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Elica  作者: 徒華
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蓮と付き合い、別れてしまった絵里香。

その後のお話。

その後も蓮との関係は続いていた。

表では私たちは元から友達のままだったし進級制作の班が同じだったから。(付き合ってる時に班を決めた)

周りに違和感を持たせないように私を振った元彼と「さぞ仲良いです〜。」「授業の相棒は彼しかいない〜。」と振る舞う私。

今思ったらすごい哀れだ。そういう所が都合のいい女になる所以だぞ。

別れてからも彼と関わることで私の心は深く傷ついていった。

吹っ切れるために肩ぐらいまであった髪をハンサムショートにし髪色も思い切って紫に変えた。

バレッタももう必要ないし。

「え!似合うね〜!!」

「なんかあったの?」

いやそろそろインナーだけじゃ飽きちゃったからさ〜

進級制作で同じ班になったイツメンと呼べるぐらいの友達、さくらと日和(ヒヨリ)と会話をしつつ視界の端には蓮を捉えていた。

何も言ってこない彼にほんとに別れたことを実感しつつそれでも心の底では未練タラタラだった。

恋愛に興味が無いと言っていた3ヶ月前の私が見たら心底軽蔑するのだろう。

心も体調も崩しつつ通う中でなんとか春にたどり着いた。

春休みは就活のことで頭がいっぱいになり蓮のことは思い出さずに済んだ。

イツメンとのレコーディングもあったし。

2年生になる頃にはずっと続いていた未練も無くなっていた。

でも彼の気持ちはよく分からないままだった。

LINEは未だによくする。

学校でも普通に関わる。

挙句には4.3kmの道のりを一緒に歩いて帰った。

正直楽しかった。でも付き合ってた頃にされたことを思い出してもしかしたら自分が誰かを傷つけている状況なのかもとも思った。

でも歩きながら他愛もない話をしたり頭をぐりぐり押し付けてくる彼を見ると「復縁したいのか?」なんていう考えも頭を横切っていた。

私がおかしかったのかな?

そんなことをしていたらいつの間に6月になっていた。

付き合ってる時より楽しかったかもしれない。

ある日の夜突然電話がかかってきた。

私もそんなに暇じゃないんだけどと思いながら出ると

「ちょっと話したいことがあるんだけど。」と珍しいテンションで言ってきた。

「おつかれ。何?」

私の中でのこれからの話は2択。

1.復縁したい

2.彼女できた。

未練なんて無くなったはずなのに1を期待してしまう自分に嫌気が少し差した。

私が色々考えてるのなんて露知らず「外がちょっと寒い」だとか「今度のミックスがさ〜」なんて世間話をする彼に少しイラッとし「で要件はなんなの?告白でもされたの?」とストレートに聞くと言い淀んだあとに「…彼女ができた。絵里香が前に彼女できたら言えって言ったからその報告。」と言った。

予想はしてたのに目の前が一瞬暗くなった。

確かに彼女持ちと関わるといい事ないから言えって言ったけどほんとに言ってくるなんて…。

「いつから付き合ってるの?」

絞り出した言葉には「1ヶ月くらい前」と返ってきた。

待てよ。それ私と4.3km歩いた時にはもう付き合ってたってこと?

一気に付き合ってたときにされたときの記憶が甦って吐き気がした。

相手に謝りたくなり

「誰と付き合ってるの?」と聞いた。

「○○と」

あぁ私と付き合ってた時に10km一緒に歩いてた子か。

ならまぁいいか。私の性根かなり腐ってる。

あの時から私はあの子のことが大嫌いだ。

先生に気に入られてる。遅刻しても怒られない。

反省してると言いながら遅刻を繰り返す。

愛嬌振りまいて反省してる()にしてれば許されると思ってるバカ女。

結局男ってああいうのが好きなんだね。

やっぱり浮気だったんじゃないの?

電話をぶちぎってやろうかと思った。

でも気になっていることがあった。

「また付き合ってるの隠すの?」

「あーうん。」

いい気味なような可哀想なような複雑な気持ちだった。

隠される辛さを知っているからだろう。

あの世界から隔離されるような感覚。

一緒にいるのに特別な繋がりを消される感覚。


『なんで隠すの?』


いつから好きだったとかどこが好きだとか聞きたくもない話を遮るように聞いた。

「え別に俺は隠さなくてもいいんだけどさ。あいつが…」

あこいつ本当のクズだ。

私の時は周りにバレて変な気を使われたら申し訳ないから。とか言ってた癖に。

途中から全く入ってこなくなった話を流しながら過去の私がキレていた。

「へ〜そうなんだ。」あんまり聞いてなかったから適当に返事をした。

その日から私は蓮と関わらなくなった。

彼女持ちは面倒が6割、クズだから3割、裏切られた1割で関わる必要なしと決めたから。

そしてさくらと日和に今までのことを全部ぶちまけてやった。

実は蓮と付き合っていて別れていたこと。

ずっと付き合ってるのを隠されてきたこと。

女付き合いを私が嫌がっても辞めてくれなかったこと。

イツメンは絶句していた。

良かった私が変じゃなかったんだ。

帰りに3人で寄ったアクセサリーショップで久しぶりにバレッタを買った。


『黒色の』


関わりを断つことを徹底した。

なるだけイツメンといるようにした。

蓮の今の彼女が花束をストーリーズにあげていたのを見てスマホを叩き割りそうになった。

でもクズ同士馴れ合えよと耐えた。

正直就活も忙しかったし母親の手術もあってメンタルがまた死にかけていた。

就活においては家が好きじゃない私は県外。欲を言えば関東方面に行きたかった。

行きたかったスタジオにも落ち更に心が荒んだ私はなるだけ楽そうでホワイトなところに重きを置いて就活をした。

なかなか決まらない(やる気が起きず応募しなかったのだが)中であっという間に最後の夏休みが終わり後期に入っていった。

私の学校では週に1度他学科とごちゃまぜの選択授業があるのだが不運なことに第五希望のところになってしまった。

それだけなら良かった。


『選択授業が蓮と一緒だった』


友達の前で初めて舌打ちをしてしまった。

しかも同じクラスの子は蓮以外いなかった。

この選択授業のことだけじゃなく色々人間関係のいざこざがあったせいで学校に行くのが嫌になった私は就活で学校を休むようになった。

行かなすぎて選択授業なんて気づいたら最初の1回行ったきり4回まで行ってなかったらしい。荒れすぎだね。

選択授業最近流行りのボーカロイドの打ち込みの体験みたいな授業だったから久しぶりに行った時は好きな作家の本を読みつつのんびり1人時間を満喫していた。

確かその次の授業だったと思う。

「途中経過をお互い聞きあってみよう。」

まだ若い先生が言った。

心底嫌だった。

だってまず3回分連続で休んでるから作業進んでないし、知らない子ばっかりだから人間嫌いになりかけてる人間には苦痛すぎる。

自分のヘッドホンをして話しかけないでオーラを出して人との関わりを回避していた時だった。


『ねぇ聞いてもいい?』


これが出会いだった。

男の声がした。先生ではない。

正直ふざけんなよと思った。

ヘッドホンして不機嫌なオーラが見えないのか?

どんなやつだよと思い見上げると見覚えのない子がいた。

ニコニコしながら距離をつめてくるコミュ力つよい系男子にドン引きしながら

「え…全然終わってないからちょっと…。」

不機嫌なまま言った。

「ちょっとでもいいから!お願い!」

怖すぎる。

空気が読めないのか、あえて読まない判断をしたのか衝撃すぎた。

少し聞かせればいなくなるだろうと思いヘッドホンを渡した。

聞いたあと「ありがとう!」

満足そうに言った彼の笑顔が忘れられなかった。

「あ…うん。」普段のクラスの子がこの時の私を見たらドン引きするだろうな。

作業に戻ろうとするけど彼は居なくならない。

本当になんなんだこの子。

普段ミックスに使うソフトと似て非なるこのソフト。

ショートカットが全然違う。

苦戦してる私を見る彼。

カオスすぎる。

沈黙に耐えられなくなる私。

「いつも違うソフト使うからショートカットわかんないんだよね。」今考えるとすごいダサい言い訳だね。

「え?じゃあレコーディングコースなの?確かにヘッドホンRECさんがよく持ってるやつだよね!」

「そうだよ。レコーディング。」

「俺は作曲なんだ!」

なるほどね。それなら聞いて回ってるのにも合点がいく。

作曲とレコーディングは大きなくくりとしては同じだけどほとんど会ったことがない。

この選択授業の中でも前にイベントの曲のミックスをした時にその原曲を作った子がいてその子を知ってるくらいだ。

「私、あの時のイベントの曲ミックスしたよ。確かあの子が作ってたよね?」

「えあのミックス君だったの?!大変だったって聞いたよ〜。」

「そうそう。納期ギリギリで2人でスタジオこもってあーでもないこーでもないってやったよ。」

「それも聞いた!結構アイツ気にしてたもん。女の子だったのにキツく当たったかもって…。」

曲作った子いい子すぎる。気にしてないんだけどな。

「別に気にしてないよ。納期がギリギリだったし曲作る方はこだわりもあるからね。私が上手く再現出来なくて申し訳なかったよ。」

「そっか。伝えてもいい?アイツも安心すると思う。」

柔らかく微笑む彼を見て意外にイケメンだねってどうでもいいことを思った。

その後曲作った子も混じってミックスやる人じゃないと分からないようなコアな遊びして笑ったりその授業で初めて楽しい時間を過ごした。

キーンコーンカーンコーン

授業終了のチャイムがなり「じゃあ…」と荷物を片付けようとした。

すると「ねぇインセタ交換しない?」と言われた。

断る理由もなかったからいいよと言った。

『あなたは誰?』

上下にするつもりがおもったより長くなってしまいました。

最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

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