帰り道5 出会い
「ですが死ぬのはソウ先生だけです!」ニコッ!
「はぁ!?」
「私は仮にも主人公ですよ!?こんなところで死ぬわけないじゃないですか。」
「ちょっと何言ってるかわかんないけど…何?ミキちゃんだけ生き返るの?」
「そういうことになりますね。多分そろそろ「おお…勇者よ死んでしまうとは情けない…」とか聞こえてきて自分の部屋で目が覚めてモンスターマスターになる旅が始まるはずなんです」
「…」
「…」
「…せない…」
「え?なんですか?ソウ先生」
「ミキ君は行かせない!」
「えぇ!?まさかの仲間の裏切り!?」
「俺だけ天国に行くなんて不公平だ!」
「そんなこと言われてもな〜」髪イジイジ
「ミキ君が生き返るなら俺も生き返る!」
「いや〜こればっかりは私の力じゃどうしようもできないし…」
「ミキ君だけが生き返るなら…俺はミキ君を呪ってでも!天国に連れ行ってやる…」
「うわぁ…すごいストーカー発言…衛兵さんコイツです」
ガシッ…
「逃がさないからな…」
「ひえっ…ちょ…ちょっとやだな〜嘘!今までの嘘ですから!」
「もう信用できない。このままミキ君と繋がってないと信用できない!」
「ちょっと…って手に力入れすぎて…あいたたただだだだ!!」
「俺はッ!君とッ!天国に行くの!!!」
(うっわ〜ガチ泣きかよ…しかも全然嬉しくないおじさんからのヤンデレ宣言…)
(せめてこれが美少女か外見だけでも美少女の男の娘とかならまだしも…10も上のおっさんから言われるとか全然嬉しくね〜…)
(あ〜…なんか手に汗握ってきてなんか気持ち悪い…そろそろ手離してくれないかな…)
(うっ…うッ…)
(…)
「だ…大丈夫ですよ!そろそろ助けが来るはずです!」
「ほんと?」
「ほんと…ほんと…」
(顔が近い…)
「どこから?」
「え!?…あっ〜あっ…あはははは…)
「…」
「あの辺から…?」
「…」
「…」
「…キ…ん…」
「ミ…さ…」
「ミキさん!ご無事ですか!?」
「“誰?”」
「ひどい!」
「助けに来たのにひどすぎる!」うえーん!
「ミキちゃんの知り合い?」
「いや…こんな美人な知り合い見たことない…」
「私ですよ!私!」
「…」
「詐欺ですか?」
「違いますよ!」
「おほん!ミキさん!ソウさん!お迎えにあがりました」
「そうか…迎えか…どうりでこんな美しい女性が現れると思ったら…」
「…」
「それじゃあ天国に行って早速挙式だ!さぁいこう!」
「申し訳ございませんが、あなた方の行き先は天国ではございませんので、挙式は中止となります♪」
「えぇ!?なんで!どうして!…でも俺とミキちゃんの愛は本物!だから挙式しなくても夫婦になれる!」
「お断りします」
「え“ぇ”!死んだら挙式するって言ったじゃん!!」
「天国で挙式とか言ってなかった?」
「愛があれば式なんてどうでもいいんだ!」
「最近の若いもんはそう言うけどな?女の子からしたら人生に一回の式だからさ?ささやかでもいいし新婚旅行無くてもいいから式は挙げたいもんなの!なので式のない夫婦生活とかお断りです」
「じゃあ地獄で挙…「お断りします」
「うぇ“ぇ”ぇ“な”ん“でぇ”!?(泣)」
「あの〜そろそろいいですか?」
「はいどうぞ。私は次はどこに異世界転生するんですか?」
「異世界転生?しませんよ?」
「えぇ!?じゃあガチの終わり!?」
「ん〜それも違います。あなた方二人はまだ死んでません♪」
「“は?”」
「死んでませんので異世界転生も天国で挙式も地獄もありません」
「死んでないの?」
「はい!♪」
「…」
「…」
「“じゃあアンタ誰よ”」
「ひどーい!(泣)」
「私は!貴方…明確にはミキさんの守り神です!」
「守り神?いや…さっきくまたんに左手と左腕咀嚼されて気絶したんだけど…」
「気絶は魔力欠乏によるものなので別に死んだわけではありません♪」
「…」
「俺は?俺はなんでここにいるんだ?」
「どっちかというとソウさんの方が重症ですね〜出血の量が多くて危うかったんですよ?」
「…」
「でその…守り神さんの力で私たちは死なずに済むと?」
「はい!と言いたいところなんですが…私が出てこなくても別にミキさんは死ぬことなく数日間眠った後目覚めますよ」
「俺は?」
「ソウさんも…と言いたいところなんですが…さっきも言った通り出血がひどく…」
「いやだぁ!結婚もしないまま死にたくない!ここで死ぬぐらいなら貴方と結婚する!」モミッ
「ひゃあああああ!セクハラは反対です!」ばちん!
バサッ…
「この男相変わらず最低だな…」
「はぁはぁはぁはぁ…」
「興奮した?(笑)」
「してません!」
「でソウ先生は死ぬの?」
「いえ。私が応急処置をしておきましたので死にはしません」
「へぇ…誰かわらないけどありがとうね!」
「えへへっ…」テレテレ…
(何度か会ってるけどおぼえてないならそれでもいいや♪)
「じゃあ目覚めるまで私たちの話し相手に来てくれたってこと?」
「そういうことになりますね。あまりにも長時間意識を失うと死んでもいないのに魂だけが肉体に戻れなくなるので、それが起こらないように私が繋ぎ止めに来たんです」
「なるほど…そんなことがあるのか…」
「ミキさんの世界でいう植物状態というやつですね」
「なるほど…」
「ところであとどのくらいで目が醒めるの?」
「もうそろそろ醒めてもいい頃なんですが…あっ…あの光…あの光に行ってください。そうすれば現実世界に戻ることができますよ♪」
「あの光か…遠いね…」
「遠いようで近い。近いようで遠い…あれはミキさんが現実世界に戻りたいって思うほど距離が近くなりますし…逆に戻りたくないと思えば遠ざかってしまい、いつまでも帰ることができません。」
「…」
「だから強く願ってください…あの暖かな世界に帰りたいと…」
「…」
「そのうち…私も貴方のパーティに入って一緒に冒険に行きたいので是非あちらの世界で待っていてください。」
「ははは…私のパーティ?私しかいないよ?」
「はい!」
「今回みたいに死にかけることが多いかもしれないよ?」
「それは嫌ですが…でもそれに代えられないぐらい楽しい思い出ができそうじゃないですか!」
「思い出で命一個飛ぶとか不釣り合いすぎませんかねぇ…」
「不変ってつまらないものなんですよ。たとえ悲しいことがあっても変化があることこそ充実が生まれ喜びが生まれるんです。たしかに死の多い世界ではありますが…それでもみんな精一杯生きてるし。だからこそ生命の誕生は尊いし喜びに満ちているものです…。」
「ミキさん。」
「はい。」
「またいつか…次は現実世界で会えることを私は本当に楽しみにしています」
「…私も…貴方みたいな素直で良い子がパーティにいてくれたら…とっても嬉しい!」ニコッ
(喜)
「それじゃああの光へ歩み始めてください…」
「わかった。じゃあ…また。」
「はい。気をつけてくださいね!」
「はーい」ズルズルズル…
「辛い世の中にあっても幸多く楽しい人生であらんことを…貴方の女神より…」




