貿易都市ベルグール 乾燥蛭と魔核の売却
「ふあぁぁ…」
「おはよう、ミキさん」
「おはよう…」
「相変わらずうるさくて眠れなかった…」
「あれ?おっさんは?」
「店主さんならあそこ。」
「自分が入り口で寝てるじゃん」
「結局宿の人が運んでたみたいですね」
「あれがうちの村の商人の姿とは…」
「あのふくよかな豚を丸焼きにしてはどうだろうか?」
「ミキさん?言い過ぎですよ?」
「すいませんでした」
「今日はどうするの?」はむ…
「今日は俺の店の買い出しに行く」
「そっかー…ソウ先生とリーフさんは?」
「俺は何も用事ないな」
「僕もないですね〜昨日早々に港も堪能できましたし」
「私行きたいところあるからソウ先生とリーフさん暇ならついて来てくれない?」
「あぁいいぞ。」
「いいですよ」
「という事です」
「ダメです」
「という事です」
「ダメです」
「…」
「なんでですか?」
「俺は先生にミキ君に少しでも取引を見せたり、立派な商人にすると約束をしています」
「ほう?」
「つまり今からうちの店の仕入れの仕方を学んでいただきます」
「えぇ〜」
「…」
「という事らしいから頑張って来なよ」
「がんば〜」
「くぅ…」
「じゃあどこいくか?」
「どこ行きましょうか?」
「街の中散策するか〜」
「そうですね〜」
「それにしても…」チラッ
「…」
「日陰者っつうか…路地の裏にはそういう奴が多いな」
「そうですね〜こんなに賑わっているのなら働き口なんてたくさんありそうなもんですけど…」
「仕事したくない気持ちはわかるが…」
「そうですね。こんなに景色が綺麗なのにそれを見ずにあくせく働くだけっていうのも面白くないし」
「人それぞれか」
「街の掲示板でも見に行くか」
「そうですね〜」
「お?御者の募集が出てるぞ?」
「どれです?」
「これこれ、一日のみだけど貴族の観光で街を一周と繁華街をストレスなく周れる腕のいい御者の募集だそうだ」
「へ〜」
「1日だけだし、明日だしやってみないのか?報酬かなりいいみたいだし」
「僕はこの街を知りませんし…それに金額が高い上に誰も受けたがらないのは何かありそうじゃないですか?」
「まぁ…そういう考え方もあるか…」
「下手に動けなくなって打ち首になるとかだったら話になりませんよ」
「まぁな…」
「それより前に言ってた巨大貝の討伐依頼出てますよ」
「どれどれ…街の城壁の外…港に住み着いた巨大貝の討伐依頼…推奨Bランク以上か腕に自信のある冒険者…報酬金貨3枚」
「報酬が金貨とかどんだけでかいんだよ」
「他にもありますね。順調な航海のために風が使える魔法使い…往復で銀貨3枚寝床食事付き、ただし船酔いしない者」
「魔法使いは大人気ですね」
「依頼はあるけどどれもレベルが高いものばかりだな。さすがは都市と言うべきか…」
「これじゃあできそうなのはないですね…」
「そこにいるのは昨日の御者ではないか!」
「?」
「やはりそうだ!折り入っておねがしたいことが…「人違いですよ。さようなら〜」ガシッ…
「待たれよ。」ギリギリ…
「私の目に狂いはない…大商人である私の目に…」
「えぇ…?ヤダなぁ…私はミキさんと違うんですから…人違いですよ〜」
「お願いします!明日1日だけでいいのである方の御者をお願いしたい!」
「お断りします。それじゃあ…」
「まってぇ!」
「何この状況…」
「で…何を仕入れに行くんですか?」
「まぁ大体は日用品だが…村のものは気づいていないが…最近村の景気が少しずつ良くなって来ているだろう?」
「う〜んそうなのかな?」
「そうなんだよ」
「それで村の人が次に欲しいものを予測して仕入れるんだよ」
「おぉ…店主さんが商人ぽいこと言ってる!!!」
「商人ですが…?」
「まず塩だな」
「地味なところいくね…」
「地味とは失礼な…調味料は貴重品!あって困るものではない上に持ち運びもしやすい!あんまり予算ないけど軽量でお金になりそうなものはこれが一番なんだ」
「へー」
「あれ?商店じゃないの?」
「モノは確かだが、あんなところで仕入れたら商売にならないから市に行くぞ」
「ふむふむ…」
「買わないの?」
「今商品と値段を見て質が良くて値段が安いか見ているんだ」
「なるほど…」
「質の良い塩ってなに?」
「旨味がある」
「まずい塩は?」
「辛い」
「ふむふむ…」
「貿易都市だから色々なところから塩がやってくる。そこそこで味が微妙に異なったり、雑なものだと塩の中に砂が入ってる場合もある」
「砂…」
「ついでに胡椒も人気があるから見ている」
「塩だけじゃなかったんですね」
「当たり前だ」
「味見して良いか?」
「あぁ」
「うん。うまい」
「これは北の国で取れた塩でな質がいいぞ」
「ふむ…しかし100gで銀貨3枚は高い!もう少しまけてくれ!」
「さっきも言ったが良い塩でな。その辺の安もんとはわけが違う。だからこそあんたに目にも止まったんだろう?」
「良い塩だからこそ安く仕入れて村のみんなに喜んでもらいたいんだろうがよ(笑)」
「銀貨一枚で100g!」
「ダメだ船賃にすらならねぇ」
「1.5!」
……………………………
…………………
…………
…
「頑固な爺さんだった…」
「でも良い塩が買えただけ良かったじゃないですか」
「結局100g銀貨2.5枚か〜」
「200gって意外と少ないですね」
「塩なんてドバドバ使うものじゃないし良いんだよこれで」
「後胡椒買うんだっけ?」
「もう予算がない」
「えぇ!?」
「貧乏店主だとこれが限界だ」
「そうなんだ…」
「そういえばミキ君はどこに行くつもりだったんだ?」
「あ、私はこのカバンに入ってる魔核と乾燥させた蛭を売りに行こうかなと」
「ほう…それはお手並み拝見だな…どれぐらい学んだか見せてもらおうじゃないか…」
「魔核は価格決まってるらしいよ」
「それでも交渉して見るのが商人ってやつだ」
「も〜…」
市役所のようなところに行き…
「すいません〜この辺で魔核を買い取ってくれると聞いたのですが」
「あちらの七番カウンターになります」
「ありがとうございます〜」
「すいません〜魔核を買い取って欲しいのですが」
「魔核の買取価格は見ましたか?」
「いえ、まだです」
「こちらが今年の買取価格になっております」
「どれどれ…」
「ここ数年冒険者不足により魔核の買取は右肩上がりで、その割に消費される魔核は増え続ける一方で…喜んで買取だせていただきます」
「小核…小銅貨3枚」
「中核…大銅貨5枚」
「大核…金貨5枚」
「大核すげぇ…」
「大核なんて早々持ち込まれることなんてありませんけどね(笑)国中で年に5個集まれば良い方です」
「貴重すぎる…」
「中核、小核も色や大きさで少しづつ値段が変わるのでその料金表はおおよその目安だと思ってください」
「なるほど。」
「大核なんて持ってないけど…今持ってるのは全部で…小49個中24個です」
「まぁ!こんなに大口の持ち込みなんて珍しい!よほど腕の立つ冒険者さんなんですね!」
「あはは…たまたまですよ。」
「それにもともと使う予定でとっておいたのですが思ったより使わなくて…」
「今度からも使わずに是非ここまで持ってきて来てくださいね!」
「はぁ…」
「では鑑定してまいりますので、よかったらこの街の依頼があちらの壁に貼られているので見てみてください。数が多いので30分ほどお時間をいただきますね」
「色々な依頼でてますね〜」
「そうだな。」
「これ、この貝の討伐依頼って店主さんとかソウ先生が言ってたやつ?」
「金貨3枚かすげぇ大金だな」
「海側の城壁って…陸から攻撃できないのか…」
「でも攻略難易度に比べて報酬が安い気がする」
「魔核は討伐者の物、ただしこの街で強制買い取り。貝の肉殻も討伐者の物…これで報酬上乗せってことか?」
「だから金額が安いのかな」
「高いけど安い。」
「…」
「ん?備考になんか書いてる」
「触手は5本ある」
「…」
「…」
「あれが五本もあんのか…」
「最悪」
「ていうか、あの異常にでかい魚ならこの貝倒せるんじゃないですか?」
「倒せるだろうけどあの魚がいた所と違ってこの辺の海は比較的浅めだから入ってこれないんじゃないか?浅くないと、こんなところに都市なんて築けないだろう」
「たしかに…」
「他に何かないの?安いやつとか」
「漁船に乗って甲板に飛び乗ってくる魔物退治。要、雷が使える魔法使いがいるパーティー」
「基本属性が水土火…あとなんだっけ?雷とかはなかった気がするけど?」
「もっと、例えば私でもできそうなやつ」
「船からの荷運び係、要力持ちの男に限る」
「…」
「おっちゃん行ってら。」
「俺は頭脳派だから無理だ」
(この見た目で理系を気取るのはちょっと…)
「触手貝の処理1匹小銅貨1枚」
「やす(笑)あの強靭さで小銅貨は舐めてるでしょ」
「うーんちょっとなぁ…」
「これ以上安いのは冒険者向けじゃなくて、むしろ労働者向けだな」
「まぁ…船乗りとか街の衛兵で処理できるものは依頼として出さないわな」
「そうですね。なんか村でも似たような話あったっけ…」
「魔核鑑定のお客様〜」
「はーい!」
「小核49個と中核24個、たしかにこのサイズで間違い無いです」
(ほっ…)
「料金の方ですが多少の質のばらつきがあるものの…持ち込み数が多いため相殺してあの料金表通りの金額でさせて頂きたいのですがいかがですか?」
「はい。それで大丈夫です」
「ちなみに小核で言うと、どれが安いんですか?」
「この透明な球が一番安くて銭貨3枚ですね」
「ほうほう」
「逆にこちらの真っ赤な小核は小銅貨5枚ですね」
「ふむふむ」
「一応基準があるのですが…冒険者さんは皆さんそこまで気になされないのであの、大体の金額を覚えていれば取引には問題ない感じですね」
「なるほど…」
「年に一度王都で細かい魔核の値段表が売りに出されるのでその時に購入すればもっと詳しい魔核の値段がわかったりしますよ」
「なるほどなるほど…」
「そんな面倒なことをしなくても国指定の魔核買取所に持っていけば適正な値段で買い取ってもらえますので気にする必要はないと思います」
「それで買取価格ですが、小銅貨147枚、大銅貨120枚なので」
「金貨1枚、銀貨3枚、大銅貨4枚、小銅貨7枚でよろしいですか?」
「はい!大丈夫です!」
「それではこちらの売買契約書にお名前と譲歩する魔核の数と金額の同意にサインをお願いします」
「はい!ありがとうございます!」
(手持ちが銀貨5枚と大銅貨12枚と小銅貨7枚と銭貨5枚だから…)
(全部合わせて金貨1枚と銀貨8枚と大銅貨16枚と小銅貨7枚と銭貨5枚)
「ではこちらがお金と控えになります」
「それではまたの持ち込みを楽しみにしていますのでベルグールに立ち寄った際には是非顔を見せてくださいね〜!」
「また来ますね〜」
「中々小金持ちになったじゃ無いか!」
「いや〜意外と魔核って高値で売れますね〜」ニヤニヤ
「冒険者も少ないって言ってましたしね。その影響でしょうか?」
「ハイリスクハイリターンってやつだな!」
「どうですかね…?命かけて小銅貨10枚の時とかあった気がしますけど…?」
「でも普通に働いても金貨を手にする日なんて一生涯に一度あるかないかだぞ」
「それを嬢ちゃんみたいなのが金貨持ってるなんて羨ましいぜ!」
「せっかくだしそれを元手に何か仕入れでもしたらどうだ?」
「うーんそこらへんは明日までに考えておこうかな」
「それよりも、もう一個寄りたいところがあるんだけど…」
「すいませーん」
「はーい♪いらっしゃいませ〜本日はどのようなご用件でしょうか?」
「乾燥した蛭を買い取って欲しいんですが…買取ってしてますか?」
「はい!ヒルだとそれほど高額ではありませんが買取していますよ〜」
「蛭はどこにありますか?」
「このカバンの中にあるのですが…何か入れ物貰えたりしますか?」
「秤が奥にあるので、こちらへ」
「おぉ…でけぇ…」
「大きいでしょ?みなさんが持ち込んだものを測れるように大きめに作ってる魔導具なんですよ〜」
「こんな魔導具あるんだ…」
「では蛭をこの台の上に全部置いてください」
ドサドサドサドサ…
「はい。これで全部です」
「それでは、測りますよ〜」
ぐぐぐぐ…
「おぉ!針が動いた!」
チーン
(電子レンジかな?)
「720gですね〜」
「うーん多いのかな?少ないのかな?」
「個人での持ち込みからすると多い方ですね」
「冒険者さんは基本的に固定の住居を持たないので、素材を持ち込むことは稀な上に数もすくなかったり、きちんと処理ができてなかったりで中々値段に結びつくことが少ないので、こうしてきちんと両面しっかり乾燥処理してあって、まとまった数持って来てくれる人は少ないですからね〜」
「もしかして錬金術に興味があるかその道のお弟子さんでしょうか?」
「私の先生が少しだけやってたみたいで…簡単な手ほどきだけ教えてもらっているんです」
「なるほど♪じゃあ同業者だったんですね〜」
「同業者というか…冒険者志望というか…」
「錬金術師で冒険者なんてすごい!」
「えへへ〜」
「それでは窓口にもどって計算をしますね」
「はーい」
「乾燥した蛭が720gですので…大銅貨3枚でいかがでしょうか?」
(およよ?話の流れからするともう少し高いかと思ったけど思ってたより安い…)
「魔核取引所みたいに料金表はないのか?」
「申し訳ありません。素材の関係上処理の具合や大きさや希少さと需要で値段が変わるのでその時々のタイミングとしか言いようがありません」
「いい商売だな」
「な!けして不正をしているわけではありません!蛭自体は主に軍で討伐依頼がなされて全て回収し素材も全て使われているのでそこまで希少な素材というわけではないだけです!」
「それでも初めての持ち込みでも処理具合が中々良かったのでこのお値段になっただけです!」
「もっと生乾きとかカビ生えてたら値段なんて付きませんよ…」ブツブツ
「じゃあそれでお願いします」
「かしこまりました。こちらにサインをお願いします」
「ミキさんと言うのですね。」
「はい。そうです!」
「変わったお名前ですね。外国の方ですか?」
「うーんまぁそんなところですね〜」
「あ、じゃあどこそこ行ったりする予定あるんですか!?」
「うーん…将来的は?」
「じゃあじゃあ!この小冊子をプレゼントします!」
「これは?」
「これは錬金術に使われる素材をまとめた小冊子です。ここに記載されている素材をうちに持って来てくれたら高値で買取を約束します!」
「ほうほう」
「見習い錬金術師さんなら処理の仕方も一通りわかるだろうし!レアな素材でいいものを作りたい気持ちは、同じ錬金術師としてよくよくわかるのですが!そこをなんとか!もしよかったら是非!是非!是非に!持ち込んで欲しいと思いまして!」んふー!
(近い近い!結構背高くて美人なんだからそんなに近づかれるとちょっと…)
(あ、あとなんかいい匂いがする…なんかわかんないけど好きになりそう…)
「わかりました。何か珍しいものが取れたら持ってきますね」
「ありがとうございます期待してますミキさん!」
「ところであなたのお名前は?」
「私ロゼといいます!普段はこの国指定錬金術師工房で仕事してるのでいつでも顔だしてください!いやー!同期が全然いなくて心細かったんですよ〜!たとえ離れてても心は通じ合ってますよね!」
(それだとなんか違う意味な気が…)
「わかりました。その時は必ず持ってきますね」
「それじゃあ〜またのご来店お待ちしています〜」
「ミキ君ってタラシの才能あるよな」
「ないですよ!」
「さーて!これでカバンもすからかんになったし!」ぶんぶん!
カチン…
「“ん?”」
「あれ?さっきヒル出すとき逆さまにして出したのに…」
「カバンの金具の金属音じゃないか?」
「んー?」ゴソゴソゴソ…
「あ、」
「まだ魔核持ってたのか…」
「あれ?これなんの魔核?」
「村でとったのは袋の中いれたし…ヤドカリも袋の中入れたし…何かいたっけ?」
「そういえば最初の方か中盤かに噛切虫退治しなかったか?」
「あ〜そういえばソウ先生が撃ち落としたあの二つをカバンの小さいポケットに入れてそのままだったっけ?」
「どうする?まだ交換所行くか?」
「うーんでも2個だしな〜」
「でも中々良い赤色してるし高値で売れるんじゃないか?」
「うーん持って行くのめんどくさいし錬金屋さんで買い取ってくれないかな?」
「いらっしゃいませ〜ってもうレア素材取れたの!?会いたかったぜ…マイハニー…」
(両刃の人かな?)
「いや、素材は取れてないんだけどカバンの中から魔核出てきたから買い取ってくれないかと思っ…「シッ…」
「この話誰かにした?」
「後ろにいた店主さんぐらい」
「魔核は軍か闇市でしか取引されないの知ってるよね?」
「話ぐらいには」
「一応うちでも買い取ってるんだけど…ここでは話せない。別部屋に行こう」
「う、うん…」
(だいぶグレーな取引なのかな?)
「ごめーん店主さんもう一回部屋行くからそこで待ってて〜」
ヒラヒラ
「なんでウチに持ってきてくれたの?」
「え?たまたま?ここに来る前に魔核を軍の買取所で売ってきたんだけど、カバンのポケットに入れてたやつ忘れてて、さっき気づいたから近かったし買い取ってくれないかと思って…」
「公にはできないけど買取はしてるよ」
「お!よかった〜また買取所まで戻るのめんどくさいからここで買い取ってくれたらなって思ってたんだよ〜」
「魔核見せて」
「はい」
「おぉ…」
「どう?そんなに透明じゃないしどちらかといえば良い方だと思うけど?」
「いやいやこれは立派な魔核だよ…ここまで赤いと良い値がつくよ。」
「これ、うちでも買い取れるけど私に売ってくれない?」
「確か錬金術でも使えるんだっけ?いいよ!」
「今ちょっと手持ちがないからあれだけど…二個で大銅貨一枚でどう?」
「おぉ…」
(なにこれ結構高い!1個小銅貨5枚!魔核取引所より高い!正直あのときカウンターで見た一番質のいいやつで3.7とかだったけどあれとあんまり変わらない質だと思うけど…もしかして軍が買取一番安いんだろうか?)
「もちろんそれだけじゃない!この軽量化のポーションもつけちゃうよ!」
「それは?」
「これは重いもの運ぶ時にそのものに振りかけると重さが半分ぐらいになる優れもの!」
「ほう!これって例えば荷馬車の荷物にかけても効果あるの?」
「あるけど…そんなことしなくても荷馬車が運んでくれるじゃん」
「まぁそうなんだけど…」
「でもできるよ。ただし!振りかけたものが雨に濡れたり半月以上経つと効果が切れるからそこんとこ気をつけてね〜」
「これロゼさんが作ったの?」
「そそ!ついこの前作ったばっかりだから安心してね!」
「いいの?こんなに簡単にあげちゃっても?」
「いいよいいよ〜それでこんなに良い質の魔核が2個も手に入るんだもん〜」スリスリ
「あはは〜そんなに喜んでくれるなら魔核取引持って行かずにここに売りにくればよかったね」
「そうしてくれると嬉しいんだけどあんまり多すぎても買取できないし、目つけられると厄介だからね。」
「でも今度から持ってきてくれるなら喜んで買うよ!私戦闘はできないから魔核なんてたっか〜い闇市で質の悪いやつを買うかぐらいでしか手に入れられないからさ〜すごい助かるよ〜」
「わかった。今度いつこれるかわからないけど来た時は最初にロゼさんの所に寄るね」
「ありがとう〜マイハニー〜」抱き
(なんて良い胸をしていらっしゃるんだ…)ガシッ!
「お帰り、どうだった?」
「無事買取してくれたよ〜」
「そうかよかったな。じゃあ宿帰るか」
「おー」
「そろそろ宿に戻りたいので離してください」
「いやだ!行かないでくれ!一生の頼みだ!」
「一生の頼みだ!って僕はあなたの名前も知らないんですけど」
「私の名前は!」
「興味ないので離してください」
「お願いです行かないで〜(泣)」
「お…おい…話ぐらい聞いてやったらどうだ?泣いてるぞ」
「どうせ募集に出てる御者を偉い人から頼まれて報酬にホイホイ釣られた商人が募集出してみるものの誰も来ずいよいよ明日がその日になって昨日都合よく僕を見たとかでしょう」
「その通り!いや…報酬にホイホイ釣られたわけではないぞ!この偉大なる私が…あ!待って!行かないで!」
「はー…でなんですか?」
「実はね…明日とある高貴な方がこの都市に来るんだけど…その方に街を案内する御者がいなくてな…」
「そんなの街の専用御者に頼めば良いじゃないですか」
「それが…みんなやりたがらなくてな…特に商会を出たところの混み合うあの場所が見たいと言っておられてな」
「高貴な人ってことは馬車も結構大きいんじゃないですか?」
「そうなんだよ!あんな大きな馬車あの場所でスイスイ操れる御者なんてそういない!」
「ということですのお断りします」
「まってぇ!」
「なにこれ?」
「報酬は弾む!だから引き受けて欲しい!」
「報酬はいらないので引き受けません」
「そこをなんとか!」
「そもそもなんで他の人は引き受けないんですか?もしかしてその高貴な人とやらが機嫌を損ねたら御者は死刑とかじゃないんですか?」
「…」
「そこをなんとか!」
「帰ります!」
「引き受けるというまで返しません!」
「強引ですね」
「明日の街の案内は何時からですか?」
「朝10時ぐらいから」
「じゃあその時間まで僕はここで首を縦に振ることはないでしょう」
「それでは私が死んでしまいますううううう!」
「元々報酬につられて返事したのはあなたじゃないですか」
「そうなんです!私が悪いんです!だからどうかこの哀れで惨めな子羊をお護りください!」
(このなりで子羊は無理だろう…)
(どの姿を見て子羊などと…)
「御者の報酬っていくらなんだ?」
「今は一日中案内するという内容で金貨3枚にしてるんだが…誰もこないんだよぉぉぉぉぉぉぉ」
「そりゃミスれば命が飛ぶなりゃいくら金積まれても誰も受けないわな」
「もうリーフどのしかいないのです!」
「私は今日まであの場所で毎日腕のいい御者を見て来ましたが…あなた以上の腕前はいません!」
「あれはうちの小さい吹けば飛ぶような馬車だったのでできた芸当です」
「高貴な方の大きい馬車ではそもそもこの街には案内できませんよ」
「馬車が小さければ良いのですか…?」
「小さいにしても私が持ってたあのサイズですね」
「あのサイズなら慣れてるのでいけるとは思いますが」
「やってくださる!?引き受けてくださると!?」
「言ってないです」
「ぞんなああああああああ!(泣)」
(リーフってSだったのか?)
「とにかく!ミスしたら首が飛ぶ仕事なんていくらつまれても無理です。他に当たってください」
「もうわかった!わかった!」
「わかりましたか!」ニッコリ
「それじゃあ僕はこれで」
「…」
「手離してください」
「わかりましたッ!」
「それじゃあ…」
「手離してください」
「あなたの要求を飲みます!」
「僕はなにも要求していませんが?」
「荷馬車をあの時見かけたサイズでお作りします!」
「もしミスしてもあなたが死ぬことはありません!私の首を出します!」
「これで!これでどうか!どうか受けてください!」
「…」
「死ぬことがないなら受けてやったらどうだ?」
「正直いい話だと思うぞ」
「…」
「どうか…うっ…うっ…(泣)」
「はー…」
「わかりました。ではそれで引き受けましょう」
「本当に!?本当に!?本当ですね!?やっぱ無しとかダメですよ!?」
「えぇ…死ななくていいならいいお話ですし…」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます!神さま!」
「さっそく馬車の採寸をしたいのですが…馬車をおとめになられている宿の名前は?」
「確か大魚亭とかなんとか」
「おい!だれか!誰かいないか!」
「はい旦那さま」
「こちらのリーフ殿が御者を引き受けてくれた!リーフ殿の使う荷馬車が大魚亭に停めてあるからサイズを測って明日の馬車を作る注文をしてこい!」
「かしこまりました。」
「あ、慣らし運転をしたいので日の出までにお願いします」
「馬は私の馬を使います」
「えぇ!?あの老馬を!?」
「首がなくなってもいいんですか?」
「いえいえ!とんでもない!リーフ殿がおっしゃるとおりに!」
「今すぐ作らせろ!」
「はっ!」
「リーフ殿はこの街の案内を見たことはありますかな?」
「自分で何箇所か行ったぐらいですね」
「それでは今から私がこの街イチオシを紹介しますので私の馬車にお乗りください…」
「わかりました」
「お連れの方もご一緒にどうぞ…」
「あぁ…」
「申し遅れました。私ビローフと申します以後お見知り置きを…」
「ここからスタートしまして…」
「ただいまー」
「おう!お帰り、えらく遅かったな?」
「まぁちょっとありまして…明日一日中御者の仕事が入りましたので日中戻れません」
「えー…最後の1日はリーフさんと過ごそうかと思ってたのに〜」
「ごめんねミキさん」ニコッ
「笑顔が眩しい…」
「ソウ先生は?温泉?」
「ですね」
「明日なにしようかな〜」
「ミキちゃんの仕入れ行こうぜ仕入れ!」
「それしかないよね。討伐依頼はどれもレベルが高くて受けれそうにないし…」




