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神を殺す日まで  作者: ノロカ
8/16

半魔

━━━タタタタタタタタ

「おい、こっちであってるのか!?」

「そうだよ、ここをまっすぐでもうすぐ!」

レストランから抜け出し、お城へと向かう。その間に様々な視線を感じる。恐らくはどれもラトリィに向けられているが。

「はぁ、ここ、だな!・・・てかでけぇな!」

少し荒い息を整え、城を見上げる。・・・さすが城と言われるだけある。日本の7階建てマンションくらい高い。しかも横にもでかい。こんなかに何が詰まってるんだ?それに、武器を買った広場近くの家とは違って木ではなくレンガを使われている。辺りの家もレンガ造りだ。

「あんまり息切れてないね、体力はあるんだ」

「おうよ。鍛えてるからな」

これでもテニスを本気でやってきた。広いコートをダッシュで何度も往復するからな。

「お前たち、ここになんのようだ!?」

「あ?」

声の主は門番だ。少し声が震えていた。しかし、武器が少ないのは知っているが、武器どころか鎧等も持っていない。武器防具両方ないのか?

「この貼り紙をみて、ボク達は兵士の試験を受けに来たんだ!なるべく速めに試験の準備をして欲しいな」

ラトリィが俺が初めて見る貼り紙を門番に見せる。チラっと見えたが、武器防具支給なし、初心者歓迎とか書いてある。・・・大丈夫か?この国?

「なっ!・・・仕方ない、兵士が少ないから、だ、誰であろうと通せと言われている。着いてこい!」

「安心して。変なことはしないよ」

やっぱり声が震えている。これもラトリィが関係してるのか?


﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌


「おお、すっげーな〜!」

土足で上がったお城の中はかなり豪華だ。玄関を通ると広間があり、同時に2つに別れている2階への階段がある。床を見れば大理石?ってやつが敷き詰められてる。天井はシャンデリアだ。また、廊下には絵画や花が置かれていて、レッドカーペットも敷かれている。

「ほら、こ、ここに入って待ってろ!呼ばれるまで絶対に出るなよ!?」

真ん中に白い小さめの丸い机と白い椅子、部屋の端には棚があり、色んな写真がある。どの写真も訓練の様子だ。素手のものもあるが、剣や槍のような武器を使ったものもある。

「おう、ありがとう」

「案内ありがとね」

━━━バタン!

大きな音を立てて扉が閉まる。さて━━

「ラトリィ、半魔とやらについて聞かせて貰うぞ」

「うっ・・・わかってるよ・・・」

少し辛い表情をする。でもここで話したくないなら話さなくていい、とかはいえねぇな。

「僕は・・・半魔って呼ばれている。その理由は・・・」

「・・・・・・・・・」

「理由は、簡単。ボクは・・・人間を辞めてるんだ」

「・・・・・・・・・」

「ボクは元人間で、ちょっとしたことがあって、()()()()()()()()

「・・・・・・・・・」

「いや、()()()()()()()って言った方が、正しいかな?」

「・・・・・・・・・」

「この世界の人間の寿命はだいたい90年。大抵はそれ以上生きられない」

「・・・・・・・・・」

「そして、大きな怪我をしたら人間は死んでしまう」

「・・・・・・・・・」

「もちろん、他の生き物も、種族も精霊を除けば全て、大怪我で簡単に死ぬ」

「・・・・・・・・・」

「だけど、ボクは違うんだ」

「・・・・・・・・・」

「ボクは・・・」

「・・・・・・・・・」

「この世界で22000年の時を生きて、首をはねられても死なない。心臓を取られても、死なないんだ!」

「・・・・・・・・・」

「なんでこうなったかは余り覚えてない。だけど、こうなった時に気づいたら、ボクの体は全身血だらけだった。それから訳もわからず人の街に行った」

「・・・・・・・・・」

「ボクは魔法を使えないから、治療法魔法を使う治療所に行ったんだ。そこで初めて分かった」

「・・・・・・・・・」

「その血は、元々ボクのものだったって」

「ボクの体の中に血液かなかった。すっからかんだったんだよ。それを言われた時、どういうことかわからなかった」

「そこから国を興して長きに渡ってボクについての研究が始まった。このことを知った人によってはボクを恐れた。だって、体の中に血がないのに生きているんだ。つまり、全ての生き物が生きるのに必要な酸素がいらないってことなんだよ」

「そして3の月が経過した時、研究の結果が出た」

「・・・ボクは不老不死であることがわかった。体の年齢は13歳で止まったままだったよ。腕を切られても時間経過で生えてくる。首を切られても首から下が作られるんだ」

「・・・もともとの僕の体と全く同じ感じでね。たとえボクの体が粉々になっても、粉1粒1粒がまた繋がってボクになる。何をしても死なないんだ。たとえ脳みそも潰されたって死ぬことはない」

「それに、痛みもわからない。痛いってことが忘れたみたいに、感じることがないんだ」

「そんなボクを前にした人類は・・・ボクを恐れた。その結果ボクは半魔と呼ばれるようになったんだ」

辛い顔をしてラトリィが、言葉を綴る。ここで、カイトが重たい口を開いた

「・・・・・・・・・なるほどな。つまり、お前は不老不死。そのせいで半魔と呼ばれるようになった」

「カイト・・・話を続け・・・」

「長ぇ!俺が説明したら二言で終わることをなんでそんな長く話せるんだ!もっと短く話せ!」

「えっ!?ちょっ、ちょっと!」

急にカイトが叫び出す。それまで部屋に漂ってた重い空気は一気に無くなった。

「な、長いって言われても仕方ないじゃないか!だってカイトの説明じゃ大事な部分が何ひとつもわかんないし!それに話はまだ終わってないよ・・・」

「もういいよ!長ぇ話は聞き飽きた。俺はなんでお前が半魔って呼ばれてるか知りたかっただけだし、それを知ったらもう知りたいことはねぇよ」

「えぇっ・・・」

半分ラトリィが引いてる。何を引くことがあるんだ?俺が半ギレしたことか?話が長いそっちが悪いだろ。

「とにかく!お前が不老不死だから半魔、以上だろ!?じゃあもういいよ。試験について話そうぜ」

「ああそうだねってなると思ってるの!?試験については話すけど、今はそのタイミングじゃないでしょ!・・・それに、カイトはボクのこと、怖くないの・・・?」

「なんで?ラトリィはラトリィだろ?そーいやお前が魔法使えなかったよな。でもレストランでは解毒?魔法を使ってた。それって魔法を使えるようになる薬を使ったってことだろ?お前大丈夫なのか?確か死ぬんじゃなかった?」

「その薬のことよく覚えていたね・・・大丈夫。ボクの体は耐性はないけど魔素に蝕まれることがない。そもそも、不死になったばかりと違って今は何が起きても絶対に死なないって確信がある」

「へー・・・それじゃ、お前は魔法が使えるようになったってことか!?めっちゃ便利だな!不老不死!」

「ちょっと!便利って・・・残念だけど、ずっと魔法は使えるようにはならないかな。薬を飲めば魔法は使えるようにはなる。でも無理やり作った適性はいつか消える。薬の効果が切れちゃうんだ」「・・・・・・でも、なんか不思議な感じだな。不老不死に驚かないし怖がらないなんて・・・」

「あっ?最後ボソッとして聞き取れなかったぞ。なんて言った?」

「ふふっ、なんでもないよ」

ラトリィはなんだか気分が晴れたような清々しい表情をしている。なんでだ?

「しかし、そうか。魔法はずっと使えるようにはならないのか。解毒でるし、治療魔法もあるんだろ?ってことは攻撃魔法もあるだろうし、何かと便利そうだけどな」

「まぁ、兵士試験での魔法の使用を許可されてくらいだしね。だけどもともと魔法をを使える人は極わずかだ。カイトも調べたら適性があるって展開はなかなかないと思うよ」

「なんだ、そうなのか・・・魔法が使えりゃ、剣とか振るわなくてもいいと思ったんだけどな」

「それは違うよ。魔法は大気の魔素を取り入れて使うから理論上制限はないけど、魔素を魔法に変換する機関を酷使することになる。ものすごく疲れるし、その機関━━━マジックテージを潰しかねない。魔法とは別に攻撃手段は持っていた方がいいよ」

「そーなのか・・・。マジックテージ・・・魔法を使うのには絶対に必要なのか?」

「そーだよ。本当に存在するかはわからない、あるとされている体の機関。魔法を使いすぎると魔法使用時に痛みが伴い、いつの日か魔法が一切使えなくなってしまったって実例があるんだ。研究者はマジックテージは神経と深い関わりがあるって決めて調査してるんだって」

「あー・・・なんか難しいな・・・ん?」

突如扉が開かれた。開けた人は何か豪華な服を着てる。何もんだこいつ?兵士では無さそうだが・・・

「あ、あなたは・・・」

「ふむ、あなたがあの、半魔と呼ばれる方ですね。名前を伺っても?」

「ボクはイモラトリィ・ディセイス・ティリプスと言います。あなたは117代イーゼット国王ですよね?」

「はっ!?国王サマ!?なんでここに!?」

「ハッハッハッ!その通り、私が117代国王、イーゼットだ。私の家の中を歩き回るのがそんなに変か?」

「あっ!そういやそっかなるほど・・・。あーえー、俺は・・・私は日風 海渡と申します。よろしくお願いします」

完璧な角度でお辞儀をする。高校はスポセンで行くと決めてたからな。面接のやり方は全部頭に叩き込んだ。失礼な態度とったらヤバそうだったし。

「カイト!相手に対して頭を下げる行為は『こんなことしてもお前はおれの首を狩ることが出来ない』って意味をもつ、要は相手を見下す挑発行為だよ!」

「えっ!そうなのか!?すみません、そんな意味を知らなくて!」

くそ!言語が日本語・・・正確には違うがそれに近いから勘違いしてたぜ!まぁ知らなかったししゃあないな。大丈夫だろう!・・・多分。

「・・・そう固くなんでもよい。見たところあなた達はこの国の者じゃないだろう?だから無礼だとかそういうのは考えんでいい。私は国民でないあなた達に何かをした覚えなどないからな」

よかったー!!王サマのお怒りにお触れておないようだ。

「そうですか。では、1つ質問です国王様自らがここに出向いた意味を教えてくれませんか?ここは城の中でも王室から遠い場所の部屋です。それに、ここには戦いに関するものしかありません。ボクのことを知っていたようですし、ボクたちに何か用でしょうか?」

「簡単なことだ。あなた達は兵士の試験を受けるためにここに来ている。それの準備が整ったから呼びに来たのと、その様子を見てみたいと思ったのだ」

「・・・国王様自らがお出迎えしていただけなんで光栄です。それで、試験場へ失礼ながら案内して貰えませんか?」

「うむ、そのために来たからな。それでは武器を持ってついてくるが良い」

「はっ!王サマ自らのお案内にお心より感謝お申しますあげます!」

「ちょっとカイト!何その変な言葉使い!カイトはあんまり喋んなくていいよ!」

怒られた・・・。完璧な言葉使いだったろ。これも日本とは勝手が違うってことか。王サマは笑ってるし、まぁ、失敗じゃないだろ。笑うって言うが嘲笑ってる感じだけど

「あと、これから試験が始まる。2人とも合格するよう気を引き締めよう」

「・・・そうだな。そっか、試験か」

何があるかわからないのに何故かワクワクしてくる。右側の腰にぶら下がってる剣の鞘を強く握りしめる。そーいや、試験って日本じゃ勉強のことだから大っ嫌いだったな。合格だとかなんだとかクソ喰らえって思ってた。英検3級3回受けて全部落ちたけどどうでもいいって思ってた。だけど、今回の試験は・・・

「絶対に合格するぞ!ラトリィ!」

落ちたくねぇな!落ちたら絶対に後悔しそうだ!

「もちろんだよ!カイト!目指すは合格だ!」

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