第4幕
「キー様、街はいつ出られるのですか?」
朝食を食べた後にサウリューネは尋ねてみた
「うーん、もうやることはないよね?今日いこっか?あっ!でもあの店の残りの食べてからね!」
「ふふふ♪そうですね」
宿屋の受付に鍵を返してギルドへ向かう、昨日のような視線はもう無くたまにチラチラ見る人がいる程度だった、アネルはお休みで居なくかったのでサウリューネが「色々お世話になりました、ありがとうございました」と伝言を他の職員に頼んだ。
向かいのお店でメニューを全部メニューを頼んで一品ずつ二人で仲良く交互に食べたのであった。
「ところでサリュー次は何処に行けばいいかな?」
『うーんそうですね、一番近い街なら「ラウド」でしょうか』
「じゃあ次はそこに行こっか!」『はいっ』
この街で一番お世話になったヒューゴにも挨拶していこうとしたが会えなかったので門兵さんに伝言を頼むことにした。街を二人は出ると
「何だか少しさみしいねぇ」『そうですねぇ』
思いにふける二人
『キー様、本当に困っている人をたくさん助けましたね』「えっ?」『ふふっ』
『泊まった宿屋もあのお店もすごくおおいしかったですね』「うん!」『ふふふっ♪』
『行きましょうか!』
「うん!行こっか!」
ウリュートの街を背にして北東の方角へ続く街道を進み出したのだった
街道では魔物が近付かないように魔法が施されている、しかし効果は気休め程度で十体に一体逃げてくれたらいいくらいで殆ど効果がないので移動する人や商人はギルドで護ってくれる人を雇うのが一般的だ
そんな街道をゆっくり遠足をするように歩いていると、たまにすれ違う人に不思議で気の毒なものを見るような目を向けられる
「気持ちいいねぇー」『そうですね、あっ!あちらにまたスクレがいますね』
「あはは可愛いー!連れていきたいな」
スクレはラットと似たような性格でリスに似ている★1魔物(一般の人でも倒すことは出来る)だ」
『本当に可愛らしいですね、怯えられて無理でしょうね』
ノンビリたわいない話をしながら歩いていると、後方からきた馬車が横を通り過ぎたところで動きが止まり10歳くらいの少女が降りてきて
「もしかして貴女が『たくさんの料理を食べられる女の子』ですか?」
少女は確信がありそうだった
「ん?私?わからない」
後ろでピシッとした服を着ている男性が動こうとしたが少女が手を出し制した
「失礼しました、ソウ・リューネという宿屋にお泊まりになられました?」
「サウリューネ…サリュー!うん!泊まったよ、ご飯がおいしかった!」
「…女神様?、間違いないようですね、貴女を屋敷に招待したいのですが目的はどちらに?」 「お嬢様!」
「近くの街…サリュー、何だっけ?」
「キー様、ラウドです」
遅かれはやかれ、ばれるのならと一番安全であろう今に表に出てきた、案の定お嬢様は驚いた、護衛らしき人は剣を抜いている、止める主人を前にして少し予想外であった
「あー!ラウドだって」
「お父様が言っていた通りなのね!ラウド、ちょうどいいわ!どうかしら?」
「こんな怪しい奴を近付ける訳にはいきませんよ!」
「ペスト!?」
『キー様、杖であの剣を弾いて下さい』
「うん、分かった!」
護衛は一気に詰めよりキーアに剣を振る、おそらく牽制だろう しかしキーアは横に跳び剣を打つように振った 護衛はすぐに転がり逃げると今度は本気だと剣を構えすごい速さで打ち込んできた、相手の方が技能が高く、なんとか見切り避けるだけで精一杯だ
大きく後ろに跳んで
「サリュー無理だった」
『分かりました、私がやります』
護衛が既に振りかぶっている、サウリューネは一振り一振りをしっかり捕らえて杖で防ぐ、当たる直前に流れに引いて受け流す、たまに流す方向をズラシて崩し隙を作らせる、三回目のフェイクを入れたところでやっと護衛が蹌踉めいたので、相手に向かい一歩踏み出すとサウリューネも蹌踉けて転びそうになってしまった、しかしキーアが代わり、体を持ち直し剣を思いっきり弾き飛ばしたのであった
『キー様ありがとうございます、助かりました』
「ううん、こっちの方が助かったよ!ありがとうサリュー」
弾き飛ばした瞬時に少女がもう戦わせないと駆け寄ってきて
「大丈夫ですか?!!、ごめんなさい止められなくて」見るからにシュンとなっている
「大丈夫だよ!サリューが守ってくれたから」
『キーア様』
「あ!肘の所が怪我になってるわ…」
避けきれずに刃が当たってしまったんだろう
「これくらいならね、んー『エイッ』ほらっ治った!」
「回復魔法をお使い出来るのですか!」
「うん!」
「なんか可愛らしいですね、、あっ!年上の方に失礼しました」
「うん?ありがとね!」
「うふふふふ♪」
「笑った顔可愛い!」
「えっ!あっ、ありがとうございます(てれてれ)」
「あっ!申し遅れました自己紹介しますね、ペストいいかしら!」
お嬢様は私たちと話していた時と顔を一変させて、怒ったようにこちらを睨んでいた護衛を呼んだ
「はいっ、お嬢様」「ありがとう」
少しギスギスしたように一枚のカードをお嬢様に渡した、そのカードを私たちに見せながら
「私の名前はシュエリー・フォン・ラウドルと申します、気軽に『シュエリー』とお呼び下さい」
「うんわかったシェリー、ところでこれギルドカードだよね?」
「シェ、シェリー?私のことですよね?これが渾名ですか、嬉しいものですね」 「チッ!」
後ろで舌打ちが聞こえた、シュエリーはキッと睨む
「はいっ、ギルドカードですよ」
キーアは自分のギルドカードを出して
「私たちのと色が違うんだね?」
「あっ、そうですね、貴族など立場をもっている方々は縁が黄色でこの端の所に家紋や印が描かれるようになっています」
「へーそうなんだシェリーは貴族なの?」
「えっと、はいそうですね」
「そうなんだ!貴族って何なの?」
「えーと」
シュエリーが頻りに周りを確認して困っているので
「申し訳ありません、シュエリー様答えなくて結構ですよ」
「きゃっ!あっ!あのこの場ではちょっと…」
「ふふっ、自己紹介しますね、私がサリューと申します」
「私がキーアだよ!12歳だよ!」
『キー様年齢は言わなくても…』
「私も同じ年なんです」
「そうなんだお揃いだね♪」
「はいっ♪」
シュエリーはいつも年齢を確認されると子供っぽいとか嫌味を言われるので公式の場以外では口に出さないのだが、キーアには自然と平気な気がして同意した
「いい加減にお戻りになられてた方がよろしいのではないでしょうか!お嬢様?」
かなり苛立った感じで声がかかる
「そうですねお父様が心配なさるかもしれません、キーア様ご一緒にどうでしょうか?」「チッ!」
「いいの?ありがとうシェリー!」
「ペスト様、大丈夫ですか?」
「大丈夫ではないが、お嬢様が決められたことだ」
中は広くシュエリーと私は対面で座る、ペストは一緒は嫌だと御者さんの隣に座った、護衛対象じゃないのか。
3時間ほど進んで行くと地響きが起こった、御者は馬を止め、ペストはすぐ周りを確認する
「何でしょうか?怖いですね」
「大丈夫だよ、シェリーは私たちが守るよ!」
「は、はい!ありがとうございます」
「キー様、これはロックガンク!?」
「ロックガンク!!」「それ何だっけ?」
シェリーはガクッと崩れる
「巨大な岩の魔物です!」
そんなこと話しているとペストが
「お嬢様、引き返します逃げましょう、近くに大型魔物がきました」
「キー様ハンマーを!行きましょう」「うん!わかった!」外に飛び出していく
「キーアさん!サリューさん!」
シュエリーは突然飛び出した二人に叫ぶ
引き返してしまう御者を何度停止を呼びかけた
………
馬車を降りて前を見るとこちらに、ロックガンクがのしのしと歩いてきてた
「巨大って小さいね!!石じゃん!」
『ふふふふふふふふ』
キーアの言葉に堪えきれずに笑ってしまうサウリューネ
『足を横一線に砕いてから、魔力がくるので避けて頭を打って下さい』
「うん、わかった!あれ?なんかやったことあるような?まぁいいや!」
キーアは突っ込んでいきそれに気づいたロックガンクは足を上げ振り下ろすが遅いロックガンクではキーアのスピードには追いつけずにキーアは下を通り過ぎるその隙にもう片方の足を砕く、ロックガンクは前傾に倒れるが、途中全身が光る
『キー様!右2…「うん、なんか見える!」!?』
キーアは右2歩分ズレて少し後ろに下がる
とキーアの周りにレーザーみたいに魔力が放たれる
『すごいです!』
「えへへ、行くよ!」『はい!』
止んだ瞬間に走り倒れた頭にシルバーハンマーを振り下ろして砕かれロックガンクは動かなくなった
『キー様よく魔力がおわかりになられましたね!』
「なんかあそこから力がくる!って感じたの!」
「怪我なく倒せてよかったですね、馬車はどうなったでしょうか?」
道の向こう側からシュエリーの馬車がやってくる
前で止まりペストが降りてきた
「これアンタがやったのか!!」
目を丸くして驚いている
シュエリーも降りてきてキーアに抱きついた
「よかった、無事で…ホントに…」
涙を流して無事を喜んでくれるシュエリー
「うん!ただ石を砕くだけだからね!」
「ふふふ、石って!ご冗談が上手いのですね」
ペストが近くにキーア来て跪いた
「馬車を助けて頂きありがとうございます、先ほどの御無礼は申し訳ありませんでした!、お嬢様も失礼しましたイライラしていたようです。是非とも私めからもお礼をさせて頂きたいと存じます」
「うん?うーん?」
「ペスト様、そんなにへりくだらないで下さい、お礼も結構ですから」
「キーア様、サリュー様!」
「ペスト、反省だけいただければ大丈夫です。」
「寛大なお心ありがとうございます」
「改めてお二人をご招待してもよろしいでしょうか?」
「はいっ、もちろんでございます!」
シュエリーが御者を何度も説得して戻ってくれたのをきいてキーアもシュエリーに抱きついた、普通なら許容範囲外だが本人がとっても幸せそうなのでペストも見てないことにした
馬車の旅は五日間続き、夜の見張りは何度も何度も首を横に振るペストをサウリューネが説得してキーアたちが行ったのだった