楽ちんな悪夢
楽ちんな悪夢
なるたき かん
鳴滝 閑
深夜、起き上がるとそこには生温い水溜りが出来ていた
「お寝しょだ。いつぶりだろう」
寝マキの下の方で、だいぶ寒いい感じがした。夢を思い出す。が、思い出せない。それは、ありがたい事だった。思い出したらまた寝しょう弁をしてしまう所だ。風呂場近くの洗濯室に行く。ゴソゴソやっていると、姉が起き出してくる。というか、いつも起きている。いや、いつ起きているという訳ではない夜はほとんど起きているのだ。かと言って、マットウな仕事をしていないヤクザモノではない。何トカという宣伝会社で立派に勤めている。私はというと浪人の予備校生だ。
「あんた何やってるの。パジャマの下がビショビショじゃないの」
「水につけるとパジャマがパジャパになるかと思って」
「自分の言っている意味解ってる」
「解ってるはずかしいので内緒にしてください。お願いします」