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水を溜めよう
田口君は物置を開けそこから大きな大きなバケツを取り出し、蛇口からバケツの中へ水を入れ始めた。
たくさん水を汲んだが、まだまだ足りない。
田口君はバケツの中にさらに消火用のバケツを浮かべて、ラッコがいる田んぼへ向った。
ずりずりずりずりとバケツを引きずり、田んぼに水を送っている小川の横にバケツを置き
消火用のバケツで水を汲み、バケツの中へ放り込んだ。
だが実は消火用のバケツはかなり小さく、何度バケツの水を入れても水がたまらない。
いいかげんイライラしてきた田口君だったが、田んぼで緑色の物をカチカチしているラッコの姿を見て、田口君はまだがんばろうと思った。
「ラッコを…安全に暮らせるところへ返さなくては…」
田口君は謎の使命感に駆られていた。
そうして長い間がんばっていると、ようやくたっぷりとバケツに水が溜まった。
「長かった…。」
田口君は田んぼに浮かんでいるラッコを抱えてバケツにいれてやった。
「…よし、水族館に行こう!!」
田口君は海に近い下町にある水族館に向うことにした。
そこのラッコに違いない。そう思っていたからも知れない。