表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この復讐は100%うまくいく  作者: 柿井優嬉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/43

11

 まただよ。ほんと近頃の俺は何やってんだ、バカ。

 帰宅するため駅へ向かって歩いている道中、隼人は思った。

 なんであいつに死ぬつもりのことをしゃべっちまったんだ。俺が死んで、それを知ったらあいつ、後を追うかもしれないじゃないか。

 まさか一緒に死ぬなんて言うとは頭の片隅にもなかったとはいえ、本当に軽率だったよな。

 どこか遠くの、あいつに見つからない場所に行って、死ぬか?

 だけどあの調子だと、捜して死んだのを見つけだすくらいのことはやりかねないし、それができなかったとしても、俺が自殺したのを感じ取って、やっぱり後を追うかもしれない。

 かといって、そうさせないためだけに生き続けるのもな。叔母さんに悪いからってのもだけど、何かをやりたいとか目指すとかじゃなくて、他人を傷つけないという動機のみじゃきついだろう。できるか?

「うー」

 隼人は悩み、頭を抱えた。

 彼が理を指名した件について真相を記すと、会話の通りサッカーが下手なことを十分認識したうえであのとき理を選んだのだけれど、その理由が相手チームにハンデをあげるためと説明した点は偽りであった。

 実は、理は隼人の死んだ弟の駿太に似ていたのだった。顔はそこまでそっくりではなく、正面から見て間違えることはおそらくない。ただ、色というのか、においというのか、全体的な雰囲気が一緒な感じだったのだ。もう何度も触れたように理は非常に小柄で、隼人が転校してきて理と初めて顔を合わせたときはちょうど駿太の歳ほどに見えたし、後ろ姿などはうりふたつだった。内面は駿太のほうが、実際は幼かっただけあって、子どもらしく陽気だったものの、父に暴力を振るわれる弟と、クラスメイトにいじめられる理の、気持ちが沈んだ際の表情や態度などは、やはり重なる部分があった。

 火事で駿太を失って、転校したクラスにいた理を目にしたとき、隼人にはまるで弟が生まれ変わって自分の前に現れたかのようだった。けれどもそんなわけはないという自覚もあったため、他のコたちとほとんど変わらない、単なる同級生の一人として接していた。が、いじめられている姿が視界に入ると、特に周りとの協調を重視するようになった中学生になってからは善人ぶるなとなるリスクを避けたかったにもかかわらず、思わず助けてやったりもしたのだった。

 群を抜いて上手だったがゆえに必ずキャプテンを任されてしまうサッカーをやる際は、別のキャプテンをやるコ同様に理を指名しないようにしていたが、あの日もつい気がゆるんで選んでしまったのであった。

 そして、現在の隼人が死ぬことを意識し、やり残したことはないかを考えたとき、理が思い浮かんで様子を見にいったのは、彼にとって弟の分身とも言える理が幸せな状態になっていれば、駿太もそうなったように感じられ、この世への未練がなくなると思ったからだった。

 遠くから眺めた結果そうなってはいなそうだったけれど、例えば叱られている感じがした母親とケンカをしている最中だったかもしれないし、単に元気がなさそうな印象で、そう見えただけといった、彼の臆測に過ぎないことはわかっていた。理本人に訊けば手っ取り早く確実に判明するのに、家を訪れるなどしてそうしなかったのは、「今、幸せか?」「なんでそんなこと訊くの?」という会話になった場合に、「お前が駿太に似ているから知りたいんだ」などとはとてもじゃないが言えないし、理と駿太を重ね合わせてしまっているだけでも恥ずかしくて、理に接触したり、関わることすら気が引けたのだった。ただ、本当のところは、もし理の口から幸せだという言葉を聞いてしまったら、火事で駿太を亡くしたときのようにもう死んでいいのに、やっぱり怖くてできない、情けなく、かつ、苦しい状態になることを恐れたのかもしれなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ