貿易都市ベルグール 村の仕入れと革売り
「ミキさん起きてください。」
「ごはん?」
「ご飯食べますよ」
「ご飯食べる…」
「うーん…」
「まだみんな寝てるじゃん…」
「今日はミキさんは店主さんと。僕はソウさんと行動する日ですよ。」
「顔洗いに行きましょう」
「おはよう〜」
「おはよう」
「よぉ!眠そうだな!」
「…」
「このツヤツヤした人誰?おっちゃんの愛人?」
「ソウだよ」
「なんだ愛人か」
「だからソウ!だよ」
「…?」
「で?今日は店主さんと仕入れだっけ?」
「そうだ。リーフはソウとだな」
「今日一日よろしくお願いします」
「一日じゃなくて半日もないけどな。すぐ終わる」
「…」
「リーフさんダメだよ?君は可愛いんだからそんなむさ苦しいホモの相手しちゃ…それは店主さんの愛人なん…」ゴンッ
「ってー!何するんだよ!」
「そろそろ怒って手が出るぞ」
「もうでてるじゃん…」スリスリ
「コレ、お前の弓の先生だぞ」
「えぇ!?このツヤツヤした生き物が!?」
「ひどいなぁ…ちょっとリフレッシュしただけでそこまで言われるとか(笑)」
「そういえば昨日温泉行ったんでしたね。だからそんなに肌がツヤツヤなんですね」
「温泉じゃないけどツヤツヤになったのは確かだ」
「という事で飯食ったら解散だ」
「ういー」
「で?どこ行くの?」
「うーん買わなきゃいけないものが多いからな、一通りのものと品質が揃ってる商会に足を運ぶつもりだ」
「あの辺の朝市みたいな感じでやってる市じゃダメなの?」
「村で頼まれた小道具程度に一つ一つ見て交渉してなんてしてたらいくら時間があっても足らない。」
「もちろん安く仕入れるには市が一番いいが…今は時間が惜しい」
「三日しかないもんね」
「だから少し高くとも商会に行く」
「ふーん」
「こんにちわ、日用品を買いたいんだが…それも沢山」
「いらっしゃいませ。購入リストなどはございますか。」
「これだ。」
「あちらで少々お待ちください」
「なんか市役所みたい」
「まぁ…効率化を目指したらこれが一番なんだろう」
「お待たせしました。係りの者が案内するのでついて行ってください。こちらのリストに価格を載せておきました」
「ありがとよ」
「ではご案内させていただきます」
……………………………
………………
…………
………
…
「まぁ村人の要望は概ね俺の予想通りだな」
「特に交渉もしないんだね」
「品質の割に値段が良いからな。さほど交渉する必要がない。それにまとめての交渉を後ほどする。」
「では次に武具ですが…小型の弓2と鏃が300個、丈夫な槍が4本。こちらでよろし良いですか?」
「どれどれ?」
「私も触って良い?」
「どうぞどうぞ」
「こちらの槍は先端はシンプルな構造ですが強度は保証します」
「クナイに棒をつけた感じか〜棒が折れてもそのまま使えそうな長さしてますね」
「えぇ。ですが槍用の穂先なのでやはり槍として使うのが一番良いかと思います。もし柄が折れても再利用しやすいような構造になっているのも良い点だと思います」
「うむむむ…たしかに…よく見ると柄とつなぐところに返しが付いてて突き刺した後引き抜くときも刃だけに力が加わらないようにされてるし…なんか良さそう」
「今までは棒を差し込んで接着剤で固めていたのですが、最近は返しをつけて抜き差ししやすいようにされているんですよ」
「へー…さすがは商会さん…」
「恐れ入ります」
「弓はありますか?」
「弓はこちらです」
「もしかしてあなたは狩人かアーチャーですか?」
「そうなんですよ〜」
「ならこの弓の良さがわかると思います」
「うーん。新品…」
「もちろん未使用品でございます」
「ふんふん…」
「…」
「ものは良さそうだ。ポーション瓶を見せてもらえるか?」
「えぇこちらにあります」
「おほー(笑)瓶がいっぱいある!」
「奥のものは中身が入っているので空の物はここから2mほどまでの物になります」
「それでも結構あるな〜」
「村長は何本欲しいって言ってるの?」
「買えるだけ」
「おぉぅ…」
(これ私の聖水用なんだろうけど何百本搾り取られるのかな…)
「ものはわかった」
「では商談に入りましょう。こちらへ」
「この場でしないの?」
「数が多いからな。そういう場合は茶でも飲みながらゆっくりとだ」
「へーお茶が出るなんてリッチな…」
「*商売*だからな」
「ふーん」
「どうぞ」コトッ…
「ありがとうございます…」
(茶菓子までついてる…すげぇ…)
「では商談といきましょうか…」
「初めてだから言わなかったけど」
「ん?」
「お菓子食うなとは言わないが食うな」
「えーなんで?出されたんだから食うじゃん?めったに食べれないんだし」
「女性は少々しか食べないもんだ。貧乏人だと思われるだろうが」
「ぬぅ…」
「でも良いこともあったぞ」
「ミキ君が腹一杯になるまでお菓子を食べまくろうとするから相手が焦ってこっちの要求を素直に飲んだ事だ」
「つまり?」
「つまり交渉してる金額よりもお菓子代の方が高くついたって事だ(笑)」
「途中からいきなり相手の反応がスムーズになったろ?」
「あぁ…そういえば、なんかそれまでうなってたり考えてるフリしてたりしてたね」
「ミキ君がお菓子を食い過ぎるから時間の余裕がなくなってきたんだろう(笑)」
「いやいや、だって日本人としては出されたものは全部食べる事はマナーだから…」
「ああいうのはそもそも手をつけないか食べても少々がマナーだ」
「そんなマナー知らねー」
「でもそれが逆に結果オーライになったわけだから良いじゃないか」
「安く買えて、ミキ君は珍しいお菓子をたらふく食べられた」
「ならいいじゃん!」
「でも次行くときはお菓子を出してもらえないかもな(笑)」
「まぁ…次があるかどうかもわかんないし食える時に食っとけ!」
「将来大物になるよ…(笑)」
「ソウさん、どこに向かうんでしたっけ?」
「北に向かう商船の商会だ、まぁ北の国の支店っていう感じかな」
「へー…」
「これから梅雨になるのは変わらんが、春から梅雨前に取れた皮や物資を買い集めているから年中ぼちぼち取れるこの国で売るより高値で買い取ってくれるのさ」
カキカキ…
「何してるんですか?」
「ん?木板に出身地と名前と持ち込んだ物を書いているんだよ」
「へー!」
「この商会には昔からちょくちょく来るから俺の名前や持って来る物がおおよそデータとして残っているんだろう」
「すいませんこれお願いします。」
「三番ゲートに並んで待っててね」
「はいよ」
「入り口はゲートになってて奥でお金と商品の売買を行うんだ」
「効率がいいですね〜」
「商売はスピードが命らしいからな。ただ…出た先は港なんだが…人や荷馬車で大混雑してるけどな(笑)」
「ゆっくり海見れるといいな〜」
「お待たせしました。ソウ様。去年も革を売りにこられてましたよね?お久しぶりです。あのとき取引させていただいた者です」ニコニコ
「半年前なのによく覚えてるな。お久しぶりです」ニコニコ
「本日も革を持ち込みいただいたようでありがとうございます」
「あぁ、最近調子が良くてな!以前お世話になったこともあり今回もこちらへ持ち込みさせていただきました」
「ありがとうございます。」
「去年お売りしていただいた革はなめしが上手でとても人気が高い物でした。」
「それは良かった。今回は去年の比じゃない量がありますよ〜」ニコニコ
「それは素晴らしい!見せてもらってもいいですか?」
「どうぞどうぞ。手にとってこの柔らかい肌触りを感じてください」
「おぉ…フカフカですね…」
「そうでしょうそうでしょう。近年稀に見る良い出来で服屋に並べてもなかなか良い値段が付くと思いますよ」
「うん。この革から作られる防寒具はきっと高級品になることでしょう。この狐の革も金色で素晴らしい」
「そうでしょうそうでしょう。他にも鹿、狸、兎、穴熊、栗鼠、色々あるので触ってみてください!」
「おい!仕分けを頼む」
「へい」
……………………………
…………………
………
…
「ふむふむ…それでは…まとめて…」
「革って高値で売れるんですね…」
「ん?あの人も言ってただろう?質がいいからさ。それにここに来るのも3回目にもなるしな。次も持ち込んでもらいたい想いや質の良さやまとまった数とかで値段が上下するからな」
「少量持ち込んでもこんなに高値で取ってくれないぞ」
「そうだったんですね。出発前に「ありったけ持ってきてた」と言ってた理由がわかりました」
「そういうことだ。さて…そろそろ出口で戦争だぞ…」
「はい。気を引き締めてまいります…!」
「思ったりも大変でした…」
「ご苦労様、でも他の馬車が足を止めてる中でもスイスイと馬を操作して進めるリーフの腕前に驚いたよ!」
「足が止まってる馬車に乗った金持ちそうなオヤジどもがあの戦場の中でも滞りなく進められるリーフの腕を見てあっけにとられていたぞ?ああいうところで乗りこなしてた過去でもあるのか?(笑)」
「そんなまさか(笑)今回の旅まで村から出たこともありませんでしたよ?昔からこの荷台とこの馬に長く接して慣れているだけですよ(笑)」
「いやいや、正直あそこで午前中一杯時間を食うと思ってたが意外と時間ができたことだしこのまま港をドライブお願いしてもいいか?」
「はい!喜んで」
「はー潮風が気持ちいいな」
「そうですね〜海もキラキラして綺麗ですね〜」
「そこのかっこいいお兄さんたち!」
「お?逆ナンか?俺達も港町に来てモテ期が来たか…」
「お昼ご飯食べた?良かったらうちの魚の塩焼きと野菜炒めとビールかブドウジュース食べませんか!?」ニコニコ
「売り子のお姉さんだったようですね」
「うーん逆ナンだと思ったのに…じゃあ大きめの塩焼き2本とブドウジュース2つ」
「まいどあり!」
「小さい酒樽を背中に背負って首から番重さげてお客を探すなんてタフですね〜」
「でも商会を出た先の戦争地帯ではあのスタイルが一番売りやすくてこの時間は需要がありそうだな」
「そう言われてみればそうですね(笑)」
「はい、リーフの分だ」
「え?いいんですか?」
「良いの良いの。ここまでリーフがいなければ運べなかったわけだし、遠慮すんな」
「わぁ、いただきます!」
「熱々でおいしいです!」
「出来立てだったんだろうか?うまいな。塩が効いてる」
「このブドウジュースも美味しいですね!でもなんか味がブドウだけじゃない気がします」
「他の果物と混ぜてるな。水と混ぜないだけマシだが…これはブドウジュースじゃなくてミックスジュースだと思うがな」
「ブドウ…足りなかったんですかね?(笑)」
「まぁこれはこれで美味しいから良いか」
キュウ〜
キュウ〜
「カモメの鳴き声なんて港町ならではって感じですね〜」
「あぁ〜俺も仕事せずにここでのんびり暮らしたいな〜」
「あはは…そうですねぇ〜」
「でもたまにこうするぐらいがいいのかもしれませんよ〜」
「そうかもなぁ〜」
「そろそろ夕方だし帰るか」
「そうですね〜のんびりできましたしね」
「そういえば、リーフ、はい。」
「なんですかこれ?」
「村からとここまでの御者代だ。一般的な相場に比べれば安いが受け取ってくれ」
「そんな!いいですよ!」
「まぁまぁ、遠慮するなって。さっきの革の売り上げ知ってるだろ?今は俺は小金持ちなんだ。世話になってたんだし俺が気が変わらないうちにもらっとけ」
「あぁ…ありがとうございます!」
「宿までの運転頼むぞ(笑)」
「はい!」
「ただいまー」
「あぁ…疲れた…」バタッ…
「大広間の入り口で寝っ転がるな。ここはお前の家じゃない。他の客に迷惑だろうが」
「へーい…」ゴロゴロ
「女の子のくせに行儀が悪い!」
「はー」
「いやだって疲れたし〜」
「まったくこれだからお嬢様は…」
「お嬢様の命令だ、お菓子を持って来るがよい」
「…」
「今日のお前の晩飯、黒油虫のお肉な」
「コックローチはやめて!(泣)」
「ただいま〜おや?ミキさん早かったですね…。店主さん仕入れは終わったんですか?」
「あぁ、夕方になったら商品を持って使いのものが来る手はずになってる」
「はー疲れた〜」
「どんだけ疲れたんだよ…」
「少し早いが飯食うぞ〜」
「ぉー」
「今日は何食べようかな〜」
「どうしたの?リーフさんニコニコして」
「あ、わかっちゃいました?実はさっきソウさんから革を運んだ御者代を頂きまして…これで弟や妹達に美味しいもの食べさせてあげられるなって思うと嬉しくて!」
「よかったね〜」
「はい!」
(本当に嬉しそうだなぁ〜今度から肉取れたら持って行ってあげよう…)
「俺はキンキンに冷えたビールと小魚のツマミィ!」
「今日は自分で歩いてくださいね」
「わーってるって!」
「はいこれ。」
「なにこれ?」
「今日注文した商品の数を記載した紙だ」
「みればわかるけど…?」
「後で商品持って来るはずだから商品漏れがないかチェックしておいてくれ」
「えぇ〜なんで私が〜「お待たせしました。キンキンに冷えたビールと小魚のツマミです」
「おほー(笑)いただきます!」ゴクゴクゴク!
「ぷはぁ!最高だぜぇ!」
「…」
「使いの方が来られてますが…」
「あ、今行きますこの子が。」
「商品漏れが無いようにな〜明日俺がチェックするからその時漏れてたら自腹だぞ〜」ヒック…
「…」
「商品の確認をお願いします」
「わかりました」
……………………………
……………
………
…
「ただいまー、全部積んで来たよ」
「おかえりなさい。先にいただいてますよ」
「はー…てか…結構ギリギリだったよ〜」
「村人と村長さんの荷物ですか?」
「そうそう〜」
「もう小さい箱ぐらいしか載らないよ〜」
「食料用の箱が載りさえすれば一応任務完了ですしいいんじゃないですか?」
「馬君が大丈夫かな?っておもってさ…荷物積んだ後馬君が」
「この荷物俺が村まで運ぶんですよね…?ミキさん…?」
「みたいな顔してこっち見てたから…なんかいたたまれなくなって…」
「あの子結構感情を目で訴えて来ますからね〜」
「言葉は通じないけど何が言いたいか、わかったから…何か軽くしてあげる方法あれば良いんですけどね」
「そんな方法あるかな〜?まいいや。」
「しっかりした丈夫な子なのでなんだかんだ言って大丈夫ですよ」
「リーフさんが言うなら間違いない。」
「ソウ先生は?」
「夕飯食べてまた出て行きましたよ」
「独身貴族か。」
「私たちも独身のはずなんだけどねぇ〜」
「貴族ではなく平民ですね」
「独身平民?…超普通」
「あはは、はいメニューです」
「ありがとう。」
「今日は何食べようかな〜」




