商団護衛任務9日目 ルフ村
「おはよう」
「おはようございます」
「おはよう…」
「さぁ!今日も早く行きましょう!」
「まだ朝ごはんすら食べてないのにリーフさん元気ですね」
「よほどあの獣が嬉しいんじゃないか?まぁ俺も分からなくもないし乗りたいがな。」
「俺も」
(男性陣の人気を独り占めするおはぎすごい…)
「今日の昼ぐらいには村に着く感じだが…」
「今日は出発する時間が早いから午前中には着くかもな」
「そろそろ肉食べたい」
「ヨーク村は食料が高かったからあまり仕入れしなかったが次の村でも安くはないと思う」
「…」
「ミキ君の獣が何かとってきてくれると道中楽なんだがな」
「ハッ…最初の目的はそれだった…!ということで、あれは解体します」
「ダメです!」
「反対だ!」
「あれを解体するぐらいならミキ君が一人で行けば良い!ワン太は置いていってね」
(何この空気…)
という事で、今日も御者です
おはぎ改はすごい人気です
「ミキ君〜これ3人乗りにしてくれない?」
「どれだけ乗りたいんですか」
「だって楽だし」
「…」
「ミキちゃんは馬車乗ってるから疲れないけどずっと歩きの俺は疲れてるんだよ〜」
「…」
「交換条件があります」
「お肉は”現地調達“の制約がありますが、私に食事の時お肉をください」
「許可する」
(どれだけ乗りたいんだこのおっさんたち…)
「それと一人分造成するのに私の魔力3割使うので二人分だと6割消費してしまいますが…」
「かまわん。やれ。」
(私の魔力なんだけど…他人事だと思って…)
「じゃあ止まって少し待ってください…」
(重い…)
「いやー快適だわー!」
「最高ですよね!風が気持ちいいです!」
「はー歩かなくても進んでくれるとか俺はついに大商人になった気分だぜ…」
(おっさん2人で100キロは超えてるでしょ…)
(思ったより魔力を使うけど…昨日はリーフさん一人で軽かったからか…)
(これは…)
「ぜぇ…ぜぇ…」
「大丈夫か?」
「ちょっときつい…」
「生理か?」
(違うよ!)
「君たちが重くて思ったより魔力消費が大きいんです」
「このままだと村に着くあたりで魔力切れになります」
「なんだ問題ないじゃないか」
「何も問題ないな」
「頑張ってください!ミキさん!」
(こいつら…どんだけ好きなんだ)
「づいだぁ…」
「はー!楽ちんだった!お疲れー!じゃあ宿行ってくっから!」
「御者代わりますよ」
「私も宿まで運んでください…」
「え?動かなくなった陸戦型魔導機獣を運ぶので歩いてください!」
(辛辣!)
「ここまで楽させてくれたからな…俺がおぶっていこう…」
(あぁ…ソウ先生がイケメンに見える…)
「お願います」
「任された」
(うーんミキちゃんは軽いな…そしてこの背中に当たるささやかな膨らみとこの感触…)
(感触を確かめながらゆっくり行こう)
(うぐぐぐ…魔力が足りない…)
「はぁ…ありがとうございました…」
「何、いいってことよ」
(なんで後ろ向いてるんだろう)
「私は少し寝ますので夕飯の時に起こしてください」
「あぁ、わかった」bグッ
スヤァ…
「ここの商店はどこだい?」
「村の中央に行けばわかる」
「サンキュー」
「保存食が欲しいんだが置いてあるかい?」
「売れるような立派なもんは無いな」
「なんだ〜景気でも悪いのか?」
「景気が悪いのは昔からだが、最近村の近くの森に黒油虫が住み着いてからその辺のもんを食い散らかすもんでこっちも食料が足りて無いんだよ」
「それに最近行商人も来ないからこの有様でな」
「誰かが討伐してくれればそれを得る?ことはできるが…掲示板に幾つか討伐依頼があるからその裏の村長の家に持って行けば依頼を受けられるぜ」
「俺は食料品の補充に来たんだが…まぁないものは仕方ないか…受けるか受けないかはうちのリーダー次第だが見てみるだけ見てみるよ」
「できれば討伐よろしく頼むぞ。」
「食料が手に入らないならここに長居する必要はないな…」
「ミキちゃんになんていうか…」
「ミキさん、ご飯食べますよ」
「…」
「ぅ〜ぃ」
ガタッ
「なにこれ?」
「好きなもんを取って食べてくれ」
「いや、好きなものって…どう見てもエゲツないやつと野菜が炒められたやつと一人1つずつの安酒しか私の目には見えないんだけど?」
「あー…それを今から説明するからつまみながら聞いてくれ」
(つまめる物が無いって言ってるんだけど…?)
「まず単刀直入に言うとこの村で食料調達ができなかった」
「え?マジで?」
「あぁ、なんでも食料源の森に黒油虫が大量に住み着いてそのせいで食えるものがないらしい」
「…」
「掲示板も見てきたが討伐依頼は多々出てた。正直うちの村よりも多い。おそらく最近冒険者も来て無いかこの村の依頼を受けてないようだ」
「最悪」
「掲示板を見て来たがミキちゃんの食料になりそうなモンスター類はあんまり居ないな。せいぜい何かの錬金素材になりそうな奴ばっかりだ」
「…」
「つまり…」
「つまり、この村も俺たちも食糧難ということだ」
「村が早々に滅びることはないにしろこのまま放置するとなくなる可能性はあるな」
「…」
「私に黒油虫退治しろと?」
「いや、正直報酬もしょぼかったしそこまでしてやる義理はないが…帰りはこの村によらず通り過ぎて野営とかしないと食糧を奪われかねないひっぱくさはあるな」
「…」
「逆に酷な話だけど都市で仕入れてここで売るとかならできるんじゃないの?」
「それもできるが、運搬する為の荷馬車に載せれるのがうちの村の依頼で限界なんだ。」
「それとこれから先は最後の難所とも言える地味に長い道が続くからあまり大荷物だと逆に狙われなかねない」
「…」
「難しい話ですね」
「知ったことではないと知らんぷりするのもよし」
「村に帰るのが遅くなるがここで討伐してもよし」
「決めるのはこの商団の護衛を務めるリーダーのミキ君次第だ」
「…」
「肉が食べたい」
「話聞いてたか?」
「詰んだ。もう無理ぽ」ごくごく
「酒うめー」
「でもお腹は満たされね〜」
「実際問題どうしましょうか?」
「討伐しても食糧になりにくいんじゃなぁ…」
「まさかここまで食糧難とは思わなかったよ。」
「商人が来てないらしいですし…討伐をサボってたわけではないんでしょうが…住み着かれるとはついてないですね」
「海沿いを進めば食えるモンスターはいるにはいるが…」
「居るならもう村とか無視して行けばいいじゃん」
「居るには居るが倒せればな?」
「私とソウ先生でも倒せないの?」
「うーん難しいと思うぞ」
「なんだよ…魚介類期待してたのに…」
「でも食べ物ないと分かるとマジきつい…お腹が…」
「それなんだよな」
「くぅ…(涙)」
「…」
「とりあえず今日は寝て明日考えよう」
ドサッ…
「ほら、これ残りみんなの保存食だ。ほとんど肉なんてないけどどれも虫は入ってないからミキちゃんが食べるといい」
「え?いいの?」泣き顔
「あぁ、いいさ、空腹は誰だって辛い。誰だって食べられないものだってある」
「明日のことは明日考えよう、今日はお腹いっぱい食べて明日に備えてゆっくり寝よう」
「ミキさんは今日頑張ったら、みんなで話し合って決めたんです。僕たちはこの注文したやつ食べるので遠慮なく食べてください」
「あぁ、俺たちは食いもんあるから気にせず食え」
「うぅ…(泣)ありがどう…」はむ…
「すいませーん!酒お代わりー!」
「あいよー」




