2.初ダンジョン
「うわぁ……」
目の前にあるのは、巨大な崖にぽっかりと空いた遺跡の入り口だ。
ただ、普通の遺跡と違って出てくるオーラが禍々しい。しかもたまに何かの唸り声が聞こえてくる。
「失礼しまーす」
所々にある魔石の光で中は意外と明るい。しかも一本道の親切設計なので道に迷うこともない。
そうして急ぎ足で歩いていると、少し開けた場所に出た。魔石が設置されておらず真っ暗になっている。
注意しながらしばらく進むと、俺の周りに無数の赤い光がぼうっと浮かび上がってきた。
いや、違う。これは、
「魔獣の、目」
気がついてももう遅かった。
一斉に魔獣が襲いかかってきて俺に飛びつーー
飛びつこうとして、全て吹っ飛んだ。
「危なかったー」
俺たち鬼族は暗闇でもよく見える。もし気がついていなかったら、気配を殺していた魔獣に一網打尽にされるところだった。
魔獣の落とした魔石をマジックリュックに詰め込んでいると、重い何かが動く音がした。どうやらこのダンジョンは魔獣を倒すと次の部屋に行けるようになっているらしい。
その後、俺はとりあえず魔獣を倒しまくった。
どれくらい倒したのかは謎だが、
空にしてきたマジックリュックがパンパンになるくらいは倒した。
そしてついに、
「ここが、ボス部屋か」
俺は、今までと比べてかなり大きい扉の前にたどり着いた。見た目からして、ボス部屋で間違いないだろう。
ちなみに現在の戦利品は以下の通りだ。
・マジックリュックいっぱいの魔石
(多分C〜Bランク)
・所々にいる中ボスが落とした防具
(そこそこ使える)
・同じく中ボスが落とした武器
(今はとりあえず一番強そうな剣を
使っている)
そこそこ物資も充実して、かなり戦いやすい。
途中で出てきた魔獣が落とした剣を持ち直し、俺は扉を開けた。
中はひんやりと冷たい空気が充満していて、驚くほど静かだ。一応周りに注意をはらいながら進む。
奥に進むにつれて、だんだん部屋の温度が下がってきた。
そして突き当たりまで来た時、
「グゥおおおおおお」
突如、後ろにゴブリンが現れて雄叫びを上げる。
今まで倒してきたものと違ってかなり大きい上に、全身を金の鎧で固めて、さらに巨大な金色の斧を持っている。
「グァぁぁぁぁぁぁ」
軽く50キロは超えていそうな斧を振り回して襲いかかってくる。
見た目からしてこのダンジョンのボス、ゴブリンキングと見て間違いないだろう。
最初の一撃をかわし、代わりに魔法で雷の矢を放つ。火力はもちろん最大だ。直撃すればただでは済まない。
「ガァぁぁぁぁぁ」
見事顔面にヒットし、ゴブリンキングが絶叫する。目が潰れたようで、俺の魔力を頼りに襲いかかってきた。
斧を持っているのは厄介だが、動きはそこまで速くない。
2発目も楽々かわし、今度は剣で脚を斬りつける。切れたところから血が吹き出し、周りに血飛沫が飛び散った。
「ガゴォォォォォォ!」
残念ながら致命傷は与えられず、今度は脚に剣を突き刺す。
「ガギィィィィィ」
周囲が血で真っ赤に染まる。
さらにダンジョンにゴブリンキングの悲鳴が響きわたり、動きが止まった。
その隙を見逃さない。
「ごめんな。お前の負けだ」
とどめとして、俺の渾身の雷が直撃した。
ゴブリンキングの身体が炎に包まれ、黒く焼けただれる。
「アァァァァァーー」
ゴブリンキングは力の限りに叫ぶが、
力尽き、息だえた。
その瞬間、魔獣の鳴き声がひっきりなしに響いていたダンジョンが静かになる。
ボスが倒されたことでダンジョンはその役目を終えたのだ。
初のダンジョン攻略は、俺の勝利に終わった。
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