貿易都市ベルグール 主人公の仕入れとリーフの春
「おはよー」
「あれ?リーフさんは?」
「もう仕事だと行って出てったよ」
「はええ…御者の仕事って大変…」
「ふぁぁぁ〜」
「ご飯食べたら市に行って港見に行ったりしようぜ」
「そういえば観光してなかったしそうしようかな…」
「おっと忘れるところだった。帰りの分の食料品の買い出しもしておこう」
「それな!忘れちゃいかんけど私も言われるまで忘れてたわ」
「そういえば今日の夜は野宿だな」
「えぇなんで?」
「前日の夕方入りして今日で三日目」
「ほうほう…つまり…」
「都市のついて三日目だが宿代は昨日の分で終わりだ」
「オーゥ…」
「そういえば馬車の荷物を軽くする薬もらったから防水布も買って欲しい。」
「それを買うと帰りルフ村の宿代が無くなりそうだが?」
「あそこは立ち寄らなくていいでしょどうせ売り物ないし宿のご飯も虫しかないし」
「まぁな…」
「さて、行きますか…」
「美味しい保存食たくさん買わないとね!」
「朝から混んでるね」
「あぁ、今日は一段と混んでるな」
「早いとこ大事な用事から済ませよう。」
「おー!」
「食料は肉です!」
「ミキちゃんは野菜だけだろ!」
「いやでござる!いやでござる!」
「これどっちが持つかじゃんけんな。」
「私の肉のない保存食なんて手が滑って海に落とすかもよ」
「その時は昨日ミキちゃんが稼いだお金を強制徴収する」
「この鬼畜ぅー!」
「じゃんけんぽん!」
「何で…か弱い私が…」
「芋虫から逃げるときも殿を務めるほどの腕を持ち、我が隊の中で一番強い君以外一体誰がその重い食料袋を持つ人がいるというのかね」
「体格だけはゴリラのくせに」
「こう見えて頭脳派だからな☆」
(イッラァ…)
「次は布屋だな」
「梅雨前に防水布を買っておきたい。一番安いのはどれだ?」
「一番安いのはこれだ」
「ちと高くないか?」
「この時期どこも入り用でな。この値段にしないととっくに売り切れてあんた達に売る分なんて残ってないよ」
「仕方ないか…」
「おっちゃん」
「なんですかお嬢様」
「私も雨具欲しいんだけど?」
「そうか。じゃあこれくれ」
「まいど」
「私の雨避けマントは?」
「はい。お釣りだ」
「サンキュな」
「あれー無視は良くないよ?おっちゃんの足元からタケノコが生えるよ?」
「話聞いてなかったのか?この布で最後だ」
「…」
「いや最後ではない。この女性用で桃色の可愛い雨具なんてどうだ?」
「おぉー!いいねー!」
(って銀貨5枚はぼったくりすぎだろ)
「まぁそんなもんだ。さっき防水布無いって話聞いてたろ。じゃあ行くぞ」
「…」
「一旦宿に帰って荷物置きにいくぞ」
「へーい」
ガタン!
ドサッ…
「はー疲れた〜手が痛い〜」
「流石に15日分近く買うと重いな…」ヨイショ…
ゴトゴト…
(おっさん運んでないじゃん…)
「じゃあ後は…ミキちゃんの商売の仕入れだけど…何買うんだ?」
「仕入れね〜どうしようかな…もうめんどいっていうか…」
「俺は先生と君を立派な商人にすると…」
「はいはい。私も調味料でいいよ軽いし、かさばらないし多分高くで売れるでしょ」
「それにうちでも使いたい」
「よしじゃあ買いに行くか」
テクテクテク
「仕入れにいくらぐらい使うんだ?」
「金貨は記念にとっておきたい。死んでも使わないよ」
「死人に現金ほど意味のないものはない」
「私が頑張った証なんだからいいのいいの!」
「それ以外だといくらあるんだ?」
「えーと銀貨8枚と大銅貨29枚と小銅貨14枚と銭貨5枚」
「ほう、結構あるな」
「意外と金貨1枚分ぐらい溜まってたんですね」
「全部使おうぜ」
「初めての仕入れだからそんな思い切ったことできませんよ」
「ここに商売のプロがいるだろう?」
「お客さんが誰もこない商店の店主しか居ませんが?」
「…」
「…」
「で?調味料は何買うんだっけ?」
「売却予定地がルーク村かヨーク村なのでその辺で一番重宝されるやつがいいです」
「じゃあ塩と胡椒だな」
「昨日今日市見てたら乾燥バジルとかローリエとかあったけど使わないんですか?」
「正直使わんな。都市に行けば貴族向けなんかで様々な調味料があるが村程度じゃせいぜい塩と胡椒ぐらいしか知られて居ない。あぁ…油も需要はあるが…うちの村の場合、動物が取れるから需要ないと思うがな」
「需要がなければ意味ないですよ」
「じゃあ塩胡椒だな」
「塩は店主さんが買った店が一番美味しそうだったけどまた市を全部見て全部味見して見ていい?」
「いいけど宿が午前中までだから手早く行こうな。」
「ういっす!」
「うっわ!辛っ!?」
(んー?なんだこれ?塩?味がないぞ…?)
「あ、!ロックソルト!これうちの国で有名だったわ!」
「おいバカやめろ!お前の国は知らんがそれは調味料じゃない!」
「えぇ?でもたしかミネラルの含有量で色が変わるんだよね」
「そんな犬も食わん塩買うなんざ三流商人の証だぞ」
(あ、そういえば大昔は陸で取れる塩は縁起が悪いだの気味が悪いだの言われてたんだっけ?…栄養価高くていい塩なのにもったいない…)
(この臭い…ピンクの塩…)
「これください」
「これを買ってくれるのかい?優しいお嬢さんだね」
「あーっ!しらねぇぞ!」
「これっていくらですか?」
「塊が見えるだろう?1つ大銅貨1枚でいいよ」
「たけぇな見向きもされない塩のくせにぼったくりすぎるだろう」
「…」弱気な目
「これどこで手に入れてるの?」
「これはうちの村で取れる岩塩でね…山の高いところで取れるんだよ。うちは特産になるものがなくてね。それでも村にはお金が必要なんだよ。みんなでお金を出してを旅費をつくりやっと1箱だけ持ってこれたものの…誰も買ってくれやしない。」
「せっかく持って来た商品…売ってお金にするまでは帰れない。だからこうして市のはずれでこうして油を売っているのさ…」
「当たり前だろう。そんな商品にもならない質の悪い塩なんて…タダでもいらねぇぞ」
「一箱どのくらいは入ってるの?」
「みんなで選り分けたよりすぐりの一等岩塩が5キロ」
「一箱だといくら?」
「銀貨1枚」
「…」
「船代がいくらか知らないけどそれで故郷帰れるの?」
「労働船員として乗せて貰えば飯代と寝床付きでほとんどタダで帰れるんだ」
「なるほど。」
「じゃあこれ1箱買います。はい。銀貨1枚」
「えっ!?いいのか?本当にいいのか!?この塩は選りすぐりといえどこの国では確かに後ろのお兄さんが言うように見向きもされない塩だぞ?」
「うん。いい。それにこれが売れないとおじいちゃんも村の人も困るじゃん」
「ありがとう!本当にありがとう!これで野菜の種や服や薬が買えるよ!」
「薬?薬って傷薬みたいなやつ?」
「あぁ…それも買う予定だ。地味に高いから少ししか買えないだろうが…」
「よかったらこれ使う?私が錬金術で作った傷薬なんだけど」
「!?」
「いいんですか!?錬金術といえば誰でも作れるわけじゃない上に効果も高くその辺の薬屋では置いてないやつなのでは!?」
「いや〜これちゃんとした材料じゃないから値段はつかないみたいで。自分たちに使う分には十分な効果が発揮されるらしいのでよかったらお一つどうですか?」
「大変ありがたい申し出だが…本当に申し訳ないがこの銀貨で他のものを買う予定がありますので…」
「うん。知ってるだからこれあげるよはい。」
「お…おい…」
「良いんですか!?タダで!?タダで!?」
(なぜにそこを強調…あと声がでかい…)
「シー…」
「…」
「本当にいいんですか!?塩まで買ってもらって錬金術の傷薬まで頂いても!?」
「そろそろこのやり取り疲れてきた。くどい。はいあげる!塩は貰う!」
「ありがとうございます!」土下座
「いやいや…そこまですごいことじゃないから…」
「あ、私この国のここから陸路で2つか3つ行った先のルーク村のミキと言います。またいつか会う機会があればよろしくお願いします」にっこり
「あぁ!是非ともよろしくお願いします!」
「なぁ…あそこまでする必要なかったんじゃないか?」
「ん?あぁ〜なんかかわいそうでほっとけないじゃん」
「…」
「ご立派なことで…」
「それに先行投資だからいいのいいの」
「岩塩が先行投資か?ミキ君の目と脳みそはゾンビ並みでしたか…」
「失礼だな君は」
「俺商人のプロなんだけど?」
「胡椒は粗挽きと細切り?とどっちがいいかな?」
「ハァ?細切りなんて貴族か王族しか食えないし粗挽き胡椒よりもさらに貴重品だぞ?そんなもん使っても売られた側も上品すぎてワカンねぇよ。粗挽きが主流なんだからそれを買えばいい」
「さいですか…」
「胡椒の良し悪しって何?」
「虫が入ってるかどうかとか乾燥具合とか…」
「あぁ…そういえば昔大きいタイプの塩胡椒の商品を半年ぐらい放置してたら中で芋虫が誕生してたっけ…?」
「ステーキに振りかけた瞬間芋虫が「アツゥゥゥイィィィ!」って体くねらせてたことがあったわ」
「まぁ、そういうことだ」
「雑な管理だとその調味料を食って育つ虫の卵が混ざってたっりするからな」
「それって見分けつく?」
「つかんな」
「ですよねー」
「胡椒ならあそこの店が一番いいぞ。」
「いらっしゃいませ。何をお買い求めですか?」
「胡椒を少々」
「こちらなどいかがでしょう?小さい瓶に入ってぎっしり詰まって銀貨3枚です」
「ん〜…」
(ねぇねぇ?高くない?)
(瓶入りなんだからこんなもんだ。普通は自前の瓶を用意するもんだ)
(えー!持ってないよ!)
(だからこの値段なんだろ。中身だけならもう少し安いぞ)
「…」
「こちらは一つ一つ職人が手作業で分けて当店オリジナル瓶と蓋のコルクに当店の焼印を施した安心と信頼の一品となっております。」
「湿気でダメにならないように炒ったお米を入れて長く新鮮に香りと味を保証してくれますよ?」にっこり
「貴族や王族御用達…「虫も湧かない」素晴らしい胡椒です!」
「買います!」
(…)
「お買い上げありがとうございまーす!」
「…」
(どんだけ虫嫌いなんだよ)
「ありがとうございましたー!」
「おまえ…」
「ん?なに?」
「いや…なんでもない…」
(もうこのお嬢様には身を以て経験して貰うしかないな…)
「後は〜私も店主さんが買った塩買いたい!」
「もう5キロもあんだからいらないんじゃないか?」
「これは自分用だから」
(どんだけ食うんだよ…)
「こんにちわー」
「おや?この前のケチ商人じゃないか」
「値切っただけだろ!しかもほとんどまけてくれなかったくせに!」
「お前の塩をお気に召したうちのお嬢様が直々に買いたいと言って来たんだ。こっちは客を連れて来てやったんだぞ!客を!」
「いらっしゃい可愛いお嬢さんうちの塩を気に入ってくれたって?嬉しいね!お嬢さんかわいいからおまけしてあげるよ♪」
(このジジイ…)
「わーい!」
「んーと…おじいちゃん!どのくらい値下げしてくれる?」
「んー(笑)おじいさん独り身でのぅ…寂しいくて…しばらくハグしてくれたら100g銀貨2枚にしてあげりゅ!」
「わーい!ハグしよー!」
ぎゅぎゅ
ぎゅぎゅ
「もういい?」
「んー(笑)もう少し」
「はい!終わり!」
「あぁん///もっとぉ…」
「ごめんね〜宿の時間あるから…」
「ん〜ミキちゃんのいけずぅ!」
「おじいちゃん可愛いからお小遣い全部使って200g買っちゃう!」
「おぉおぉ…ありがい…」
「はい!200g!」
財布ザバァー
「ん〜大銅貨29枚と小銅貨14枚と銭貨5枚しかない…」
「ん〜!少し足りないぐらいなんじゃ♪おまけしてあげるぅ!」
「えーいいのぉ!?ありがとうおじいちゃん!」ハグ〜
「うはははは!いいんじゃ!いいんじゃ!また買いにきてくれな!」
「うん!またおじいちゃんの美味しい塩買いに来るよ!」
(何この茶番)
「ということで、塩200gゲットだぜ!」
「…」
「値下げの仕方が汚ねぇ…」
「私お年寄りと子供は好きだから全然問題ないよ?」
「ミキちゃん商人より娼婦の方が才能あるんじゃない?」
「失礼な!」
「若い間しか通じないから今の方法もう使うなよ?」
「誰彼構わずやるわけじゃないから!」
「だといいがな」
「あれー?あそこにいるのってリーフじゃない?」
「ん?おー後ろ姿が似てるけど…なんか燕尾服着てるから違うんじゃないか?」
「今御者の仕事してるんだっけ?隣にいるのは女の子ぽいけど…実はデート?」
「リーフも隅に置けないな…たった三日で女を落とすとはな…」
「せっかくのデートだし邪魔しないであげようよ」
「そうだな。さーて買い物はもういいのか?」
「うん!おっけー!」
「じゃあ宿に戻るか」
「ようこそ貿易都市ベルグールへ。本日案内を勤めさせていただきます。ベルグール商人のビローフと御者のリーフです。以後お見知り置きを」
「ビローフとやら、腕のいい御者を用意すると大見得を切ったと聞いていたが?なんだこの子供は?」
「このリーフ殿こそこの都市…いや世界でも数人しかいない屈指の御者でございます」ニコニコ
(…)にっこり
(かっこかわいい///)
(騎士団のようなガッチリ系ではなく美しいお嬢様にも思える色白で綺麗なな顔立ち…ポッ)
「わかっているんだろうな?もしこのお方の機嫌を損なうことがあれば…「その時は私の首を差し出す所存です。世界最高の御者の腕を持つリーフ殿に無理を言ってお願いしました故私が代わりに罰を受けます」
「ほう…それは楽しみだな」
「それでは都市をごゆるりと案内しますゆえ楽しまれてください」
「では姫様はこちらの馬車へどうぞ」
(姫様?どこかの金持ちの令嬢かな?)
「なんだこの小汚い小さな豚小屋は?」
「豚小屋とは滅相もございません。小さいながらも最高の乗り心地ときらびやかな装飾、そしてこの戦場とも言える港町を見て回るのです。この大きさでなければスムーズに見て回ることすらできますまい」
「しかしこのような粗末な馬車に姫様を…」
「私は構いません早く行きましょう」
「ですが!護衛である第1騎士団団長である私が同席できなければ貴方様の身に何が起こるか…!」
「これは一人専用のようです。王都にもこのような小さな馬車はありませんが私は少し興味を持ちました。早く乗ってみたいのですが?」
「わかりました。せめて中を先に確認させていただきます」
「えぇ…」
「…」
「なんだこの老馬は!?我々をバカにしすぎではないのか!?ビローフとやら!」
「めめめめっそうもございません!この世界屈指の御者と言えどもリーフ殿はまだ成人したばかり…慣れた愛馬での方が操りやすくこの都市でもスムーズにストレスなく周れるというもの…」
「えぇい!貴様!我らの高貴をこのような下賎な…」
「乗り心地やスムーズに見て回れるのなら私は構いません。早くしてください。騎士団長殿。」
「…」
「中は普通なようですな」
「まぁいいでしょう。」
「どうぞ姫様」
「ありがとう」
「いつも通り前と後ろから我が第1騎士団が護衛しておりますゆえ安心してください」
「えぇ、頼みますわよ」
「はっ!」
「それでは出発します」
(姫様のおかげでなんとかなったわい…)
(しかし…私まで騎士団団長殿と同じ馬車とは…視線が痛い…)
「はじめにこの街の噴水広場に行きます。お嬢様」
「…」
「ここがこの街一番の噴水広場です」
「小さいですわね」
「そうですね。でも人々が忙しく働いて活気があって私は好きです」
「…」
…………………
…………
……
…
「ではそろそろ、この街一番の目玉。港に向かいますね」
「それを待っていました。ネズミも通れぬほどの混み具合と騒乱があると聞いて楽しみにしていましたの。」
「予定にはないですが港の湾を端っこから端っこまで行って見せよ。そして私が窓から手を伸ばして壁を触ったら反対側の方へまた同じように向かっていただきます」
「護衛の方がびっくりされると思いますがよろしいのですか?」
「私が良いと言っている。それに前を行く騎士は馬車ではなく馬に乗っているだけなので十分ついてこれると思います」
「わかりました。お姫様がそうおっしゃるのなら…」
ガヤガヤガヤガヤ
ヒヒーン
「うおおおおおおあああ」
「ああああああ」
「早速先頭の護衛の方が洗礼を浴びているようですね(笑)」
「すこし揺れますので捕まっててくださいね」
ガタガタ…
「ん?何事だ?」
「おそらく一番混む所…港に着いたんでしょう…」
ヒヒーン…
「うおおおお」ガタガタガタ…
「ぬぅ!急に止まって何事だ!」
「申し訳ございません…あまりに人の往来が多く…馬がびっくりして止まってしまいまして…」
「言い訳はいい!姫様をお守りしろ…!?」
「だいぶ混んでるな」
「えぇ…進もうにもこれではなかなか…無理に進むと引き返せなくなりますが…?」
「それでも姫様を一人にするわけにはいかん!行け!」
「ですが…」
「打ち首になりたいのか?」
「…行かせていただきます」
ドドドドドドド
ガコン!
ガガガガガ
「うおおおおおお…」
「もっと静かに運転しないか!」
「申し訳ございません!ですが姫様に追いつこうとしましてもこの車体では思うように動けず…」
「オラオラオラ!どけどけー!」ドゴーン…
「うわああああ」
「おわああああ」
「何か後ろの方が騒がしいですわね」
「これがこの港の名物らしいのでよく聞いて堪能されてください」にっこり
「でも思ってたよりかなり楽しいわ!こんな騒がしい中でこんなスピードで!しかも誰にもぶつからずに進んで行くなんて!すごく楽しい!」
「喜んでいただけて何よりです」ニコニコ
「このまま壁際まで一気に行きますよ!」
「その調子よリーフ殿」
「姫様ァァァァ!」
「えぇいなにをしている!置いて行かれるぞ!」
(…)焦
「どいたどいたー!そこのデケェ馬車さん邪魔だ!どきな!」ドンッ
「うおっ…貴様…この第1騎士団団長の私に向かって!」
「ロン毛のおっさん邪魔だオラ!」ドガッ
「おっさんだと!?私はまだ35歳だ!」
「でけぇ荷物がくるぞおおおお」
「おおおおおあぁぁぁぁ%¥#@!!!!」
「タッチ!」
「お疲れ様です。疲れてはいませんか?」
「えぇ、少し汗をかきましたけどまだまだいけますわ!今度はあの反対側に見える壁にもタッチしたいですわ!」
「それじゃあ参りますよ!しっかり捕まっててください!」
「あぁ!姫様!姫様が戻られた!ここで足止めをされて、我々を心配した姫様が戻ってきてくださったんだ!おーい御者!俺もそっちへ乗せてくれ!」
「あの派手な鎧の人が何か叫びながら手をふってますよ?」
「うふふふ!きっと騎士団長もこの騒乱で楽しんでおられているはずです!今私がとっても楽しいんですもの!」
「私の名前を呼んでいるようですが…今忙しいので代わりに手を振って貰ってもいいですか?」
「えぇ!まかせてください!」
「騎士団長様〜!」ぶんぶん
「姫様が気づいてくださった!こちらです姫様!お怪我はありませ…」
スーッ
「えっ」
「騎士団長様〜さようなら〜(笑)」
「えぇ!?おい!御者の者!姫様は反対方向に行かれた!急いで旋回しおいかけよ!」
「えぇ!?今ようやく向こうに行くための流れに乗れたのに!?」
「早くしろ!」
「は…はい〜><」
(さすがはリーフ殿…)
(ところで私はいつここを抜けられるんだろうか…)
(私もリーフ殿の方に乗りたかったなぁ…)ゲシゲシ
騎士団長に足蹴にされながら何も言えないビローフだった。
「そろそろ壁際です!今度はタッチしたら素早くUターンしますよ!」
「えぇ!望むところですわ!」
ヒヒーン!
「ターン!」「タッチ!」
パカッパカッ…
「うふふふふ!タッチできましたわ!」
「それは良かったです。実はお姫様にタッチさせないように少し壁から離れてUターンしたんですがさすがです(笑)」
「あら!意地悪ですこと!でも私は確かにあの速さで壁にタッチできましてよ!」
「えぇ、この勝負姫様の勝ちですね」
「へへん!どうです!」
「素敵です!」ニコニコ
タッタッタッタ…ぶるん…。
「どうされましたの?」
「少し馬が疲れたと言っているもんで」
「えぇ?そんなはずは…」
馬「じー…」
「本当ですね…疲れたって言う目をしていますわ」
「ハウッハウッ…ブルブルブル…」
「ちょうどいいですしここらでゆっくり海でも眺めませんか?この防波堤からの眺めは最高ですよ」
「それもいいですわね」
ザァァァ…
ザァァァ…
「港町なのにこうして港の半分を砂浜にしているなんて素敵ですね」
「街の外だとモンスターが怖くてこんなにゆっくり砂浜でくつろげること無いですもんね」
「将来的には街の外の砂浜も街の一部にして観光地にすると言う話もあるみたいですよ?」
「そうなると素敵ですね。その時は砂浜でゆっくりと寝そべって過ごしたいですね」
「えぇ…素敵ですね…」
「ところでそろそろお腹空きませんか♪」
「そういえば…たくさんはしゃいですごく疲れて…お腹がすいてきました」ぐぅ〜
「////」
「今の聞こえまし…「そこのカップルさん!朝どれの美味しい焼き魚とブドウジュースはいかがですか!」
「こんにちはお嬢さん」にっこり
「おや〜(笑)この前のお兄さんじゃないですか〜!今日は彼女さんとデートですか?それとも奥さんかな?」
「奥さん///」
「いえ、今日はお仕事です。このお姫様に街を案内しているのです」
「…」
「へー!じゃあこの前のお兄さんも?」
「あのお兄さんは旅の仲間なんです」
「なるほど!」
「ん、んん!」
「あ(笑)ごめんねー(笑)それで焼き魚とブドウジュースどう?」
「いただきます。」
「いただきます。」
「ナイフとフォークは?」
「これはこの串の所を持って食べるんですよ」
「へぇ…いただきます」
「あつ…」
「あぁ…大丈夫ですか?」ふきふき
(カァ…///)
「ふーふー」
「はいどうぞ。もう熱くないはずですよ」ニコッ
「ありがとう///」
「どうですか?」
「塩味が効いてて美味しいです」
「ふふっ良かった。じゃあ僕もいただきます」
「あちち(笑)」
「まぁ…貸してください」
(?)
「ふーふー…はい。召し上がれ」
「あ////いただきます」
「顔が赤いですが大丈夫ですか?」
(唇がうるうるしてる…///)
「あ、あはははは。僕どうしたんですかね?」
「んふふ。どうしたんですか?」
「なんだか初めて会ったのにあなたを見てるとドキドキしてしまいます」
「///」
「早く!冷めないうちに食べてしまいましょ!」
「そうですね」にっこり
「それではお姫様。午後からの視察に戻りますがよろしいですか?」
「えぇ、お願いするわ」
「失礼、」フキフキ
「これでより一層可愛らしくなりました」
「////」
「午後の視察がある程度終わったらビローフさんが教えてくださった異国の珍しい甘味処で甘いお菓子などいかがですか?」ニッコリ
「行きましょう!視察なんてどうでもいいので個室で甘味処行きましょう!」
「それでは午後の便行きます〜」
「れっつごー!」
「姫様はどこだああああああ」
「姫様に何かあっては事だ!俺は馬車を降りるぞ!」
「いけません!騎士団長様!今降りては……!」
「ええいうるさい!何時間もここに居られるか!」
シュタッ…
「おおおおおお急に飛び出す奴があるかあああああ邪魔だロン毛えええええええええええええ!」
「ぬ?」
ドンッ…
「あ」
「あ」
「ぐはっ!?」
バシャーン…
「異国の珍しい甘味処はまだですの?」
「お姫様。まだ視察の予定が…「そんなのは後でいいんです!今は異国の珍しい甘味処が優先です!」
(えぇ…)
「お姫様。私にも予定というものがございまして…」
「珍しいお菓子が無くなったらリーフさん責任とってくださるの!?」
「いえ…責任は取れませんので今から向かいます…」
「それでいいのです!」
(今ご飯食べたばかりなんだけどなぁ…(笑))
「今何か言いませんでした?」
「いえ?何も言っていませんよ?」ニッコリ
(心読まれてる?)
「じゃあメニューの上から順番に持ってきてくださる?分量は少し少なくていいですわ。二人で食べるので一つずつ持ってきてくださいな」
「かしこまりました」
(えぇ〜このメニュー全部食べるの!?)
「それで…」
リーフの手を握りながら
(ドキッ…)
「…」
「…」
(この流れってもしかして…ドキドキ)
「私に…////」
「さっきの仲間とやらの冒険のお話をお聞かせください!」
「えっ…」
「え?」
「あー!あー!わかりました!」
「今変なこと考えてませんでした?」
「いえいえ滅相もございません!」
「ですが旅と言ってもルーク村からですから半月ほどですよ?」
「ルーク村というのがリーフ様の出身地なのですか?」
「そうです。何もない村なんですよ〜」
「じゃあそこから!そこから聞きたいです!」キラキラ
(あは〜あはははは…)
「今日はとっても楽しかったですわ」
「はい、僕も楽しかったです」
「…」
「ん?」
「はぁ…」
(?)
「もう一言ないですの?」
(ん?…あ!)
片膝を地につけて…
「貴女と共に過ごせた時間は私にとって幸せな時間でした」
「…」
(ん?まだ納得していないのかな?)
「また麗しい姫さまと共に時間を過ごせることを楽しみにしています。」
「うん!よろしい!」
(ほっ…)
「今日はありがとう。またね。」チュ
「////」
「ふふふ♪」
「綺麗な人だったな…でも僕より年下ぽいかな?…」
「そういえば名前聞いてなかったや…」
「お…おぉーい…」
「あ、ビローフさん。」
「お姫様は?」ゼェゼェ…
「見ての通り屋敷に戻られました。」
「で…!どうだった?」
「えっ!?///」
「怒ったりはして居なかったか!?」
「えぇ…!ビローフさんオススメの異国の甘味処などとても気に入っておられましたよ」
「よかったああああ」
「私死ななくていいんだよね!?ね?リーフ殿!?」
「はい。少なくとも姫様は満足しておられる様子でしたよ…?」
(ほっ…)
「あぁ…リーフ殿御者ご苦労だったね…私の屋敷で報酬を渡そうと思うから私を屋敷まで送ってくれないか?」
「わかりました」
「いやぁ…今日は疲れたよ…」
「王国お墨付きの御者だというから乗ってみれば…」ぐちぐち
「ビローフさんこちらお姫様を案内する時に使ったお金をお返しします」
「あぁ…それはリーフ殿がもらっておいてください」
「ですがこれはビローフさんのお金ですよ?」
「何…私の首に比べれば安いもんだ。それとこれが報酬だ。確認してくれ」チャリ…
「…」
「足りないか?」
「いえ。最初に記載してあった金額通りです。ありがたくいただきます」
「あぁ…それにしても今回は本当に助かったよ」
「次も何かあったら是非お願いしたいものだね」
「次のお願いは誰かの首が飛ばない仕事であることを祈ります」
「あははは…今回は流石に覚悟したよ…今後はもっと気をつけるよ「パパー!」
「おぉ…セリーヌただいま。」
「娘さんですか?」
「あぁ…可愛いだろう?」
「えぇとっても」ニッコリ
じー
サッ…
「おやおや…リーフ殿が男前だから恥ずかしいのかな?」
「あはははは」
「しかし娘はまだやらんぞ!」
「いえ…年が離れすぎてますよ…」
「それじゃあそろそろ僕はこれで。仲間が待っていますので。」
「あぁ…すまなかったね。しばらくこの街にいるのかい?」
「いえ。今から村に向けて帰ります」
「何?今から?もう日も暮れて遅いのにか?」
「えぇ…もうこの街での滞在費が無いもので…」
「今日は私の頼みで疲れているだろう…おい」
「およびでしょうか」
「王国宿の手配を。私の命の恩人が宿泊するから金は私が持つ」
「かしこまりました。」
「え?そこまでお世話になるわけには!」
「いいんだいいんだ。今こうして娘と再会できるのもリーフ殿が引き受けてくれたからこそだ。元はと言えば確かに自分の顔を売るために引き受けたこと…報酬だけでは申し訳ないと思って居たところだ。」
「それに今日働かせて今夜その仕事の疲れで怪我でもしたら大変だ。なぁに私も大商人。宿代ぐらい持たせてくれ」
「…」
「わかりました。ではお世話になります」
「うんうん」
「宿の地図を持たせるから仲間とゆっくり泊まるといい」
「はい。何から何までありがとうございました」ニッコリ
「それじゃあ、長く引き止めて悪かったね。今度またベルグールに寄った時は顔を出してくれ!歓迎するよ」
「はい。ありがとうございます。」
「リーフさん遅いね」
「あぁ…腹減ったな」
「リーフもいよいよ朝帰りか…」
「ちょっと!リーフさんは汚れません!純潔のままです!」
「それ誤用だろ…」
「お待たせしましたー!」
「おそーい!」
「宿に着いたら都市の入り口にいるって言われて…走ってきたんですよ…」
「日が暮れちゃったじゃーん!」
「ごめんごめん(笑)」
「もー…」
「もう帰るだけですか?」
「あぁ、もう誰も用事ないよな?」
「俺はないぜ」
「私は〜港観光するの忘れてた。あとポーション瓶も買うの忘れてた…」
「俺は特にないが…どうした?」
「今日の雇い主から夜が遅いから宿を取ってもらえたんです」
「え?マジ!?」
「お?そりゃよかったな。」
「はい!」
「どこの宿だ?」
「場所は…」
「なんじゃこりゃ…」
「でけぇ…」
「夜なのにすげぇ明るいな…」
「何この宿どうしたの?」
「さっきも言いましたが雇い主が仕事が遅くなったのでここに泊まるようにと手配してくれたんですよ」
「ぬおおおおおすげええええええ」
「ひゃっほおおおおおおお」
「え?もしかしてリーフさん純潔をその雇い主に売ったんですか…?(泣)」
「なんのことですか…そんなわけないじゃないですか…真面目に仕事してただけですよ…」
(あ、意味はわかるんだ…)
「じゃあ行きましょうか」
「いらっしゃいませ。」
「ビローフさんからここに来るように言われたものですが…」
「承っておりますお部屋へ案内しますのでどうぞこちらへ」
「“おぉ〜!”」
「個室!しかもすごい広い!大広間の数倍はある!」
「しかも天蓋付きベット…お姫様みたい!」
「おぉ〜部屋に備え付けのいい酒まであるぞ!」
「ご自由にお飲みくださいだってよ!」
「お食事は二階もしくは部屋で召し上がられます」
「大浴場も地下一階にございますのでよろしかったらどうぞ」
「おぉー!お風呂ー!」
「それではごゆっくりおくつろぎください」
ガチャン…
「うひょおおおお酒うめええええええ」
「おっちゃん…」
「あはははは…」
「俺は風呂行って二階で飯食って少し飲んで寝るかな」
「おっちゃんはどうするんだ?」
「俺は朝まで飲み続けるぜ!」
「完全にアルチュー…」
「私もお風呂いこ…」
「僕も…今日は疲れましたので…」
「は〜まさかお湯がたまってるとは…」
「あ〜極楽極楽…一年ぶりぐらいの溜まったお風呂だ〜」
「日本人ならやっぱこれだよね〜」
「…」
「ん?日本人なら?」
「…」
「あ、ま、いいや。また暇なとき考えよ。雑念は後ででも考えられるけど今この幸せはここでしか味わえないんだし…」
「ミキちゃんとお風呂入るつもりがなぜ男女別…」
「仕方ないですよ。それが普通じゃないですか?」
「なんか納得いかねぇ…」
「おぉー!」
「これはバイキング!」
「なに?そういう名前なのか?」
「確か…」
「確かかよ」
「さ、並んで食べようぜ!」
「ウマー!」
「おぉ…これイノシシ肉じゃないか!相変わらずうまい!」
「ミキさんこれ美味しいですよ!」
「なにこれ?」
「あそこに横たわるブレードマグロって名前のお刺身だそうです!」
(えらい日本かぶれな名前)
「でもマグロの刺身なんて久しぶり〜!」
「うん!美味しいいいいい!」
「生きててよかった〜」
「すごい美味しいですね!」
「うんうん!」
…………………
………
…
「は〜…こんなに美味しいもの食べられて幸せ…」
「やべぇ〜これ朝起きたら断頭台?とかにならないよな?」
「大丈夫じゃないですか…?…あはは…」
「リーフ様?」
「ん?」
「リーフ様ぁ!」
ガシッ…
「ん?」
「だれ?」
「あ、貴女は!」
「お久しぶりです!」
「ついさっき別れた気がするんですが…」
「今日の御者の仕事のお客様です」
「はじめまして。アルメリアと申します」
「あ、はじめま…「ところでリーフ様!この女性は誰ですの!?」
「もしかして愛人!?」
(おいおい、なんで私が愛人なんだ…)
「ちちちがいますよ!彼らは昼間お話しした僕の旅の仲間ですよ」
「あら、そうでしたの。安心しましたわ」
「では貴女がミキさんですね?」
「はい。ミキですよろしくお願いします」
「一人で獣や魔物をなぎ倒す女冒険者と聞いていましたから…どんなオーク女かと思ったら…うん…ナカナカ…」
「リーフさんどういうことですか?」
「そこまでは言ってない!」
「どこのオーク女まで言ったんですか!?」
「それこそ言ってない!」
「モテる男は辛いね〜…寝よう」
「ここで会うなんてなんたる運命!リーフ様!今から私の部屋に来てくださいまし!」
「おぉ…大胆…」
「えぇ!?」
「朝まで帰しませんことよ!」
「おぉ…そうか…ついにリーフさんも男になる時が来たんですね…」
「アルメリア様!いけません!淑女が殿方を朝まで帰さないなんて!はしたない!」
「なによ!なにもやましい事をするわけじゃないの!冒険話を聞きたいだけなの!」
(そっちか〜よかった〜)
「なりません!男女二人っきりでだなんて!」
「?二人っきりがダメなら貴女も居なさい!これは命令よ!」
「姫さま〜!」
「そしてミキさん!貴女もです!」
「えぇ?私もうスイートルームで寝る予定なんだけど?リーフさんを好きにしていいので私は寝ます。」
「…」
「なら仕方ありません。」
(よかった)
「じゃあそういうことで…リーフさん頑張れ!」
「リーヴェルとワン太ちゃんを貸しなさい!」
「…」
じー
チラッ…
(リーフさんが露骨に目をそらした)
「はー…仕方ありませんね…」
「そのかわりこの子達にも美味しいものを食べさせてあげてくださいね?」
「わかりましたわ!」
「後リーヴェルの体についてる宝石は触らないこと」
「わかりましたわ」
「…」
「おいで!ワン太!リーヴェル!」
「きゅい…」
「わん?…」
「まぁまぁまぁ!なんて可愛いのかしら!?」
ぎゅうう…
「!?」
「!?」
「こんな時間に呼び出してごめんね〜このお姉さんが滅多に食べられない美味しいものを食べさせてくれるっていうから、たーくさんたべておいで〜」
「わん?」
「きゅう…zzz」
「今から私は寝るので消えることはないと思いますが、この子たちに不埒なことしたら私と視界繋がってるので飛んで来ますからね?」
「わかってますわかってます♪」
「さ!リーフ様!行きましょう!」
(えぇ〜僕も眠いのに…)
「ヒャアアアアアアア!酒がうめえええええええ」




