやまれず不正を行う人まで出てきてしまっています。他のドラフト案でも、順位を変えたいがためのモラルのない行いが多発して収拾がつかなくなるおそれがかなりありますし、そのくらいのことを想定できていないご様子なのは、やはり柴崎さんの本気さに疑問を抱かざるを得ないと思うのですが、こうした点について、いかがお答えしていただけますでしょうか?」

 このコメンテーターはレギュラーであり、番組としてはこういった質問で攻撃してやろうなどの意図で隼人を招いたわけではなかった。一つ前に出た番組のほうが、子どもにも観てもらうことを視野に入れていると思われる健全さを意識したつくりで、司会者をはじめ出演者は優しいイメージの人たちで占められており、隼人は持ち上げられ過ぎな状態になって、かえって不健全だった。

 ただ、政治家に対して批判に近い疑問をぶつけるのが正常であるにしても、このジャーナリストの男性が個人的に隼人を快く思っていない点も質問のきつさに影響したのだろうことは、発した言葉以上に様子を見ていれば明らかだった。本人なりには抑えているつもりでも、嫌悪感がにじみでていたのである。


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