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神子と女神の冒険  作者: スルー
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1章 第1幕キーアの旅立ち

 キーア・トイエックはとある村で普通の家に生まれ途中まで普通に育った少女である

 7歳の時に病気で母が亡くなりキーアはふさぎ込んで家から一歩も出なく喋らなくなってしまった、そんな娘を見て父はひとつの絵本を買ってプレゼントする

その本は正義の勇者が悪の魔王を倒して世界を救うというごくごく普通の絵本だったのだけど、キーアはその本を読んだ次の日に家を飛び出していき木の枝を拾ってきて

「わたし!勇者になるの!家を出るね!」

そんな娘に父は慌てて

「待ってくれ!急に出てきたと思ったら!」

木の枝を振りながら

「わたしもこまってる人を助けるの、魔王を倒すの」

「いやまって!魔王はいないよ!お話の中だからね!」

父はつい、はちゃめちゃな娘に言ってしまった

「ガーーーン」

自分で効果音をいってまで、物凄くショックを受けて立ち竦む、父が慌ててフォローしようと

「あっ…でもな、こまってるひとを…」

「そうだ!こまってるひとはいるよね!色んな所に行って助ける!いくねーー」

「待て待て!ホントに待ってくれ!行くにしても準備が必要だろう!」

「あっ!そうだね!準備してくるー」

父は肩を摑んで疲れた様子で

「元気になってくれて嬉しいんだけど、外には危険がいっぱいなんだよ…絵本にも出てこなかったかい?」

「うーん?危険?魔物は倒しているし魔王も倒すしーう~ん…」

「それ!それなんだよ!魔物がね危険なの!」

「えー、剣で斬れば倒せるよ?」

「剣を扱う難しいの!それに振れば倒せるわけではないの!そもそも剣持ってないよね!」

「ガーン、そうだった!?」

そんなユニークな我が子に

「12歳までは家に居てくれ、それまでに必要なことを教えるから」

父は説得しようと時間を使う事を考えた、失敗しても12歳ならば色々と都合が良いからだ、素直な娘は悩みながらしぶしぶ首を縦に振ったのだった。


 1年間必死に剣を振るい心身を鍛えたが剣の腕はサッパリで身体能力だけが上がっていく、何度も挫けそうになったが勇者になる目標が彼女を奮い立たせていた

 父も武器の扱い方、薬草の見分け方、森や山での立ち回り方色んな知識を覚えて娘に教えていった

 更に半年

「うん!剣は飽きた!違う方法にしよう!」

「えぇぇ!!勇者になりたいんじゃなかったのかい!?」

「うんうんっなるよ!でも剣じゃなくてもいいよね」

そんなキーアを見て父はため息を吐いて

「はぁ~わかった諦めるまではとことん付き合うよ」

次の日には弓矢を買ってきて的を作り娘に渡しひと通り覚えた知識を教えこんだ

 2カ月後

「弓の病気が治らないね?他で頑張るよ!」

「またかい?諦めるの早くないかい?」

「ううん、諦めるコツを摑んだの!」

「うえぇぇ!?はぁぁ~ぁあ、わかった槍を買ってくるよ」

 2週間後

「わたしでは役不足だったようね」

「はいはい、槍は簡単過ぎたね」


 あらゆる武器を試したがどれも続かない、しかし全く諦めないキーアに父はどうするか?と頭を悩ませていた

「後は杖くらいしかないけど」

と既に買っていたものを渡す

「魔法は才能がないことには使えないからなぁ」

「大丈夫!それこそわたしが求めていた武器だよ!」

キーアは火よ!、水よ!色々言って振り回しているが、ただの素振りに終わる

 父はやっぱりかーとすぐ諦めると思っていたのだが、何日何ヵ月経っても思考錯誤しても諦めずに頑張っている

 そんなキーアが後1ヶ月で12歳になる時だった

「おとうさん!なんか女神様がお腹減ったって」

父は飲んでいたお茶を吹き出した

「汚いなぁ、ダメだよ汚しちゃ!」

「う、うんごめんね、それで何だっけ?」

「女神様がお腹が空いたんだよ~、ご飯ちょうだい!」

あぁ!キーアはお腹が空いたんだなぁと納得して軽い食事を作り出してあげた

すると、いつも競うように手早く食べるのとは違い「いただきます」と言って優雅に食べ始めた

仕草こそ雅だが何度も取った物を落としているのがチグハグだった

目をパチクリと驚かせている父に構わず、キーアは完食して「ごちそう様でした、とてもおいしかったです、ありがとうございます

父様(ちちさま)、では失礼します」

「あぁ、おいしかったぁ!!」

「キ、キ、キーア?」

「どうしたの?おとうさん?」

「いや、何でもないよ、ごめん」

「ふーん、それよりね!ちょっと手を見せてもらっていいかな?」

「??こうか」

父は手に昔魔物に襲われて残った傷跡があった

キーアは傷に手を翳して

「えいっ!」温かい光が包んで消えた時には

「えっ!何今のは?きっ、傷が無くなってる!!」

「わーい成功だぁー、ありがとう女神様」

何が起こったのか理解出来ずに父は呆然として

意識を取り戻すと

「何をしたんだい!」

詰めよりながら言った、キーアは圧されながら

「なんか女神様が、わたしには才能が殆ど何もないけど回復は使えるよって教えてくれたんだよ!」

何を尋ねていいかがごちゃごちゃの父は

「うーんとだな、女神様って言うのは何だろか?」

「えっ!女神様は神様だよ、女の神様だよ。あはは知らなかったんだね!」

「それは知っているからね!?女神様と話したの?」

「さっきねお友達になりました」

両手を広げてババーンと宣言する

「ええぇぇえ、さっきご飯食べたのってもしかしてだけど女神様なの?」

「ん?女神様がお腹空いたって言わなかったっけ?」

「確かに言ったけどね!!…うんキーアごめんね、父さん信じてなかったよ」

「あはっ、そっかー!女神様気にしてないみたいだから気にしないでって言っといて下さいだって」

「女神様話しをきいていらっしゃるのですか!失礼しました」

「父様気にしないで下さいましぇ、痛っ。

こほんっ、キー様と同じように接してくだしゃ…

 あっ!女神様引っ込んじゃったの!」

父は女神様が少しわかった気がした…

「ありがとうございます、娘をよろしくお願いします」

 女神様の名は「サウリューネ」と言うこれはここら南地方を中心に世界の3割の人が信仰している神様であって、名を知ったら父は心臓が飛び出るかというほど驚いていた、本人の(強制的な)希望もあり「サリュー」と呼ぶこととなった

 それからの数日で剣をサウリューネが扱い、回復をキーアが行うという形を形成いった、サウリューネの助言によりキーアが「殴る(叩く)」に関して凄いことが分かった

 父は本当に初めの枝はある意味正解だったのであるとコッソリ思ってしまった

 キーアは人より幸福度がかなり高く魔力量が多い、その特殊な条件の上で何の信仰もない純粋な性格で心地が良くキーアをとっても気に入ったと話していた。



「最後の覚悟を試すために魔物と実戦してみるか?」

「うん!やるよ!サリューも見ていてね!」

『頑張って下さい、応援していますよ』

キーアが満足げにやる気を漲らせているので父は会話は終わったと判断して村を出て近くの草むらを10分程歩くと「いたぞ!」小さな声でキーアに注意を向けさせる、先にいたのは二体のラットだ、生物を見ると逃げ出すだけの小型魔物である

「いっきまぁーーす!」

「わっ、馬鹿!そんな大声で近づくなんて」

練習など実戦では関係ないと言うけど意味が違う

ラットは逃げ出して草むらに消えていった…

「何でにげちゃったんだろう?」

『ラットは臆病なのですよ、静かに近じゅいて倒すのです』

「そんなの当たり前だ」

父はため息しか出てこない

「ふーんわかった、静かにね!」

「!?あぁサリュー様か」

「あのー父様?キー様の大事な試験とはわかってはいるのですが、(わたくし)はこれからもキー様におちゅきになるつもりでございます、なのでこれからも想定して私たち一緒の行動で行いましゅてもよろしいでしょうか?」

『サリューずっと一緒にいてくれるの!嬉しいなぁ、うっれしぃなぁぁ!』

「サリュー様?、!、娘と…いえっ…、ええ、わかりました、よろしくお願いいたします」

全ての驚きと寂しさと心配を決心し想いを詰め込んだ言葉を付した・・

「やっったぁぁ」『はいっ!頑張りますね』

「キーア?二人で頑張れよ!」

父も二人が代わるのに慣れてきた。魔物をもう一度探す、するとすぐに「西の方向50メットルに先ほどのラット二体がいます」

「わかるんですか、すごいのですね」

「ありがとうございます!半径50メートル以内なら気配から探れりゅ…のですよ」

『惜しかったね!』

「私はここで待っていますね」

「うんっ!」

キーアは意識を集中させて剣を握りラットに近付いていく5メートルまで近づくと一気に走りラットが避ける間もなく叩かれ潰される、もう一体がすぐ逃げ出そうと地面を蹴るがキーアとサウリューネが切り替わり隙間時間なく横へ剣を振って切り倒した

『やったぁ!』「やりました!」

父が近寄ってきて「鮮やかな動きだ、とてもよかったぞ」と褒められた「しかし、剣でどうやったら潰せるんだ…」と微妙な顔をされた

 それからも弱い魔物を相手に何度も戦ったが二人は見事というしかない動きでまるで問題ない感じだった。

 そしてキーアは12歳になる日を迎えた

「キーアも今日で12歳だな」

父は淋しそうな声で言った

「うんっ!約束通り私は家を出るね!」

「父様、色々とご指南ありがとうございました」

「どういたしまして、キーア、大変なことばかりだろうが生きてさえいてくれれば父さんは嬉しいんだからな!無理しないでくれよ、まずは冒険者として登録することをおすすめするよ」

「わかった!街を目指すんだね」

冒険者になるためには街に行かないとなることができない

「そうだね賢くなったね、これは大事に使ってね。

サリュー様娘をどうか見守っていて下さいませ」

うれしそうにお金の入った包みを父はキーアに渡して祈りの姿勢をとった

「わかりました、こちらこそキー様にお世話になりましゅ」

 少し気まずい雰囲気になった

『あはは、そこで噛むんだね!』

サウリューネは気を取り直して

「父様お世話になりました、キー様のことはできる限りお護りすると誓います」

「ありがとうございます、よろしくお願いいたします」

「行って参ります」「行ってきます」

「いってらっしゃい」

村を出て行った娘に父はいつまでも眺めていた


 キーアは次々魔物を倒しながら街を目指してひたすらに歩いたり走ったりと元気よく進んでいく

 サウリューネが方向を示してくれるので決して迷うことはなかった、出発して4日目

 今は二体のグラスキッドという鋭い爪と素早い動きの中々に厄介な魔物と対峙している

『正面からのはフェイクです、ギリギリで前に抜けて振り返り叩いて下さい』

グラスキッドが正面からと右に回り込みながらやってきている、しかし正面のが直前で残像を残すようにブレて左側から襲ってきている、キーアは正面のが動きに出た瞬間に前に出て流れるように振り向き様に先にきた右のグラスキッドを叩き潰した

『後ろからきます』

即座に右に跳んで爪が通り過ぎる時にもう一度振って潰す

『素晴らしい動きでしゅ』

「うん、ありがとう!サリューのおかげだよ!」

『そんな…私なんて…』

「ううん!なんてはダメだよ忘れていたけどサリューは神様なんだよ!」

『キー様!』

かなり失礼なフォローの仕方にサウリューネは目を潤まして感動する

 日が暮れかけた時だった、キーアはふと疑問を感じて立ち尽くして悩み出した、サウリューネは危険なので主導を取って自分が歩いて行く、「あうぅ」枝に足をとられ転ぶ、「わっ!」土の凸凹で転ぶ、「痛っ!」何もなく平坦だが転ぶ

『!!いつの間に身体がボロボロになってる!』

「あっ!気付かれましたか?どうしたのでしょう?」

『え~とね、ちょっと待って!』

「んーー、エイッ!!治った!」

『ごめんなさい…転んでしまって』

「大丈夫だよ!移動しててくれたんだね♪ありがとう!」

『てれてれ』

「照れてるの?かわいいね!」

『キー様こそ素直で可愛いです、私なんて…』

「またなんてって言った!」

『ごめんなさい…口癖みたいなもので…』

「んーまぁいいやっ、サリューにききたいことがあるんだ、いいかな?」

『はい、よろしいですよ』

「あのねサリューと友達になってからかな?お腹が空かないし、村を出てから寝てないけど平気だなぁって気付いたの、どうしてかわかる?」

『あぁ、そのことですか本当は初めに説明しなければいけない事をうっかり忘れていました

私は神ですので、「眠る」や「食べる」という概念がなくそれに伴って「ねむい」や「空腹」などが感じないのですので繋がった(・・・・)ことでキー様も感じにゃ…ないのだと思います、しかし体は人間なので繋がったことで向上(・・)しても全く不必要と訳にはいかじゅに最低でも1ヶ月程度に1回は摂取をされた方がよろしいです』

「んーーーーーと?」

首を傾げているキーア

『少しくらいなら食べたり寝たりはしなくても大丈夫ですよ』

「わぁ!便利だね!分かったありがとー」

『ふふふ、やっぱり可愛いのはキー様ですよ』

「えーなんでー」


村を出発して1週間が経った朝日が登ってきた頃、キーアの目の前に目的の街があった

 街の大きな入り口には両脇には武器を持って鎧を着た人が立っていてみんなそこに立ち寄ってから中に入っていた

『ウリュートの街では入り口をまもっている人がいるから、確認を受けてから入るのが普通なの』

「わかった、詳しいね!」

淋しそうな口調で『ずっとみていたからね…』サウリューネは笑顔で言ったが小さすぎてキーアには届かなかった

 キーアは左側の人の所に行く、門兵さんは驚いたがすぐに口を開く

「こんにちは、入りますね!」

キーアが先に口を開いた

「ちょっと待ってくれ!お嬢さんは一人かい?」

「違うよ?二人だよ!」

「家族か連れがいるのかい、何処にいるのかな?」

キーアの回答にホッとしたように尋ねてくる

「一緒にいるよ?サリュー、サリュー」

 サウリューネはここでしまったと思った、キーアに言っておけばよかったと。応答するべきかしない方がいいかを悩む、問題なのは名前を既に口にしてしまったことだ、キーアの性格(こと)を考えてひとつの決断をする

「門兵様、私が『サリュー』と申します」

突然に口調が180度変わった少女に驚く門兵

サウリューネも愛称は言いたくなかったが本名を言うわけにいかないのでキーアのために我慢することにした

「私たちは冒険者になるために村からこちらにやって参りました」

「あ…あぁ分かった通っていいぞ…」

きっと門兵も色々ききたいことがあっただろう、しかし役割外になってしまうために領主への報告書記入だけをメモしてお通しした

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