自動車会社を立て直したら業務上横領で捕まった。ガーンだな。
私はガーン。少し前にテレビでよくニュースをやっていたので知ってる人も多いかもしれない。
半生を語ろうと思う。反省ついでに。
そもそも私は別の宇宙から、いわゆる異世界からやってきた。
元の世界で与えられた使命は、とある神奈川県の自動車会社を立て直すことだった。内情を見てびっくり、大きな会社でここまで非合理的なことをしてるとは思わなかった。
なぜ見栄を張るのかわからないが、エントランスは必要以上にきれいにしている。それと反比例するかのように、従業員が出入りするところは戦後すぐ建てられた学校かと思うくらい設備が古く、メンテナンスもろくにされていない。ついでに客にはお茶の一つも出さない徹底的なコストカットがなされていた。
日本での車に限らないあらゆる製品のネジ一つでもなくそうとする企業努力は元の世界でもそう徹底できることではなく感服するが、従業員や関係者のモチベを維持するためのお金を削っていてはパフォーマンスが落ちては意味がない。
さっそく経営立て直しのアドバイザーとして就任し、改革を行った。
中学生なら誰でも思いつくことの徹底を繰り返した。
具体的に言うと、残業と余分な会議を無くし、従業員のメンテナンスを手厚くし、不正がないよう目を光らせた。
それらを徹底することでV字回復した。
ちなみに、大手ハンバーガーチェーンを立て直した女社長も私と同じ世界から転生してる。
ここで使命の第一段階はクリアした。
使命の最終目標は、格差の根絶だ。
元いた世界はどちらかというとディストピアぎみだが、教育や管理は徹底されているので大きな格差はありえないのだが、この世界では未だに食べ物に困る地域がある。
普通は大きな格差が出ないよう、仕事や補助を徹底するべきだが、この世界の人はそういう意識が欠如してるのか、気が向いたときに募金して救ってやった気になってるだけだ。
余らせたお金を横領し、そういう地域の仕事やライフラインを充実させた。しかし派手にやりすぎたのか、だが捕まった。
そのとき、私は組織のガンだと気づいた。ガーンだけに。
前述のハンバーガーチェーンの女社長には、この世界でのルールにそって、格差をなくす使命をまっとうしてほしい。