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神を殺す日まで  作者: ノロカ
5/16

魔法と精霊

━━━ここ・・・は・・・?

また、ゆめをみてるのか?

このかんじ・・・またこえが、するんだろ?



「━━━━━!」

「あ━はて━━!」



やっぱりな・・・

なんていってるかききとれねぇよ・・・

でも、まえよりはちゃんとしゃべれてるじゃねぇか・・・


﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌


「・・・うぅぅ・・・」

「やっと目を覚ました」

目を覚ませば、寝心地の悪いベッド寝かせられていて、毛布がかけられていた。

「ラトリィか・・・俺は何をしてたんだ?」

「急に苦しみ出して、倒れて、3(とき)ほど眠ってたんだよ」

「3(とき)?」

「3時間のこと」

なるほど・・・俺は3時間も眠ってたのか・・・ってことは

「しずくは!?」

「手紙の子は知らないよ。もうこの街から遠く離れた所に行ったんじゃないかな?」

「なっ・・・てめぇ!ラトリィ!なんで追いかけなかった!俺をそのままにしていたら追いつけたかもしれないだろ!」

「落ち着いて!カイト!追いかけたってボクはその子に1度しか会ってないんだ。どんな格好か、どんな顔なのか忘れちゃったよ」

「そ、それでもっ!」

「無理を言わないで。それに、これはボクだけの決断じゃない」

「は?」

ボクだけの決断じゃない?どういうことだ?ここには俺とラトリィしか居ないんだ。

「よくわからないって顔をしてるね。君に、カイトにこの世界のことを教える必要がある。心の準備はいい?」

急展開すぎるために頭が追いつかない。世界?スケールが大きすぎないか?

・・・しかしこの世界のことは詳しく知らない。本当はしずくを追いかけたいが、どこにいるのかわからないのに今更見つけられるはずもない。心配だが話を聞くべきだろう。

「・・・わかった。教えてくれ」

「そうだな・・・何から話そうか。魔法についてはどうかな?」

「魔法!?そんなものがあるのか。詳しく聞かせてくれ」

見たことも無いのに聞き馴染みのある、ファンタジーでは定番の魔法。この言葉に心を踊らせる。

「わかった。まず、この世界は地球には存在しない、魔法粒子と呼ばれる魔素が存在する。正確には少し違うけど、魔法は魔素を利用して発動するんだ」

「なるほどな。実際に使えたりはしねぇか?」

「ごめんね、ボクには魔法が使えない。魔法を使える者は適性があるんだ。ただし、適性がない人でも使えるようにする方法がある。薬を飲むんだ」

「薬を使えば使えるようになるのか?」

「そうだよ。薬によってむりやり適性を作るんだ。ただ、魔素は少し危険なものだ。もともと適性を持つ人と違い、あとから適性を付けた人には耐性が足りない。魔素に(むしば)まれて死が早まる。そのため、禁制の薬なんだけどね」

「それは怖いな・・・というか、魔素は危険なものなのか?俺は魔素にやられない?」

適正だとか体制だとか、知らないことばかりで頭がごちゃごちゃになる。しかし、興味のあることを学ぶことは、ゲームをしているかのように楽しいものだな。

そんなことを思っているとラトリィが質問に答えてくれた。

「心配ないよ。魔素の耐性がない人は、魔素を取り込む機関が存在しない。だから魔法が使いない。これが適性がないってことなんだ」

「ふんふん・・・ちなみに俺は魔法使える?」

「適性チェックをしてないからね・・・。調べたらわかるけど、今は話を戻してもいい?」

魔法に着いては凄い気になる。だって使えたら最高じゃん。テンション上がるよ。だけど、話の続きも気になるし今はいいか。

「あぁ、続けてくれ」

「了解。それで魔法なんだけど、魔法の扱いが得意存在がある。・・・精霊だよ」

「精霊!そんなのもいるんだな!」

ラトリィは俺の反応に少し驚いた表情をした。

「なるほど、自覚なしか・・・。いや、それはそうか。この世界のことを何も知らないんだ。自覚を持つのも難しい・・・」

ラトリィが急にボソボソと呟き始めた。

「おい!精霊のことをもっと教えてくれ」

「あぁ、ごめんごめん。その精霊なんだけどね、体のほとんどは魔素で構成されてる。精霊によってはその魔素の度合いが違って、魔素の純度が高いほど上位の精霊となる」

「てことは、体を構成する魔素が100%に近ければ近いほど強い精霊はってことか?」

「そういうこと。ただ、50%以上が魔素の精霊は数が少ないし、70%越えは見つかっていない。大抵は20から30%だよ」

「案外少ないんだな・・・それで?」

「数こそ少ないけど人と契約をする精霊も存在する。契約した人は精霊によって違う条件を呑む変わりに力を貸してくれるんだ」

「なるほどなー・・・。ちなみに俺は精霊と契約できる?」

「驚いたな。本当になにも知らないんだね」

少しいらだちを含む声でそう言ってきた。

「仕方ないないだろ。ここに来て間もないんだ。知る機会がなかったんだ」

「ハァ、仕方ないか・・・。いいかい?君は精霊と契約できるかを聞いた。結論から言うと可能だ。精霊の契約には適性やら耐性は必要ないんだ。精霊が契約を認めればできるんだよ。つまり、誰でも契約はできる」

「なるほど、精霊と契約か。すっげぇテンション上がる!」

「そして、君、カイトは条件こそ知らないけど、忌々しいことに既に精霊と契約を交わしているよ」

「・・・はぁ?この俺が!?精霊と既に契約してるのか!?」

唐突な摘発に驚き声を出す。何時?何処で?何故俺が契約とやらをしたんだ?

「そうだ。気づいてなかったの?君が外に出ようとした時に倒れたのも精霊が君を止めるためにやったんだよ。魔法を使ってね」

なるほど、あの音は魔法によるもので、精霊がやったのか・・・

「おい!その精霊を呼び出すというか、話をする方法はないのか?」

「精霊は普通なら、契約者の君が自由に呼び出せる。やってみれば?」

「わかった・・・。おい精霊!出てこい!俺と話をしようじゃないか!」

「・・・しかし、何も起こらなかった!」

「言うんじゃねぇよ!くそっ、なんで出てこない・・・」

何処で知ったか知らないがラトリィのセリフで虚しくなる。どうやれば呼び出せるんだ!?

「ちなみに君が寝ている間、忌々しい精霊は姿を現した。そしてボクにカイトがこの世界に転移したことを教えて貰ったよ。それと、君と精霊との関係もね」

「俺と精霊との関係?それはどんなものだ」

「―――一方的な契約だよ」

「なんだそれ?」

「普通、契約は両者の合意のもとで行われる。だけど、君の契約は君の同意がない。一方的で無理やりな契約なんだ」

「はぁ!なんだよそれ!もし契約を破るとどうなんだよ」

「殺される」

「・・・えっ?」

「殺されるって言ったんだ。普通の精霊ならまだしもそいつはいわゆる邪精霊。本人は邪精霊であることを否定してるけどね。それで邪精霊の契約を破った人は例外なく謎の死を遂げているんだ」

「なっ!」

唐突な摘発その2にまた声がでる。知らない単語ばかりでいっぱいいっぱいなのに、命の危険があるとかどういうことだ!

「んだよそれは!?俺、契約内容知らねぇぞ!」

「そう。だから知らない間に契約を破ってしまうかもしれない。本当は呼び出せればいいんだけど・・・」

「呼び出せなかったからな」

「そう。だから精霊を呼び出すことのできる人の所へ行く。それで精霊に直接聞き出そう」

「おお!でもそんなことできるのか?」

「普通、契約した精霊は依代に存在の一部をあずける。その依代を元に呼び出すんだよ」

「依代って、俺は知らねぇぞ」

「大丈夫。その人は依代が何かもわかる人だから」

「それはすげぇな!早速会いに行こうぜ!」

「あー・・・。残念だけど実はそんな簡単には会えないんだ」

「あん?どういうことだよ?」

こちとらいきなり命かかってんだ。会えないとなるとやばいぞ。

「その人は今、お城にいるんだ。国王の命令で精霊の研究をしてる」

「なんだ、場所わかってるならとっとと行こうぜ」

「簡単に言わないでよ!お城だよ!普通は入れない場所だ!」

「じゃぁどうするんだよ」

「君の態度に少し思うところがあるな・・・。まぁいいや、一応方法はある」

「なんだ!」

「お城に入ることができたら会うことができるんだ。だから、お城に合法的に入る手段・・・、つまりお城の兵士になろう!」

「・・・え?」

「それしか方法はないからね。今国は戦力が足りない状況だから年中兵士を募集してる。だから準備をして明日明後日までにもお城に行って試験を受けようじゃないか!」

ラトリィはすごく目を輝かせて言ってくる。なんだこいつ、城の兵士に憧れてんのか?

「君が眠ってたのと話が長かった分、今日はもう暗いね。この世界の説明は全部終わってないけど続きはまた後日、少しづつすることにして今日はもう寝ようか」

「てか兵士になるのは確定なのか!?」

「何言ってるの?もうそれしか方法はないよ?」

「兵士ってアレだろ?剣を振ってモンスターと戦うアレだろ?」

「この世界の兵士は予算の都合上、素手で戦う人の方が多いよ?」

「なんだよそれ!?ただの捨て駒じゃねぇか!」

「まぁ、そう言わずに。あの人に会うのに1番の近道はコレだよ?というかコレ以外にお城に入る方法はないよ?兵士になるからモンスターと戦うことになるだろうけど、ひとまずはまず精霊問題を何とかしなきゃね。だからそれまでに・・・」

「そ、それまでに?」

「契約違反で、死なないでね!」

「くっそがァァァァァァァァ!!!!」

なんでいきなり命を晒さなきゃ行けないんだ!?急展開過ぎるだろ!兵士になるための試験?それでもう死ぬんじゃねえのか?それよりも契約違反とやらで殺されるんじゃないのか?

・・・くそ!こうなった全部突破して生きてやる!そしてしずくを探すんだ!

「それじゃ、おやすみ。君はそのベットを使うといいよ」

ラトリィはそのまま部屋の隅に置いてあるソファに寝っ転がり、すぐに眠りに着いた。疲れていたのだろうか?

それにしても寝顔はまさに子供そのものだ。こいつ、兵士になりたがってたけど大丈夫か?俺より弱そうだ。

・・・不安だな。でも今不安がってたらダメだな。今は寝よう。

きっと何とかなる!そう思わなきゃやっていけねぇんだ!

それにこいつ、何かある気がするんだよなあ。とにかく今はこいつを、ラトリィを信じて見るか

「・・・おやすみな、ラトリィ」


こうして小さく呟かれた声を最後に、その日は朽ちた小屋から音は聞こえなくなった。

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