商団護衛任務3日目
「さて…今日の難問だが…ベタではあるが静かに通って見つかったらダッシュ。矢で牽制しつつ店主とリーフとワン太は駆け抜ける」
「ん?え?私は?」
「ミキちゃんがこの商隊の殿だ」
「女の子を幼虫から一番近いところに配置するなんてどこの国のレディファーストだよ」
「まぁ…これが一番生存確率が高いんだよ」
「話がまとまったところで行こう。奴らも朝なら寝ているかもしれないからな」
ゴロゴロゴロゴロ…
ゴクッ…
ズズズズッ…
ズズズズッ…
「きた!来たって!逃げろぉー!」
「“無言のダッシュ”」
(うわああああなんで私が本当に一番後ろなんだよおおおおお)
「お?このまま逃げられそうかな?」
「って…いやああああああ!!!奴らも速度あげてきてるううううう」
「黙って走れええええ」
「ソウ先生こそ早く牽制してててええええええ」
「後ろ向いた拍子にこけたらどうすんだ!」
(こんの…ピー男…!話が違う!)
「このままじゃ無理!まだ距離があるうちに…」
「いくよ!おはぎ!弌の型…たけのこ!」
”ズッ…ドドドドドドド…“
「”ギギギギッィィィィィ!“」
「そしてすかさずダッシュ!」
(地味だけどなかなか有能な技だ!さすがおはぎ!)
(*´ー`*)
(ま、イメージして魔力操作してるの私なんだけど…それは言わぬが花…)
(後はこれを繰り返せば逃げきれるでしょ…)チラッ…
「え?」
「フォレストワーム達が鳥に食べられてるけど…あれムクドリじゃない?」
「おーい!ミキ君!何やってるんだ逃げるぞ!あの鳥の餌になりたいのか!?」
「!?」
「あれ人間を食うの?…うわああああ」
「はぁ…はぁ…」
「も…もう…ダメ…」
「ハァハァ…」
「こんなに走ったのは…ガキの頃以来だ…」
「皆さん水ですどうぞ」
「あぁありがとよ…」
「ところであの鳥…ムクドリだと思うんだけど…人間食うの?」
「あぁ…というかああいう大型の鳥は腹が減ってるときなんかは自分より小さい獲物は見境なく襲ってくるな」
「この世界の野生はタチが悪すぎる…私は親指姫の世界か何かに迷い込んでしまったのか?」
「ムクドリにとってフォレストワームは最高の餌だからあの辺一体が縄張りなんだが…フォレストワームが姿を見せないと人間を襲って食ってるって話だ」
「ミキ君がフォレストワームを倒したとき、やつらの悲鳴でムクドリが文字通り飛んで来たんだろう」
「好物なら私襲われなかったんじゃない?」
「そうとも言い切れないから逃げるように言ったんだ」
「…」
「でも何はともあれミキさんのおかげで無事に乗り切れましたね」
「ほんとですよ!矢で牽制するとか言いながら作戦無視して速攻で逃げるようなヘタレ男だとは思いませんでした」
「次はソウ先生が囮になりつつ死んでください」
「ミキちゃん言葉間違えてるよ!テヘッ☆」
(イラッ…)
「まぁまぁ…馬達も休憩させないといけませんしここで軽くお昼にしませんか?」
「走ることを予想して朝は軽めにしたし、また歩くことを考えると持たないかもしれませんからね」
「ちょうどそばに小さい湖もありますしそこまで行ってから昼食にしましょう)
「そうだな。普段は昼食う習慣がないが…流石に今の状態で夕方まで歩けと言われる方がキツイからな」
「…」
「いやぁ!一仕事の後の肉はうまいな!」
「うーん俺の作る燻製も最高だぜ…」
「あははは…みなさんミキさんが可哀想ですよ…」
「…次言ったら君たちの心臓を狙ってうちのおはぎが暴発してうっかり肉塊にしかねないかもしれない」ボソッ
「…」
「…」
「…」
(“本気の目だ…”)
こうして静かな昼食は終わりを迎え、一行は歩き出す…
「後どんくらいですか〜?」
「さっき休憩したところの湖がちょうど中間地点だからもう…二日歩けば次のに着くぞ」
「隣村まで遠すぎ」
「こんなもんだぞ?むしろ普通〜近いぐらいだ」
「この世界は馬鹿げてる」
「だけど、これから先は今までほど危険ではないぞ」
「何故ですか?」
「しってるかもしれないが次に向かう村の近くの山にヒドラがいるから今までのような奴はこれから先の道には居ないんだよ」
(なんでそうぽんぽんフラグ立てるんだよ…!)
(お願いします何も起きないでください…)
「そもそもあの森を抜ければ後はまったり歩いて行くだけですからね。いるとしても小規模なゴブリン族でしょうか?」
(ついに人型出て来ちゃったよ…)
「だが小規模といっても15匹前後のグループじゃなかったか?」
「冒険者パーティーならともかくこのメンツじゃかなりきついぞ」
(お願いしますから私の予想する弱いゴブリン族でいてくださいお願いしますから…)
「まぁ…今の時期はモンスターも人間も食料を貯めておきたい時期だからどうだろうな。ここから先は青々とした平原が続くし道沿いは食料になりそうなものはないしな」
「よほど飢えてない限り襲っては来ないだろう」
(あぁ…もうダメ、ここまでフラグを建築されるともうだめだ…諦めて心を引き締めて取り掛かろう)
「ミキさんどうしたました?」
「いえ…なんか嫌な予感がするので…特にそのゴブリンの…」
「ハハハ、心配性だなぁ〜大丈夫だよ!」
(よくある展開ならこの店主さんが真っ先に死ぬな…そんな気がする)
この日何事もなく夜を迎え、いつも通りの野営と火の番をして眠りについた」




