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1.はじめに

 本題に入る前に、1つ問いかけを。会社勤めされている方は、交通費が通勤手当の形で支給されていると思いますが、その交通費の消費税は誰が負担しているか、意識したことはあるでしょうか?


 身近なようで意外とよくわかっていない消費税ですが。なぜわかっていないのかというと、わかってなくても生活できるからですよね。わかってなくても論じることができる位には身近な存在ですからね、消費税は。


 でも、何かを論じるときは、その論じる何かに詳しい方がいいと思います。普通のサラリーマンなら、交通費は会社から支給されていると思います。その消費税がどういう仕組みで、誰が負担するようになっているか、その位は知っておいた方がいいと思いますが、どうでしょうか?


  ◇


 インボイスが施行されてから時間も経過して、流石に以前のようなインボイス批判は収まりました。でも、今でもたまに目にします。まあ、さすがに以前よりも現実に即した批判にはなっているとは思いますが。その代わり、施行前には見なかった、現実に起こったアレコレに対する批判というか戸惑いを目にするようになりました。


 その一つが、交通費ですね。インボイスは1円から必要になるから云々とか他社に請求する場合はどうすればとか、税抜き金額/税額/税込み金額を書けと言われたとか、いろんなお悩みがSNSに載りました。……うん、実務は大変ですね。


 制度が変われば戸惑いもするし、いろんな混乱も生まれると思います。まあ、それらは時間が解決してくれるとは思いますが。ただ、その中には、消費税を意識しないことに慣れたことで生まれた戸惑いも結構あると思うんですよ。で、少し思ったんですよ。経理のような税務に携わる人だけじゃなくて、普通の人も、もう少し消費税について常日頃から意識をして、詳しくなってもいいんじゃないかな、と。


  ◇


 先の冒頭の問いかけですが、その答えはそうですね、消費税を負担しているのは、建前としては「勤めている会社のお客さま」ということになるでしょうか。


 ただ、より実態に近い言い方をすると、「サラリーマンの交通費は実質的には非課税になる」になるのかなと。当然、一度は払うのですが、最終的には国から税金の控除(もしくは還付)を受けることになります。


①サラリーマンが交通費(+消費税)を一時的に負担し、会社に請求する。

②会社は交通費(+消費税)をサラリーマンに支払う。

③会社が税金を納める時、交通費の消費税を引いた額を支払う(消費税分が控除される)。


 と、こんな感じで、「交通費にかかる消費税」は実質的に、企業もサラリーマンも負担をしていないということになります。


 ただ、これはあくまで本則課税、「ちゃんと消費税を計算した場合」の話でして。日本には「零細企業向けに消費税を簡単な計算で済ます制度」、簡易課税事業者や免税事業者というのがあって、もう少し話がややこしくなります。具体的には、以下のような感じになります。


・本則課税事業者:会社は交通費の消費税を負担しない。

・簡易課税事業者:会社は交通費の消費税を負担する。

・免税事業者:会社は交通費の消費税を負担する。


 この簡易課税事業者や免税事業者というのは事務負担の軽減等を目的とした制度なのですが、この「負担軽減のために正確な消費税を計算しないでいい事業者」を考慮して法律を作った結果、「消費者が支払った消費税の一部を事業者が利益とすることを許容する消費税法」ができあがります。で、裁判が起きて、超めんどくさい「東京地方裁判所 平成元年5194号 判決」が出てしまうと。


 その結果、訳の分からない消費税論が巷にあふれることになります。これが「地球は丸くない、平らだ!」くらいに荒唐無稽な論なら、ああこいつは陰謀論者だとなるけど、消費税論に関しては、そうはなりませんでした。……個人的には、結構同レベルにアレだと思うのですが、何故かそう受け取られない。で、消費税に対する理解が妨げられたまま、アレな論を取り込んだ主張が次から次へと生み出されていくと。


  ◇


 まあ、ややこしい話をどこまで理解しないといけないのか、理解しないまま話してはいけないのかという論点はあるとは思います。でも、サラリーマンなら、自分が受け取った交通費の消費税は誰が負担しているかくらいは理解してから話してもいいとは思うのです。


 これを書くきっかけになったのは、ツイッターで交通費を請求する時に消費税が云々という話題を見かけたからです。その書き込みは、「交通費の請求に消費税を計算して書かないといけなくなった、今までよりも余計な手間が増えた、許すまじインボイス」みたいな感じの発言で、その気持ちはわかります。……が、同時に、「交通費を請求するのに消費税を明確にしろ」という要求は本当に不当なのか、とも思ったのです。不便になったから文句を言うのはわかります。でも、消費税を明確にしないままに請求できてしまうことで、何か「考えないといけないこと」を考えなくなってしまっているのではないかな、と。


 そこに、結構な弊害がでているのではないか、と。


  ◇


 実は、この文章を書きはじめてから、結構な時間が経っています。元々旬を外した時期に書き始めた文章で、さらに書くのに時間がかかってしまったことで、「何をいまさら」感もあるかなと思います。でも、


 そんな、ちょっと流行遅れな話題ですが、一読いただけると嬉しい、改めてしたためていきたいと思います。

引用1:「https://x.com/mikamiyoh/status/1729324325084557406」

引用2(引用1の訂正ツイート):「https://x.com/mikamiyoh/status/1729675102491701342」


2021年度 トヨタなど輸出大企業20社に 円安で増大 消費税還付1.7兆円超 中小業者は悲鳴

https://www.zenshoren.or.jp/2022/10/24/post-20731


ちなみに、この記事をあげている全商連という団体は共産党系の団体だそうです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E5%9B%BD%E5%95%86%E5%B7%A5%E5%9B%A3%E4%BD%93%E9%80%A3%E5%90%88%E4%BC%9A

全国商工団体連合会 - wikipedia 「政党との関係」


東京地方裁判所 平成元年5194号 判決

https://daihanrei.minorusan.net/l/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80%20%E5%B9%B3%E6%88%90%E5%85%83%E5%B9%B4%EF%BC%88%E3%83%AF%EF%BC%89%EF%BC%95%EF%BC%91%EF%BC%99%EF%BC%94%E5%8F%B7%20%E5%88%A4%E6%B1%BA

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