帰り道2
「今日も雨ですね」
「梅雨ってもう少し降ったりやんだりするもんじゃないの」
「そうだったか?毎年家で革の管理してるから気にしたことないな」
「*今年は*こういう雨の振り方っことじゃないですか?」
「ふーん…」
「さてそろそろ出るか…」
「今日はミキちゃんが昨日作ってくれた雨具があるから少しは濡れないですむはずだ」
「おっちゃん行くよ〜」
「…」
「あー…うん。雨はまぁ濡れないかもしれないけど…」
「濡れない…が…冷たいし音がこもって奇襲されたらわからんな」
「うん…いくらワン太がいてくれると言っても奇襲されたら一瞬が生死を分けるし…。」
「それにしても…」
「…」
「貝は今日も元気ですね
「狂喜乱舞って感じですね」
「あの触手がここまで届かないからダラーっと眺めてられるけどな」
「雨に混じって襲いかかる系の敵っているんですか?あんまり想像したくないけど」
「ま〜…というか梅雨前にミキ君が倒した奴らは元気に襲ってくるな」
「スライム…ナメクジ…ヒル…」
「他にもいる。それこそ少し晴れて湿度が上がってくるとダニが繁殖期を迎えて吸血しに襲ってくる」
「あ〜あいつらか〜かゆいよね」
「流石にヒルほどじゃないが吸われすぎると命に関わる」
「この世界のデンジャラス度は星5です」
「大概は森の中にいる生物が吸われているがそう言う奴がいない時には人間も襲う」
「対処法は?」
「虫除けの香を焚くか金属鎧を着込むか火だな」
「は〜…どれも無いですね〜」
「雨が降ってる間は出てこないからこのまま村まで雨が続くといいな」
「それはそれで凍えて死にそう…」
「足…ドロドロなんですけど…」
「梅雨の時期に出歩くんだ。当たり前だ」
(夏は暑いけどコンクリートって素晴らしかったんだね…)
「今日も漁師小屋だっけ?」
「後今日入れて後4日は小屋泊まりだな」
「小屋が最高すぎる…」
「まて!止まれ!」
「“!?”」
「どうしたの…「シッ…」
「しゃがんで低くして前を見てみろ」
「ん〜?」
モゾモゾモゾモゾ…
「なにアレなんかヒルに似てるでも大?きすぎない?大型にしても大きすぎな気がするけど…」
「あれは海牛だ」
「ウミウシってあの磯にいるやつだっけ…なんでこんな岸のそれも道沿いに…」
「雨が降り始めてこの雨量だ…丘の方まで上がっていくつもりだろう…」
「うえぇ…それにしても鮮やかすぎるブルーと黄色が気持ち悪い」
「あぁ…しかもあれで中型だからな。しかも毒液を飛ばしてくるタイプだな」
「うへぇ…あの大きさで中型…しかも毒持ちか…」
「どうするの?」
「どうするのっつったって…」
「通り過ぎるのを待つしかないな…」
「ですよね〜」
「よし。俺は前方をリーフは平原側をおっさんは後ろでミキちゃんが海側をワン太は音で敵が来ないかを探ってくれ」
「また私を一番危険なところに配置してないそれ?」
「よし、このままウミウシがいなくなるまでここで待機だ」
「むーしーすーんーなー!」
「静かにしろ!奴に気づかれる!」
「ぶーぶー!」
「奴は平原の奥の林に向かって行ったな…各方面様子はどうだ?」
「海側異常なし〜」
「平原側異常なし」
「わん」
「…」
「後ろも異常なし〜」
「よし、それじゃあまた二体目がくるかもしれない。次の小屋まで急ぎ足で向かうぞ」
「…」
「小屋…跡地?」
「…」
「なにも残ってないというか…潰れてるんですが?」
「この形跡は…」
「なにかがここを荒らした感じがあるな…」
「何かってなにが…?」
「この辺の殴った後を見るに…かなり力が強い物がやったような感じだ」
「何かわからないけどやばいんだね…?」
「あぁ…やばいな…」
「…」
「これって足跡?」
「雨でだいぶ分かりにくいが…肉食獣の足跡だな…」
「危険すぎて流石に笑えない…どっち向かってるの?」
「草が生えているところを歩いている様子だが…多分この先…」
「…」
「出会ったら死ぬ?」
「死ぬ可能性は高いな。」
「…」
「このままじっとしてるのも危険だ。警戒しながら進もう」
「戻るという選択肢は?」
「最悪あのウミウシにばったり出会って運命的で魅惑的な戦闘している音を聞きつけてコイツが来るとも考えられるな」
「早く行こう」
「結構歩いたんじゃないかな…はぁはぁ…」
「あぁ…そうだな…はぁはぁ…」
「ゼーヒューゼーヒュー…」
「フルブルル」
「時間的にそろそろ日が落ちますがどうしますか?小屋までもう少しな感じがありますけど…」
「…」
「ソウ先生?」
「戻るのは論外…無理をして進んだ先に獣がいれば疲労しているこっちが不利だ…しかしこうなにもないところで野営をするには無理だ…捕捉される可能性がある」
「死ぬんです?」
「それだけは避けたい。」
「ちょっとミキちゃんに無理を強いることになるが…頼みがある」
「それって今日のお宿と助かるかもしれない方法?」
「そうだ」
「それは無理をしてでもしなくちゃいけませんね…」
「助かるよ」
「じゃあ俺が思いついたことを言って行くから静かに指示に従って欲しい。」
コクッ…
「まずミキちゃん。荷台のカバー以外を全て解除だ」
「ワン太も?」
「ワン太もだ」
「そして?」
「そして荷台のカバーを俺が持つからその下であの土でできた家を作って欲しい」
「その前に道の土がドロドロだからある程度水が染み込んでないところまで掘る必要がある。おっさん頼む」
「…」
そこを基盤にミキ君が家を作るんだが…太い柱で高床式で作ってくれ」
「そんな複雑なものは無理」
「あぁ。だからイメージとしてはデカイ一本木の要領で俺たちと馬と荷台をひとまとめの空間にしてその下を一本の木が支えてるようなイメージだ」
「あぁ…ツリーハウスみたいなもんか」
「それと扉も窓も必要ない空気穴があればそれでいい」
「ふむ…」
「できるだけ高くしてくれ。そしてできればその家の周りに針山も仕掛けておいてくれると助かる」
「どのくらい高くできるかわかんないよ?」
「あぁ…頼む。」
「多分気絶するのでよろしくお願いします」
「任せろ!」最高の笑み
「…」ドン引き
「じゃあ行きますよ…」
「案外行けそうだな…」
「いや〜できれば遠慮したいかなぁ…とてつもなく狭いですよこれ…」
「ミキちゃんは完全に伸びてるな…」
「…」
「ついでに言うと店主さんも…いつも通りですかね?」
「…」
「何はともあれ…ここで一晩眠りにつけそうだな…」
「でもこのツリーハウス…ところどころ穴が空いてて下が見えて怖いんですが…」
「もうやっちまったもんは仕方ない上に作者が伸びてるから修正もできないんだがな…」
「それにしても…」ガタ…
「なんで荷台が上に来てるんだよ…」
「これのおかげで雨は当たりませんけど…これではご飯も食べられませんね…アハハ」
「この体勢は体がキツイんだが…腕一本動かすだけでもどこそこに当たって動かせないから今晩は我慢するしかないな…」
「リーフのところから下は見えるか?」
「はい…なんとか…」
「どうだ?獣除けの針山はできてるか?」
「細いですけど一応ありますね…」
「上出来だ…」
「本当に姿勢がきついけど…今日はここで寝よう」
「そうですね…」
「正直ミキちゃんがいなければ今頃地上で敵を警戒しながら寝るどころじゃないからな…」
「出会ったら最後全員かじられて終わりだ」
「ひえぇ…」
「明日ミキちゃんが目が覚めたらこれを解除してもらって進めるだけ進もう」
「そうですね…」
「この地域から早く脱出したい。」
「それにしても…」
「なんでうちのお姫様は俺の上で寝てるんかね…」
「計ったような具合に暖かいベットの上で寝てらっしゃいますね(笑)」
「せめて腕が自由に動かせてミキちゃんを触れたらよかったんだが…」
「それ、嫌われるやつですよ」
「わかってるって…っておわああああよだれ!よだれええええ」
「ソウさん!敵が来ちゃいます!」




