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神を殺す日まで  作者: ノロカ
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武器

━━━━翌朝、カイトとラトリィはお城で兵士になるための試練を突破するために武器を買いに街の中央へ向かっていた。

「ラトリィ、お前兵士は基本素手で戦うって言ってただろ?武器を買っても意味ねぇんじゃねぇのか?」

「ああ、そのことね。この国には武器を作る人が驚く程に少ないんだ。だから他国から輸入して用意するんだけど何せ国同士の戦争に使われるとヤバいからね。戦争の費用をなくすためにも鉄の剣ひとつの輸入費用はそれなりにかかる。だから多く用意するのは大変なんだ」

「なるほど、だから素手で戦うのか。それで?」

「当たり前だけど武器を使えるなら使った方が生存率は高くなる。だけど国からの支給は出来ない。つまり、個人で用意すればいいんだよ」

「でも武器は高額なんだろ?そもそもどこで買うんだよ」

「街の商店街には武器商人が武器を売ってる。その人から買うんだ。お金の方は大丈夫!ボクはそれなりにお金を持ってるからね」

「おお!でもホントに持ってんのか?持ってるならあんなボロ屋に住まなくてもいいだろ」

「それは・・・少し事情があるんだよ。兵士になればお城の兵士専用の寮で寝泊まりできる。だから名残惜しいけどあの家から引越しができるよ」

「それはいいな!でもあんなのが名残惜しいのか?」

「あんな家でもボクは10・・・いや、なんでもない」

「あ?」

お城の兵士か。1日しか寝泊まりしてないがあのボロ屋から引っ越せるのは大きいな。だけど命に関わるもんな・・・。いや、よく考えろ。この国の兵士は基本素手。それでも国はモンスターにやられていない。てことは、ただの高校生男子でも武器があれば余裕で勝てるんじゃねぇか?そもそも試練やら試験やらに合格さえすればある程度のモンスターには勝てるって証明になるだろ!きっと大丈夫だな。

「何を難しそうな顔してるの?広場に着いたよ」

カイトが色々悩んでいる間に武器商人の元に着いたようだ。そこは中央に見事な噴水があり、辺りにはベンチが並べられていた。視界の中にいる限りで老若男女が笑顔で、心地よさそうにそれぞれの時間を過ごしている。

そんな広場の端には1人の男性が座っていて、彼の前には様々な武器がならべられている。

「あいつが武器商か?」

「多分ね」

ラトリィは着ていた服のフードを深く被った。それは顔を隠すようだった。そして武器商人に近づく。それに合わせカイトも横にたって並んで見る。

『すみません、武器を買いたいんだけど・・・』

『あん?アンタ、金あるの?うちの商品はどれも高額だよ?それも上級の兵士さえも買うのを躊躇うほどにね』

上級の兵士ならいい武器のためになら金をいくらでもかけると思うがそんな人までも躊躇ってしまうほどの金額なのか?そもそも上級の兵士とやらはいったいいくら稼げるだろうか?

というか、なんか二人の言葉に凄い違和感がある。

『ほら、お金ならあるよ。これでも足りない?』

ラトリィは懐から袋を取り出し口を開けて商人に見えるように中を見せる。そこにはコップをいっぱいにできるほどの金貨が光り輝いていた。

『なんだぁお客様!お金を持っているならそうと言ってくださいよぉ!ささこちらが商品です。どれもいいもの揃ってますよ!』

お金を見た途端に商品の態度が変わった。さすが、金は人を狂わせると言うだけある。

「さて、これだけのお金があればどの武器でも買える。正直どの武器も腕利きの兵士なら買うのを躊躇うくらい粗悪なものだけど、ないよりマシだ。どれがいい?」

「躊躇うってそっちの意味かよ!おいオッサン、自分の商品で自虐するのはどうかと思うぜ・・・。てかラトリィもそんなこと言っていいのかよ!」

しかし商人は何が何だかわからないような顔をした。ラトリィも少し困り顔だ。

「いいかい?カイト。君が今喋ってるのは日本語だ。この国でそれを話せる人は君と同じようにこの世界に呼ばれた人と特殊な人だけだよ。少なくとも一般人は話せない」

「は?どういうことだよ?」

「ごめんね、まだ説明してなかったよ。この世界は日本語なんて使わないんだよ。この世界特有の言語を使う。ただ、1つの言語を覚えるのに何年かかるだろうかわからないし、試験に合格したら話そうとしてたんだ」

「あ?でもお前ら日本語で話してただろ?」

『はぇっ!?』

ラトリィが変な声をあげる。なにを驚いているんだ?

『あの〜お客様?お買い上げになる品はお決まりでしょうか?』

『ああごめんごめん!どれもいい武器ばかりで迷っちゃって!』

『いえいえ!ゆっくりご覧くださいね』

「ほら、カイトも何を買いたいか選んで!」

「お前らやっぱり日本語喋ってるじゃねぇか。まぁ若干違和感があるけどな」

「何を言ってるんだよ。君には日本語で会話してるように聞こえたのかい?」

「聞こえたも何もそうとしか聞こえねぇよ」

「・・・わかった。カイトは武器を選んでで」

ここでラトリィが考え込んだ。でもそうだな。ラトリィの言う通り武器を選ぶか。しかし見渡す限りに様々な武器があるな。剣や槍、鉄でできた爪やムチ。斧にハンマー、弓。ましてや蛇腹剣と呼ばれるものもある。あんなのファンタジーだけだと思ってたぜ。ただ、剣、槍はともかく他のは難しそうだし重そうだ。弓なんか矢が消耗品だろうしコスパ悪いだろうな。ここは無難に・・・ん?なんだアレ?

カイトが見つけたのはただの木の棒━━━いや、杖だ。杖の先端には赤い宝石のようなものがはめ込まれている。まるで魔法の杖である。

あんなのものまであるのか。でも俺は魔法使えるかわかんねぇし買うだけ無駄だろうな・・・。ここは剣を買おうか

「ラトリィ、決めたぞあの剣を買う」

ここまでずっと悩んでいたラトリィに超えをかける

「・・・そう、か。カイト、自分で買ってみてよ。はいお金」

ポンとお金の入った袋を渡される。結構重いぞ。

「オッサン。あの剣ちょうだい」

鉄の剣を指さす。しかし商人はよくわからないと言いたげな顔をした。

そういえばこいつらの日本語よくわからんが違和感があったんだよな。真似してみるか。

「あー、あーあーあー、」

『あーオッサン、あの剣!あの剣くれよ。いくらだ?』

『ああ!コレですね!これは金貨30枚です!』

『ほい』

チラッとラトリィを見ると目を丸くしていた。

『おいラトリィどうしたんだよ。変な顔になってるぞ』

『カイト、君はガンガル語を話せるのか!?』

『何言ってんだ?ガンガル語?何それ』

『ぁ━━━━』

ラトリィの言葉が消えた。何に驚いてるんだ?これは日本語だろ?

『はい!30枚確かにもらいました!こちら商品です!お買い上げありがとうございました!』

『おう、ありがとな』

金貨を数えてた商人から剣とベルトをもらい腰に下げてみる。すげー!テンション上がるなこれ!

『これも邪精霊の力なのか?でもそうとしか考えられない・・・』

『おいどうしたんだよ?てかこっちの日本語の方は違和感がするな・・・』

「まぁいいや、食事をしながら話をしよう」

気づけば太陽は真上にいた。

「確かに腹は減ってる。そうするか」

「そうだね。ご飯を食べながらこれからの事を話そう」

こうしてお城の兵士になるべく剣を買ったカイトとラトリィはレストランへ入っていった。

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