妹は聖女さま!
「お父様!お母様!お姉様!」
妹の部屋に駆けつけた家族に妹は潤んだ瞳で声をかける
体が光に包まれた自分の姿に戸惑っているのかもしれない。
「なんという事だ、我が家から聖女が誕生するとは」
お父様は妹に素晴らしい事なのだと抱きしめた。
お母様も貴方なら聖女に相応しい、大丈夫よ。と頭を撫でる
聖女は神々に愛された魂に授けられ、どんな傷をも治す奇跡の力。
また魔物が棲みつきにくく、神々に愛された魂を持つ娘を聖霊や妖精も好む事から聖女がいる国は栄えると言われている。
妹の輝きが収まるとすぐさま立ち上がり、
「国王陛下に報告せねば!」
と慌しく準備をはじめた。
「お姉様、、、お姉様は私が聖女になるのがやっぱり嫌なんですね、、、」
ただ扉の近くで立っていた私に妹は悲しそうな表情で声をかけてきた。
「ちがっ」
「マリア!!貴方はいずれ国を支えていく立場なのにエリアに嫉妬して悲しませるなんて!」
「違います!ただ驚いただけなの、ごめんなさいエリア。おめでとう。エリアが聖女で誇らしいわ」
「お姉様!!」
エリアは私に抱きついてくる。
お母様はそんな私達を見て満足そうに微笑む
(こんな風に抱きつくなんて、きっと私がしたらはしたないと怒るのでしょうね)
私は言い知れぬ虚しさを胸にしまい、妹を抱きしめて微笑んだ。
その日のうちに国中に妹が聖女になった事は伝えられた。
使用人達は皆さすがはエリアお嬢様だと褒め称えた
そして、姉の私ではなく妹のエリアの方がラルク王子殿下に相応しいのではないかという噂話が広まっていった
「お姉様!!」
エリアが私に抱きついてくる
「エリア、レディーがそんな風に抱きつくのはマナー違反なのよ」
「ひどい!私に触られたくないのね!お父様もお母様も私を可愛がるからそんな風にいうんだわ」
「違うわ!エリアが社交界に出た時の為を思って」
「聖女になってから毎日王宮に呼ばれて、ラルク王子殿下にもお会いしてるから私が妬ましいのよ」
エリアはそう言うと私から離れて行ってしまった。