第13話
既に10万字弱で書き上がっているので、ちょこちょこ直したりエピソードで足す部分があったら直しながらアップしていくつもりです。
全5章の予定ですが、年内に3章まで上げたいなあと思っていま……した。2章と3章の間に断章があった……自分で忘れてました。
その後は直し部分がたくさんあるのでちょっとペースダウンします。
陽樹の主な仕事は、すっかり三度の食事を用意することへ切り替わっていた。しかし、過去のデータを睨み続けるのが主な仕事だったことよりは、余程ストレスがない。能動的に何かをできるというのは、このたいして娯楽もない場所では思ったよりも重要なことだった。
紗代も永井も、陽樹の料理については一切文句を言うようなことはなかった。3人で鍋を囲んでも、ふたりとも直箸で中身をつついて平然としているのは陽樹ですら意外に感じた。
「おまえはこういうのは嫌がるかと思っていた」
陽樹と同じ感想を持ったらしく、だしの染みこんだ大根と白滝を皿に取った永井が紗代に向かってぼそりと呟く。
「私も意外に抵抗がなくて驚いてる」
程良く茶色になったはんぺんを口に入れながら紗代もあっさりと答えた。
「鍋はほっとするよね!」
午後の間ずっと煮込んだおでんは、卵と大根が特にいい具合に仕上がっていた。自分でも満足しながら陽樹は豆ご飯を口に運ぶ。これは紗代のリクエストだったが、実際に陽樹が作ってみたら紗代が思っていたものとは違ったらしい。
グリンピースを炊き込んだ塩味のご飯は、豆ご飯と言われてすぐに頭に浮かんだものだった。けれど、茶碗に盛られた豆ご飯を見て、紗代は軽く首を傾げていたのだ。
「ごちそうさま。今日も美味しかった」
「どういたしまして。やっぱりミールセットじゃなくてちゃんと作るようにして良かったよ」
米の一粒も茶碗に残さずに綺麗に食べきって満足げな紗代に、毎日食事を作りながら陽樹の方がいつも喜びを感じている。
「そうだ、僕が作った豆ご飯、君が思ってたのと違ったんじゃないのかい?」
今日、ひとつだけ気がかりだったのはそのことだ。陽樹の指摘に紗代は少しためらった後で頷いた。
「陽樹は気づいちゃうんだよねえ……確かに私が思ってたのとは違ったよ。でも、これも美味しかった」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。だけど、君の思ってた豆ご飯を作ってあげたかったな。缶詰のグリンピースじゃなくて、えんどう豆をさやごと買ってきて作ったら違ったかな」
「えーと、私の覚えてる豆ご飯は、こういう豆じゃなかったの。豆の名前はわからないし」
「違う豆か……。ここを片付けたら僕の部屋においでよ。豆の画像を調べて、何を使ってたのか探そう」
「いや、そこまでしなくても」
「僕が気になるんだ。豆ご飯と言われてこれしか思い浮かばなかったからね。他のレシピがわかれば僕のレパートリーも増えるよ。手伝ってくれないか?」
陽樹の最後の一言で紗代は頷いた。やはり彼女にはお願いという形が効果的なのだ。
なろう初投稿作品です。ガンガン更新しますので、気になったらブクマ・評価いただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします。




