第4話
既に10万字弱で書き上がっているので、ちょこちょこ直したりエピソードで足す部分があったら直しながらアップしていくつもりです。
最初の内は頻度たくさん、あとは1日2回とか1日1回などで更新するつもりです。
「おい、色男。いきなり何をやってるんだ。口説いて振られたのか」
「何を言ってるんだい、永井くん……口説いたりしてないよ」
「話の内容まではわからなかったが、ここからだと言い寄ってるように見えたぞ。俺が山奥にいる間に、初対面の相手の手を握るのがおまえの挨拶になったのか」
「……彼女、僕のことを『あなたは貴種なの』って」
この寂しい気持ちはなんだろうか。力なく呟いた陽樹の言葉に永井が眉を上げる。
「あいつは、自分が最後の貴種だと知っているはずだ」
「じゃあ、なんで」
「知らん。おまえの顔が人間離れして良いからじゃないのか」
「それ、全く褒め言葉じゃないよね。その顔のせいで今回も酷い目に遭ってるんだし」
眉間にぐっと皺を寄せ、思わず冷たい声が出る。
顔が良い、イケメン、どちらも聞き飽きた言葉だし言われても嬉しく思えない。学生時代からよく芸能関係にスカウトされていたり、勝手に高校や大学のミスターコンテストにエントリーされていたりもした。
濡れたような艶のある黒髪に、対照的な白い肌。外国の血が入っていると思われがちな彫りの深い顔立ちはクールに整っていて、黙っていると冷たい印象を周囲に与えてしまう。それに加えて、まともに電車に乗ろうとしたらドアの前面に額がぶつかる高身長が揃えば、何もしなくても周囲に女性が集まり、同性からはやっかみで避けられた。
永井はその外見での偏見を乗り越えて、親友と呼べる存在になった貴重な人間だ。そんな彼に言われたくない言葉だった。
なお、永井からの陽樹の評価は「黙っていればクールで格好良く見えるところがシベリアンハスキーだ」というものだ。暗に、喋るとイメージが崩れることも指摘されている。
「悪かった。つまり、客観的におまえの容姿は貴種に間違えられてもおかしくない、と言いたかったんだ」
「……そんな理由にはとても思えなかった」
思わず吐いたため息に永井のため息も重なった。
「紗代は、いろいろと難しい奴だ。でも……ああ、こんなところで立ち話していることもないな。暖かい部屋で話すか。何か飲みながら」
「それもそうだね」
紗代はひとりで何をしているのだろうか。気にはなったが着任初日から彼女をしつこく追い回してもいいことはないはずだった。
10年、20年、あるいはこの仕事を自ら辞めようと思うまで、彼女とは長い付き合いになるはずなのだから。
なろう初投稿作品です。ガンガン更新しますので、気になったらブクマ・評価いただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします。




