2章 第1幕ラウド
キーアたちはシュエリーたちとは随分仲良くなれた、ご飯のこと、旅のこと、料理のこと色々話した
シュエリーはどうしてもキーアに会いたくて父が自分の護衛の一人のペストを娘に付けて残ったそうだ、宿屋でもタイミングが合わず、ギルドでも確認したら既に街を出た後だったらしい、どこにいったかはわからずにいたが偶然出逢えて嬉しかったそうだ
そしてラウドの街を前にして
馬車がラウドに到着しても止まらないことにキーアは不思議に思ってシェリーに聞いてみる
「ねぇねぇシェリー、門では確認を受けるんだよね?馬車がもう着いちゃうけど降りないの?」
「私たちはね、今速度を緩めているでしょう この間に御者様が証明しているのよ、貴女たちも私のお客様として保証されているからここで確認は大丈夫よ」
キーアがこてんっと首を傾けるとシュエリーは顔を盛大に緩めて
「私のお友達ですからね♪」「うん!」
ガシッとシュエリーとキーアが抱き合う
「お嬢様この先からは気を付けて下さいね」
「はいっ!!キーアさん、私には立場というものがあるので悲しいですけれど他人がいるところではあんまり触れ合うことや多くを語ることは出来ないと思います、サリューさんその時はよろしくお願いします」
「わかった!」「承りました」
シュエリーも数日で二人の性格がわかっているのでサウリューネにもお願いした、ペストも頷いている
馬車は街に入っても止まらずに一番奥まで進んでいく、周りの建物とは一線を画した建物の前で止まる
「着きましたわ」
ペストが先に降りて扉を開けてくれる、シュエリーが降りて私たちがそれに続く
門の前にいた二人の兵が私たちを見てシュエリーへ
「其方の方はどちら様でしょうか?」
「私のお友達となった方たちです」
「畏まりました」
と門を開けてくれるのでシュエリーの後ろに付いて入る、兵の横を通った時にキーアが「ありがとう!!」と言ったのでシュエリーは吹き出してしまって、困惑して「どうも」と兵の人は返していた、扉までの間に後ろのペストに「頭を下げるだけでよろしいのですよ」と助言を頂いたので「ありがとう!」と言ったらシュエリーがまた吹き出した
ペストが扉を開けて入ると60歳くらいの男執事が立っていて、片方の手のひらを胸に当て「おかえりなさいませシュエリーお嬢様」と優美な礼をする、シュエリーも「ただいま戻りました」と微笑む
「こちらは私の大切なお客様です」
「畏まりました、お客様はこちらへどうぞ」
「うん!ありがとう!!」
「ホホホ、元気の良いお嬢さんですね」
「元気だよ!」
「ふふふふ♪」
シュエリーとペストは違うところへ行き、私たちは客間へと通された
「うわーどこも広いねー!」
『そうですねぇ、普通は静かに待っているのですよ?』
「そうなの?わかった!」
『多分それは望まれていないと思います』
「どうしたらいいのかなぁ?」
『ふふふ♪、キー様でいることで良いと思います』
「よくわからないね」
その時ノックがして一拍置いて「失礼します」と扉が開くさっきの執事だ
「こちらをどうぞ」
カップとお菓子を置いて、ポットでカップに注いでいる
「いいの?」「どうぞ召し上がって下さい」
「わーい、いただきます!」
「ホホホホホ♪気持ちいい方ですね」
再びノックがして扉が開き「失礼しますね」とシュエリーが入ってきた
「シェリー、これおいしいよ!」
「ふふふ♪気に入って頂き嬉しいです
どうかしらダモン?」
「えぇ、素晴らしいお方ですね」
執事はシュエリーにもカップを用意して注ぐ
そして改めて礼をとって
「はじめまして、この屋敷の執事の『ダモン』と申します以後よろしくお願いします」
「キーアだよ、よろしくねダモンさん!」
「サリューと申しますよろしくお願いします」
「驚きましたなぁ」
「はい、私も初めは驚きました。キーアさんとサリューさんは違う方です」
「そうですか、キーア様、サリュー様よろしくお願いします」
「ところでキーアさんが、敬称を付ける方は決まっていらっしゃるのですか?」
「いえ、キー様がそういう意味で付けた人はいませんね」
「キーアさん、ダモンは何故ダモンさんと呼んだのでしょうか?」
「んーー?なんとなくダモンさんって感じがしたからかな!」
「キーアさんらしい理由ですね♪」
「あっ!私でいられた!」
「そうですね♪」
暫く雑談していると給仕の女性がダモンに何か伝えて退出していたった
「シュエリーお嬢様、準備が整いました」
「わかりました キーアさん お食事をご用意しました、移動しましょう」「うん!」
ダモンの先導で食堂へ案内される、途中でシュエリーの父も同席されると聞いてサウリューネはものすごく緊張してしまった
「あのチュエリー様、失礼しました!、シュエリー様御言葉遣いや作法といったものは…」
「ふふふ、気にしないでいいわ、父はそういったことには寛大なのよ」
「はぁぁ」
「ごっはん♪ごっはん♪おっいしぃかなぁ~♪」
屋敷で雇われている人とすれ違うと不思議な顔をして足や手を止めて頭を下げる
「ホーホーホー♪本当に愉快なお方たちですね♪」
シュエリーはダモンの珍しいご機嫌な姿に嬉しくなるのだった
「こちらでございます」
ダモンが扉を開けると大きな長い長方形のテーブルに
料理が所狭しと並んでいてみるからにおいしそうだった、奥の椅子から少しふくよかな温和そうな男性が立ち上がり歩いてきて
「ようこそわが屋敷へいらっしゃいました、楽しんでいって下さい、わたしがこの街の領主を務めています『シュオルター・フォン・ラウドル』と申します」
「うんよろしくね、オルター!」
『あわわわわわわ』
シュオルターは面食らった顔で
「ふふふ、ふふふふふ、あはははははは」
シュエリーが堪えきれなくなり大爆笑する、すると奥からペストが来て
「はしたないですよ!お嬢様」
「ふふふふ、ふふっ、ごめんなさい、どうしても堪えられなくて」
「ホッホッホ、キーア様はやはり大物ですな」
そこでシュオルターは楽しそうな状況に落ち着いて
「キーア、後サリューと言ったかな」
「うんっ!」「あの、私のことまで?」
「ウリュートの宿屋の受付で案内人と揉めていたのが気になって遠目でみていたのだよ、翌朝もキーア殿に楽しませてもらったのでな」
「それででしたか、キー様が食べていた時に周りにいた方だったのですね」
「あの宿屋に泊まる者は身分が高い者が多いからな」
「父様、お話しもよろしいですが、せっかくのお料理が冷めてしまいます」
「あぁ、そうだったな」
シュオルターは奥の席に着く、シュエリーは向かって左側の中心やや奥にペストが椅子を引く、私たちはダモンにシュエリーの対面に案内される
「ダモンさん?何でみんな離れているの?シェリーの隣じゃダメなの?」
ダモンは困ったように「それは、お食事の時にお相手の…「ダモンさん、移動していい?」」
「いいぞダモン、移動してあげよ」
「よろしいので?畏まりました」
テキパキと準備をして新たなお皿をもってくる
「シェリーの隣だね!オルターは来ないの?」
「はいっ、こうやって食事するの楽しみです!父様は…」「わたしがか?………うん、いいかもしれんな、シュエリーよ隣いいか?」
「シュオルター様!?」
ペストが驚きの声をあげる
「えぇ、喜んで♪」
「お嬢様!?」
「ホホホホホ、はいこちらでございます」
ダモンさんは既にシュオルターのお皿をもってきていた
「ダモン、準備いいわね」
「キーア様が移動なされた時にもしやに準備しておりました」
「ダモンは優秀だな」
シュオルターはチラリとペストを見て言った
ペストは少し悔しそうにして笑う
シュエリーの両端にシュオルターと私たちが座って食事が始まる
「キーアさん何を食べますか?取り分けてもらえますよ」
「全部食べたい!」
「どうしましょうか?」
「キーア殿はそうであろうな、シュエリーよわたしたちが先に取り分けてもらい残りを渡した方がよいのではないかな」
「父様は柔軟ですね、そうしましょう」
シュオルターとシュエリーはお皿を用意してもらいそれぞれ指示した品を取り分けてもらった
こんな無作法な食べ方に二人は楽しんでいた
料理を前にして中々食べられなかったキーアは、何度も「まだなの?」とシュエリーにきいていた
準備が終わりシュオルターが
「ではいただこうか」
「「いただきます」」
キーアはいつも通りに食べていく
「何度見ても見事な食べ方だ」
「初めて見ましたがこれは…はいっ、ワクワクします」
「よく綺麗に食べられますね」
もちろん「綺麗」とは食べ方でなく無駄に後食い等せずに食べきることだ、ペストとダモンも微笑ましく見守っている
シュオルターとシュエリーはもちろん綺麗に食べ終えるとほどなくして
「ごちそうさま、すごいおいしかったね」
とあっという間に食べ終えたキーア
「ウチの料理人も喜ぶだろう」
「ふふ♪食べきってしまうとは思いませんでした」
「たくさんおいしいもの食べられて!しあわせー」
「はいっ、私もです!」
「うむ、わたしもだ、たまにならこういうこともいいかもしれないな」
「父様!はいっ!また行いましょう」
ダモンが片付け始め使用人たちもやってきた
片付け終わるとシュオルターは口を開いた
「ところでキーア殿はラウドの街へ何しに来るつもりでいたのか?」
「困っている人を助けにきたの」
「は?目的はないということだろうか?」
「父様、勇者様みたいに各地を回り冒険者を通して人助けをすることみたいですよ」
シュエリーが馬車でキーアとサウリューネから聞いた話をまとめて説明する
「勇者とはわからないが、それならわたしも是非とも頼みたいことがあるんだ」
「うん、いいよ!何?」
「ペストの報告を纏めると、ウリュートの街でわたしが出発した後に出たロックガンクの討伐報告もキーア殿がやったと考えられるが間違いないかな?」
「聞いたことあるよ、ちょっと待ってね、
…。ロックガンク……シェリー…石だ!」
『キー様すごいです、倒しています』
「はいっ倒しました!」
「……。うむ、そうか?」
「父様大丈夫です、例え違っていてもロックガンクを一人で倒せるのをペストと確認していますから」
「そうだな、最近魔物の動きが変わってきていてなウリュートとの街道にも★3以上の魔物が現れることなど殆どなかったのだがペストを付ければと油断していた、馬車を娘を守ってくれて本当にありがとう」
「ありがとうございます」
「それで、正式に貴女に依頼したいのはグレイマティの討伐なのです」
「ちょっと待って下さい、グレイマティと言えば温和な魔物ではないのですか?」
「知っているのか?そうだな、グレイマティは★4魔物でありながら攻撃性は一切無く、触っても大丈夫なくらいの魔物だ、しかしここ最近では他の魔物を討伐にいった人への被害が多数出ている、何名かは…。グレイマティがでる西にある平原には現在立ち入りを禁止しているのだ」
「ねぇねぇ、よく分からなかったけれどそれは困っているの?」「うん?困っている」
「そのグレティーって触ってもいいって可愛いの?」
「グ、グレティー!?うむ。見た目は可愛いぞ」
「怯えて逃げる?」
「に、逃げないな、今は危険だが」
「スクレとどっちが可愛い?」
「人によるな、種類が違い過ぎる」「ありがとー!」
「どういたしまして?」
「キー様?スクレ連れていきたいって言ってましたね?」「うん可愛いよね!」
「はぁー、シュオルター様この依頼失敗するかもしれませんが出来る限りのことは致します」
「無理難題を承知で頼んでいる、危なかったらすぐ逃げろ!シュエリーのためにも、な」
シュエリーがキーアに抱きつき
「絶対に帰って下さいね!お料理をお作りしてお待ちしていますから」
「!!ガンバル!!」
話しが終わるとペストがやってきた
「キーア様、貴女様と戦った時なのですが、杖を使っていらっしゃいましたよね?あまり状態が良くないのではと…」
「えっ!そうなの?、剣と杖は村を出るかなり前から使っているからかな?」
「ちょっと貸して頂いてもよろしいですか?」
「いいよ」
ペストはまず剣を受け取ると驚いた、次に杖を受け取ると更に驚き落ち込んだ
「キーア様、こちら両方ともお値段で決められましたか?」
「わからない、お父さんが私が子どもの時に買った物だから」
一気に空気が重くなる「それは…」ペストも言葉が出てこない
「皆様違いますよ!キー様の父様はご存命です、小さい時に家を出ることを諦めないキー様に練習用と渡された物なのです」
空気が戻っていく、ホッとしたように
「そうでしたか!剣も杖もすぐに壊れてもおかしくない状態なのです、ご依頼の前に武器を…出来れば防具も整えることをおすすめします」
キーアは身を守る装備を付けたことがないのでよく分からなかった、またサウリューネも武器は見た目で分かるが防具の装備の知識は全くない
「あ、あの?防具について何も知らないのですが…」
おずおずとサウリューネがペストに言うと
全員が驚いていた、冒険者になっている人が装備を売っている店に立ち寄ったことすら無いということはあり得ない。普段戦わないシュエリーですら行って買っている
「背負っているハンマーは結構良い物ですけどどこで?」
「ヒューゴにもらった!」「えっ!もらい物ですか!?」 話しによるとまだ行ったことがある所はウリュートだけだと、父親は剣や杖を考えるとあり得ないので余程いい出会いをしたのだろう、ロックガンク関係だろうがギルドは一切そんなことしない
「では、アイナを案内に付けよう ペスト連れてきてもらえるか?」「畏まりました」
数分後
「アイをおよびでしょうか~?シュオルター様」
間延びした声の女性がシュオルターの前で礼をする
「アイナ、この者に武器や防具のお店を紹介して説明してやれ」
「畏まりました~!新人冒険者ですか~?可愛いですね~♪」
「いや新人……ではあるのだが新人ではない…」
「??」
「それはいい、よろしく頼む」「は~い~」
シュエリーもウズウズしているが立場的にいけないので我慢している
「シェリー行ってくるね」
「はい!行ってらっしゃいませ、アイナ!キーアさんを頼みました!」
「キーア様と言うのですか~、お嬢様のお名前シェリー様でしたっけ?」
「違います!シュエリーです!」
「失礼しました~!シュエリーお嬢様、行って参ります~」
「はぁー、アイナは有能ではあるのだが…普通主人の娘の名前を忘れるかね」
「姉さんは天才なのですが、記憶力がないのですよね…」
屋敷から徒歩15分割と賑わっているお店に到着した、その間に自己紹介は済ましている
「店の奥側に防具~手間側に武器が~おいてますよ~」
「アイナ、杖と剣はどこにある?」
剣の場所に連れて行ってくれる
「どんな物をお探しで~?」「使いやすいの」
「重さはどのくらいが~?」「振りやすいくらいの」
「予算はどのくらいまで~?」 「わからない」
「う~ん、手を握ってもよろしいですか~」「うん」
キーアが手を差し出すと両手で被せるようにしてから、指を一本一本絡めて数秒で離した
「はい~、こちらの型ですね~持ってみて下さい~」
刃の中心に一本の青色が入った剣だった、重さ今の剣より約200g重く柄の太さは少しだけ細くなっている、キーアは軽く振ってみる
「何これ!凄い!何で軽いよ!」
サウリューネに代わり振ってみる
「思い通りに振れます!素晴らしいです!確かに軽く感じます」
「うんうん、よかったですね~ お値段張りますが少しならアイが出しますから~、自分にあった物の方がいいですからね~」
値段を見ると周りのとは、ずば抜けて高かった 大体は安いので銀貨8枚、良い物で金貨1枚プラス銀貨だった
「大丈夫ですよありがとうございます、杖もよろしくお願いします」
「そうですか~?わかりました~」
杖が売っている場所に移動する
「サリューお願いね」
「はいお任せ下さい」
「では~どんな物を~?」「打撃でも使える丈夫な物を」
「どんな魔法を~?」 「簡単な四大魔法です」
「凄いですね~!、上位魔法は使えそうですか~?」
「使用法がわからないのでわかることができれば少しくらいなら使えると思います」
「ふむふむ~!少し魔力くれます~?」「分かりました」 サウリューネはアイナの手を両手で包み魔力を少し流す
「えっ!!初めてのタイプですね~!強い感じと優しい感じが両方突ついてくるような~、絶対使えますね~!。難しいですね~、打撃と魔法を考えると~」
「アイナ様、丈夫であれば威力でなくても大丈夫です、剣では過ダメージの時に使っていたので、少なくても今の杖よりは何でもいいですから」
「そうですか~?それなら~、これ…いや…こっちですかね~」 アイナは少し茶色にピンク色が入ったような色の先がクルリと回った杖を選んで渡される
杖はその場で使えないのが欠点だ、しかしアイナの感じをみるに大丈夫だろう 握りの方は剣の時に把握してくれていたからピッタリだった
『決まったみたいだね?買いに行こー!』
「では、お会計しちゃいますね」
「値段大丈夫~?それも高いよ~」
杖は安い物で銅貨9枚、良い物で銀貨90枚ほどだったがやはりこれもずば抜けて高かった
「大丈夫ですよ」「……。」
会計しに行く、数少ないかなり貴重な商品2点を見て店員の目が開く、少女を見て更に驚く、間違いでないか確認してくる、値段をわかっているか確認してくる、悩んでいる、会計する なんと大幅に値下げしてくれた
「あはは~この店の店員凄い頑固なんですけど~値下げしてくれたの初めてみました~」
剣が金貨8枚と銀貨93枚、杖が金貨6枚と銅貨2枚 合わせて大金貨1枚と金貨4枚と銀貨93枚と銅貨2枚のところを大金貨1枚と金貨3枚にしてくれたのだ
「それにしても大金貨なんて通常の買い物で久しぶりにみましたよ~ 高いのを薦めてしまってどうしようかと思っていたんですけど~」
「アイナ様は人に合った物がわかるのですね、私たちでは適当になってしまうので有難いです、防具の方もよろしくお願いします」
「わかりました~♪おまかせ下さい~♪」
店の奥に行くと違う店に入っていったみたいだった
「お二人は回避スタイルですかね~?」
「回避スタイル?」
「あっ、説明しますね~ 正式な決まりはないのですが~大体3種類に私は分けています~
見ていて一番多いのが突撃スタイルですね~、避けられるものだけ避けて相手の反撃を覚悟で突撃する人ですね~
二つ目は先ほど言った回避スタイル~
相手からの攻撃を受けないよう素早く動けるように身軽で動きやすい格好で避け続け~隙が出来たり作ったりして戦う人です~
三つ目は反撃スタイルですね~
相手の攻撃を受けることを前提として~カウンターや消耗を目的とした戦い方ですよ~
どうでしょうか~?」
「そうですね…回避スタイルが近いですね」
『全くわからなかった!』
「わかりました~、鎧とかは合いそうにありませんね~、付与系のとかが良さそうですね~」
アイナは一番奥の隅にある服屋みたいなところに来た、他の場所と違い客はいなく店員が男女二人配置されていた、しかしキーアを見るなり喜んだ後に嫌な顔になった
「こちらからお好きな服を選んで下さい~」
「どれがいいの?サリューお願い」
「キー様、スミマセン…私も少しわかりません…」 「そっか!アイナお願い!」
「えっ、はい?わかりました~?」
アイナは普段着を決めるだけなので何が分からないのかが全くわからなかった。二人が今着ているボロボロの服を参考に似合いそうなのを選ぶ
「どうでしょうか~?」「うんいいよ!」
「あはは~何でもいいのですね~♪」
ろくに見ずに了承するキーアにアイナは笑顔を浮かべた。 女性の店員さんのところへ服を持っていくと、キーアを奥の個室に連れて行くアイナも一緒だ
「はい、ではまず今着ている服を脱いで選んだ服を着用して下さい」
キーアは装備を置いて脱いでいくと二人が固まる
「あの~キーア様~下着は~?」
「はいてるよ?」下を脱いで言う
「そういうことでなくて~今はいいです~服を着て下さい~」「???」『???』
キーアが服を着ている間に元の服を畳もうとアイナが触ると「えっ!」、数瞬、何事もなかったように努めて畳む
「きたよー!」
「はいっ、それでは何がいいでしょうか?」
「物理と魔法軽減でお願いします~」
「畏まりました」
店員さんがグッと魔力を込めるそしてキーアが着ている服へと触れると服が一瞬光って戻った
「はい完成しました」
「ありがとうございます~」
服を選んだ場所に行ってお会計をする
付与服は一律銀貨15枚、一付与金貨2枚、二重付与金貨3枚である。防具買うよりお得だが効果は少しだけ弱い、回避スタイルで腕利きの人向けなのだ
外に出るともう暗くなっている
「アイナ、手伝ってくれてありがとう!」
「アイナ様、色々ご教授をありがとうございました」
「いえいえ~お仕事ですので~ でも本当に楽しかったです~♪ またお会いしましょう~」
「うん!」「はいっ」
アイナと別れて街を出て西へと向かった