第2幕
魔物の存在も無く夜通し歩いていると道が途切れ土の斜面になっていて、下り斜面の先には雄大な草原が広がっていた、その光景に見とれていると兵格好の男が欠伸しながら近付いてくる
「ふぁぁあ~、こんな朝早くからどうしたんだ?ここは今は立ち入り禁止だぞ」
「眠いの?眠いなら寝た方がいいよ!」
「そうしたいのは山々なんだがな、仕事だ!君も帰った方がいいぞ」シッシッと手ではらう
「おじさん!グレティに会いにきたの!」
「おじさん!?俺はなまだ21なの!お兄さんなの」
「どっちでもいいよ、グレティどこにいるの?」
「グレティって何だよ!この先にはグレイマティっていう危険な魔物がいるから今は通っちゃいけないからグレティだかには会えないよ」
「むー分からず屋!オルターにまた会いに行かないといけないよー!」
間髪入れずに喋る二人に口を出せないサウリューネはオロオロしてタイミングを逃す
「あー!オルターでも何で…も?」
ここで男は疑問を感じた、少女は滅多に一人でこんな所にこない グレティ?グレイマティに名前が似ているな オルター?似てる名前の人はいるけど領主の許可が必要なこの場所で似てる名が出てきた
「ちょ、ちょっといいかな?君は冒険者?」
「そうだよ!」
男の質問にイラ立ち気味に言い放つ
「ギルドカード見せてもらってもいいかな?」
「んっ、はい!」 「ありがとう」
ランクを見てほぼ確信に変わる
「キーア・トイエックさん?サリューさん?名前が二つあるみたいだけど、さっき言っていたオルターって、ラウドル様のことかな?」
『キー様代わりますね』
サウリューネは良いタイミングだと代わる
「はいっ、その通りです。領主様のご依頼でグレイマティの討伐を受けました、キーア様は違うようですが」
「君そんなに丁寧に話せたの!
失礼しました、許可があるのならばお通り下さい」
「おじさん、やっと分かってくれたんだ!グレティはどの辺にいるの?早く会いたいなぁ」
「おじさんじゃないって!また戻った?
グレイマティはこの草原をひたすら進んでいれば遭遇すると思うよ」
「わかった!おじさんは分からず屋だけどいい人だね!」
「喧嘩売ってるの?お兄さん買うよ?」
「ごめんなさい、ごめんなさい!キー様これでも貴方のことを褒めているんですよ」
「うーん…さっきはキーア様って言ってたね?もしかしてサリューさん?」
男はバカバカしいと思いながらも仮説をたて言った
「そうです、よくお分かりになられましたね!
先程の時もそうでしたが兵様は聡明なのですね」
「ホントにそうだったんだ、まぁ頭はいい方だと思うけどなんか照れくさいな」
「おじさん照れてるの?」
「おじさんじゃないって!あーもう!分からなくなってきた」
「じゃあ行くね!おじさん」
「お兄さんだ!あー!やっぱり一発やっとくか!?」
ズルズルっと斜面を器用に立ち滑り降りて草原を駆けていく、その姿に男は見惚れ、見送るのであった
5分後サウリューネが気付くと同時に
「クゥゥン」と声が聞こえる
『この先にいます、気を付けて下さい』
「やっと会えるんだ!」
グレイマティの方もこちらに向かって来ているようですぐに見えることとなった
キツネによく似た風貌で体の毛が多い、四足歩行でその状態なら目線は同じ高さだ
「うっわー!かわいい!!!」
『避けて下さい!』
そのまま突進してきたグレイマティがキーアの言葉に反応したのか顔を傾げながら少し速度を緩める、キーアは真横に駆けて避けると通り過ぎてすぐに止まってこちらを伺うように振り向いた
「クォーン?」
「かわい過ぎる!触っていい?いいよね?」
『ダメですよ!危険です!』
グレイマティは不思議そうにジーっとキーアを見ているが襲ってこない
「クォン!」何かに返事するように一鳴きすると両手足を折り曲げ腰を降ろした
「触っていいの?」「クォン」
『えっ?普通のグレイマティですね?』
キーアはグレイマティの頭から体までなでて撫でてなでる「もふもふふわふわだぁ♪」グレイマティも嬉しそうにみえる、すると脇腹の辺りに槍で刺されたような傷があった
『ひどい…』
「痛そう…ねぇグレティ、治してもいい?」
『治してくれるのです?』「『えっ?』」
「グレティ、喋れるの?」
『この姿だと喋れないのです、魔力を送って形を変化させて伝えているのです』
『すごい!姿変えることが出来る…?』
「そうなんだ!すごいね!」
『傷治してくれるのです?』
「うん、ちょっとみせて!」
グレイマティは見やすいように横になった
「何これ!ただの怪我じゃないね、なんかモヤモヤしてる」『モヤモヤ?』
サウリューネには普通の刺されて痛々しい怪我にしか見えない
「サリュー、少し魔力を身体に流してもらっていい?」『私がですか?いいですけれど』
サウリューネが全身に魔力を流していく
「ありがとう!」そのまま左手で傷を優しくおさえて自分で魔力を手に集め右手もそえる
「うーーーーエエイッッ!!!!
はぁ、はぁ、はぁぁ、ご、ごめん、サ、サリュー想像以上に使っちゃた…」
『そ…みた…すね、今は…無……休み…す』
『嘘みたいです、縛られた感じがないです』
「うん、サリュー休んでて。
よかったグレティ治ったね、ふふっ♪かわ…い…い……」 キーアもグレイマティに寄りかかるように眠りについたのだった
目に光が入り目覚める 体に重い何かが乗っているのがわかる、お布団?ここはベッドのようだ
キーアは隣を見るとシュエリーが隣で横向きに抱きついて寝ていた
「ここは?シェリー?わっ!」
「キーア!よかったです!」
『キー様おはようございます』
突然、キツネ耳の少女がシュエリーの反対側から抱きついてきて声をあげてしまった、サリューは無事だったようだ
「んっ…んー!あっ!お目覚めに…」
シュエリーを起こしてしまい、そこまで言うと目に涙を溜めて再び抱きつかれた
「んー?どういうことなの?ここどこかな?」
「キーア、わたしを治したら倒れたのです、助けを求めにいったらここに連れてこられたです」
「ごめんなさい!キーアさん、ご無事でよかったですよ、兵の方が慌てて屋敷飛び込んできて、その後グレイマティに乗った眠ったキーアさんが運ばれてきて大慌てでした…ここは私の寝室です
グレイマティ…そちらの子はどちら様でしょうか?」
精一杯の言葉で説明するキツネ耳少女と涙を拭いながら状況を説明するシュエリー
「シュエリーありがとう!この子はグレティだよ!あっ!名前聞いてなかった、グレティ名前は何て言うの?」
『キー様、よくわかりましたね、私は先程の見ていましたけれど』
「グレティ…?この子がグレイマティ!?ですか」
「名前?みんなグレイマティ呼ぶよ?あっ!キーア、グレティ呼ぶです!」
「名前ないんだね?グレティだから『レティ』でいいかな?」
「レティ…です…レティ気に入ったです」
「レティよろしく!」「キーア、はいです!」
『キー様依頼の報告をしないといけないのですけれど』「あっ、そうだったね!」
「キーア、さっきからたまに声する誰です?」
『!?聞こえるのですか?』
草原にいた時は聞こえてなかった
「はいです、キーアから聞こえるです」
「初めまして、レティ様。この度はキーア様を助けていただきありがとうございました。サリューと申します」
「あっ!この感じです、サリューも助けてくれた!うん!サリューよろしくです」
「いえ、私は何も…」『サリュー、サリューがいなかったら無理だったと思うよ!』
「サリューからキーアです!」
「ちょっとよろしいでしょうか?色々話したいこともあるでしょうけれども、とりあえず先に父様への報告とキーアさんのご無事をお知らせしたいのですけれど」
「そうでしたね、レティ様ご一緒にきて頂けまか?」
「うん、わかったです」
「それでは付いてきて下さい」
シュエリーが先導していき扉の前でノックをして、了承の返事で入室した。中にはシュオルターとアイナが座っていて、傍らにペストが立っていた
「父様、キーアさんがお目覚めになられました」
「わかった、そちらのお嬢さんはどちら様で?」
「グレイマティです」
「???もう一度頼む」
「父様が出されたご依頼の討伐目標のグレイマティです」
「あのね、オルターが言ってたようにとっても可愛かったの!」
「そうか、それはよかった それで討伐は?」
「しないよ?連れて帰るつもりだったもん」
「最初からか?、、、!、サリュー殿が言ってたのはそういうことだったのか…、スクレとどっちの方が可愛かったか?」 「シュオルター様!?」
思わずペストが口を開いた
「えっと、どっちも可愛いけれども、グレティの方がもふもふふわふわだったから可愛い!」
「そうか、グレティが勝ったか。キーア殿は体調は大丈夫なのかな?」「うん!元気!!」
「それはよかった、ところでグレイマティ殿の…「レティ、キーア名前くれたです」」
魔物でハッキリ言葉がわかるのは高位な存在である証であるので驚いた。言葉が通じるなら好都合とシュオルターは本人にきくことにした
「レティ殿よお優しい性格のあなたが人を襲うようなことをしたのですか?」
「レティ草の所でいつもいるです、突然人がきて尖った物で刺されたです、それからたまに意識がなくなって戻ると倒れていたです」
「ふむ……、レティ殿キーア殿がきた時は?」
「全く意識がなかったです、でもキーア声聞こえて意識戻りレティが走っていたのがわかったです」
「レティ殿貴重な情報をありがとう
キ、サリュー殿!レティ殿との状況きいてもいいか?」
サリューがグレイマティと出会ってからのことを詳細に話す
「モヤモヤかアイナどうだ?」
「実際に見ていませんから正確なことはわかりませんが~キーア様たちの話を聞くに~呪術だと思われますね~、キーア様かサリュー様は浄化の力もあるようですし~」「そうなの?」『わかりません』
「呪いか…誰が一体なんのために…、わかった!キーア殿サリュー殿今回の依頼ご苦労だった!報酬を渡す」 「あのシュオルター様?ご依頼は失敗かと思うのですが?」
「何を言っている、私の困っていることを解決してくれたではないか!娘の護衛の分も足してある」
ペストが「こちらでございます」と袋を持ってくる 「ありがとう!」と素直に受け取るキーア サウリューネは考えを改めて領主様にお礼を言うのだった
なんと報酬は大金貨11枚
「キーアさん、サリューさん、ラウドの街にはいつまで滞在する御予定でしょうか?」
「特に決まってないよ、ギルドにもまだ行ってないから」
「それでしたら明日ご一緒に依頼を受けていたたけないでしょうか?」
「シェリーと、いいよ!」「レティ一緒です」
「最強チームだね!」
「私そんなに強くないのですが…」
「みんなかわいい!」「!フア~!はいっ!」
「とりあえず今日の宿を探さないとね」
「えっ?泊まっていかないのですか?」
「いいの?!」「大丈夫だと思います、父様に聞いてみますね」
シュエリーは数分後には暗い顔で帰ってきた
「『泊めてあげたいのだが、夕方から夜まで屋敷での集まりがあって難しい』だそうです」
「しょうがないよ!」『・・・。』
「サリューどうしたです?」
「いえっ!何でもありませんよ、シュエリー様、宿屋は何処にあるのでしょうか?」
「たくさんありますよ、どんな所がよろしいでしょうか?」「ご飯がおいしいところ!」
「わかりました♪ちょっとお待ち下さい」
シュエリーは再び外出許可をもらいにでていきました
『レティ様、食事で食べられない物ってありますか?』「草、肉、魔物、何でも食べる平気です。」
「魔物おいしいのかなぁ?石は無理そう!」
『ふふふ、そうですね』
「石の固くて食べられなかったです」
「やっぱり!」『何食べたのですか…』
扉が開く、とシュエリーとアイナがやってきた
「許可をもらってきました、アイナは護衛です」
「よろしく~お願いします~」
「質問です!」「何でしょう~?」
「魔物はおいしいでしょうか?」
「はい~種類によります~、岩の魔物は囓ってもおいしくなかったです~」
「「やっぱり」」「『共感するところですか!?』」
シュエリーが案内した宿屋は街の中心に近い場所であれこれと寄り道をしながら歩いていった、シュエリーがひとつひとつ説明出来ることにアイナは頷きサリューは感心していた。
「ここの宿屋は私たちがウリュートの街に行っている時に出来た宿屋で、お料理は街のお食事処よりもおいしいと自称してるお店なのよ」
「おぉー!」「おいしいです!」「自称ですけどね~」『高そうなお店ですね』
早速入ってみるとお客様はいなかった
正面に受付があり男の人がいる
「スミマセン、一泊食事付きで五名お願いします」
「私達の宿屋は素泊まりはありません、全て食事付きとなっています、五名以上のお部屋はありませんので、一人から四人部屋があります、二人部屋だけ一部屋だけしか空いておりません、いかがなさいますか?」
感じ良くニッコリと接客する、料金は部屋代でなく一人単位である
「四人部屋一つでお願いします」
「よろしいのですか?一泊食事付き一人銀貨3枚と銅貨4枚です」
受付の男が言うとアイナが金貨1枚だした
「お金持ってるよ?」財布から銅貨1枚を出す
「うふふふふふ~♪そうでしたね~♪」
アイナはそれを楽しそうに受け取る
「こちらがお部屋の鍵です左通路の奥から二番目の扉です、お食事はこの受付横にある扉を入った所です、本日と明日に一回ずつ利用可能できます。待ち合わせの方に言付けはありますか?」
「わかりました、ありがとうございます大丈夫です」
ロビーの受付から離れた位置に動く
「キーアさん、受付の対応はどう思いました?よかったですか?悪かったですか?」
「うーん?笑顔だけどあんまり楽しそうでないかな?」 「楽しそう…ですか?」
「うん!なんか怒ってるとは違うんだけど…うーん?」 「大丈夫です、ありがとうございます♪」
シュエリーとアイナがアイコンタクトする
「キーア!レティあの男尖る感じ似てるです」
「レティ!『それ本当!』「キー様、少し静かにしましょう周りの人に迷惑がかかりますから、レティ様ご飯食べませんか?」」『わかった、ごめんね』
「サリューさんありがとうございます、少し早いですがお食事処にいってみましょうか?」
「わ~楽しみですね~」
「早くいこー!」
自称おいしい料理はあまりにも普通だった
「……少ない…」『………』「…まぁまぁですね」「後で何か買いますか~?」
みんなが微妙な空気になっている中で満面の笑みでレティがガツガツと食べている
「おいしいです!」
「「『えっ!』」」
「確かに不味くはないわね…」
「サリューもう頼んじゃダメなの?」
『一般的な宿屋では出されたもののみであるか、一回の決められた注文だけです』
「サリューのお店もう一回いきたいなぁ…」
「!…やっぱり」
「サリュー様は~自分のお店持っているのですかこ~?」 「持ってないですよ!ウリュートの街で泊まったソウ・リューネの宿屋のことです、私もとても気に入ったのでお気に入りのということです」
「そうですよね~」
「ごちそーさまです!」
「「ごちそうさまでした」」
「おいしくはなかった!」
「キーアさん、あまり堂々とは言わない方がいいですよ…」「わかった」
『おいしかったら言ってもいいのですからね』
「おいしかったです♪」
「レティ様の口には合ってよかったです~あまり食べたことないでしょうし~」
「部屋に参りましょうか」
部屋はきちんとしていた、布団も綺麗に整えられていて掃除も細かいところまで行き届いていた
「うふふ~こちらは快適そうですね~」
「ふふふ、そうですね」
入って装備を置いたらすぐに布団へと飛び込んだ二人を見てそんな感想を抱く
「床に敷いた布団久しぶり~♪」「です~♪」
「ねぇねぇシェリー、明日はどんなお仕事うけるの?」「★2魔物の討伐です、力があるということも見せないといけないので」
「わかった、がんばるね!」「頼りにしています♪」
「サリュー様~、ついでに魔法もお教えいたしますね~」「いいのですか!?ありがとうございます」
布団は二つをくっつけて四人でくっついて寝ました
朝一番にアイナが起き出すと準備を始める
「アイナ様、おはよう御座います」
「キーア様~!…サリュー様ですか~おはよう御座います、お早いですね~」「先ほど目が覚めました」
サウリューネも話を合わせる、声を静めて
「あの、重大な集まりに欠席されてまでアイナ様が来られたのは?」
アイナも神妙に声を落として
「ここの宿屋の準備や申請はひと月前にありました、グレイマティの報告はその少し前から起こりまして、危険な被害が多数起こったのはここ三週です、レティ様も仰っていましたがあの男は準備の間にはこの街にいないで、しゅ、シュオルター様達がウリュートに行っている間、男もウリュートにいたようなのです」
「では目的はシュエリー様ですか?」
アイナは一瞬目を見開くが戻し
「その可能性が高いかと、外部接触、本当に貴女たちのおかげで助かりました、夜も警戒はしていましたが何もなかったです」
「だから外出でなく外泊の許可が出たのですね」
アイナは首肯する、息を大きく吸い吐き出す
「皆様~おはよう御座います~」
「おはよー」「ん…朝ですか?おはよう御座います」
目覚めの良い二人はすぐに起きる
「ああ~レティ様は起きませんでしたね~」
「レティ様ご飯食べませんか?」
「!食べるです!」
布団をバッとめくり飛び起きるレティ
「レティ様に効く~状態異常って何がありますか~?」「?殆ど平気です」「わかりました~ありがとうございます~」アイナはみんなそれぞれに耳元で万が一の行動を言った
食事処でアイナが先頭に同じ料理を注文して料理を受け取っていく、アイナは一部指で摑み何か呟いた
するとこちらに向いて小さく指でバツ印を作る
この確認は昨日も行われていて、その時はシュエリーだけしか分かっていなかったが
席に座るとレティも何か呟きアイナに笑顔を見せてキーアもサリューに代わる、みんなで手を合わせて
「「「「いただきます」」」です」
みんなが一口食べると、苦しみ出してその場に倒れ伏した、すると料理人が何処かに行って八人の宿屋の制服の男と昨日受付にいた男がやってきた
「わざわざこの宿屋にくるとは馬鹿な奴らだ、楽になったからいいんだがな、お前ら連れてけ」
二人ずつそれぞれ近付いて触れると、蔓が伸びて男共を縛っていった
「罠か!」即座に男は部屋の入り口へと逃げて周りを確認する、縛られた奴らは気絶している 側に四人の女は倒れているまんまだ、男はそれ以上に何も分からないし起きないことで恐怖を感じ汗がこぼれ落ちる
それでも食事処から動き出さないのは実力者故なのか、ナイフを出して唱え構える、その判断が悪かった。移動しなかったことは正解だった、男共が食事処に入った時点で四人は抜け出しロビーに罠を仕掛けていたのだ
「あのナイフモヤモヤしているよ!」
「わかりました~ありがとうございます~」
「もぐもぐもぐっ」
アイナは手で構えて魔法を唱え発動させると蔓が扉の壁から伸びてナイフに巻き付きかすめ取った
男は無理に取り返そうとせずに、蔓に向けて魔法を放つ「なっ!枯れないだと!」
「中々に強いですが~天才のアイには敵いませんでしたね~」魔力が圧倒的に上回っていたから効果が出なかったのだ、実力が分かり証拠を奪ったところで男も捕縛していった、男は俊敏な動きで避けていったが数におされ最終的に逃げ出す、部屋から出ると罠が発動して蔓の数が地面から生え圧倒的に増えて男捕らえ縛り気絶させた
「闇魔法ですね、武器に呪術を施せるのでしょう、力もありましたし捕らえられてよかったです!アイナご苦労さま、レティの幻惑魔法は凄いわね、ありがとうございました」
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ、ん?」
「ふふっ、ゆっくり食べていいですよ」
毒入り料理は全て持ってきてレティがおいしそうに食べている、アイナが警備兵に連絡しに行って帰ってた
「これから調べさせていただきます!」「どうぞ~」
「警備兵のみなさま、よろしくお願いします」
「これはシュエリー・フォン・ラウドル様、ここは我々にお任せ下さい」
入ってくる十数人の兵の中の一人にキーアは反応して近づく「おじさんだぁ!元気だった?」
「ん?あの時の!元気だったかは俺のセリフなんだが、キーアは大丈夫だったのか?あとお兄さんだ」
「私?私は元気だよ?」
「そりゃよかった、グレイマティが来た時には俺死んだなと思ったからな…あっ呼ばれた!行かないと、じゃあな」「?じゃあね、おじさん」
「俺は21だぁ!」
「キーアさん、さっきの方とお知り合いで?」
「うん!おじさん」
「呼んでいましたね、ご親戚ですか?」
「ううん、違うよ」
「シェリーお嬢様~先ほどの兵はキーア様がグレイマティの依頼の時の草原の担当兵で~キーア様とレティ様をお通しした方ですよ~」
「シュエリーです!渾名で呼ぶのならばシェリーとお嬢様は付けないで呼んで下さい!
あの方が、個人的に私からもお礼がしたいのですが難しいでしょうね…」
「申し訳ありません、シュエリーお嬢様~
それならば、今日の依頼の護衛として提案してみますか~?」
「大丈夫でしょうか?」
「わたしが直接隊長様にお伝えしておきます~、二時間後にギルドでよろしいでしょうか~?」
「はいっ!レティさんは?」
「食べ終わって寝ていますよ~」
「やっぱり寝足りなかったのですね、キーアさん背負えますか?」「大丈夫だよ!」
キーアはレティの背中と膝裏に腕を入れてヒョイッと持ち上げた
「(私もやってもらいたい…)」
「シェリーいいよ」「行きますね、アイナ後はお任せしますね」「畏まりました~」