吸血蛭討伐依頼
礼拝堂にて
「はぁ〜…梅雨の時期に雨に濡れながらモンスターの死骸を運ぶ仕事とか嫌すぎる…」
(がんば♪がんば♪)
「てかよく考えればなんで私がここまでしなきゃ行けないんだ。でももう小屋作っちゃったしなぁ…」
「快く人貸してくれると思ったけど引くに引けなくてこんな事態になるとは…」
「あ“ー!もー!諦めよう!流石に誰かから荷車借りよう。」
「とりあえず梅雨が来るまでは蟻を討伐できるぐらいの力をつける必要があるのか…」
「掲示板でも見てくるか〜」
「ん〜何々〜」
「お!ミキねーちゃんなにしてんのー?」
「んん?やぁ!次の討伐依頼を何にするか選んでて(笑)」
「ワン太ちゃんだして?」
「わかった。ワン太おいで〜」
「わふ。」
「今日は女の子の私達がワン太ちゃん借りるから!」
「おう!今俺たちは討伐依頼見るのに忙しいからな!しょーがねーから貸してやるよ!」
「って聞いてないし…」
「キャッキャ」
「で何の討伐すんの?」
「弱そうな奴…」
「えぇー!もっと幻獣グリフォンとか雷帝とかかっこいいのねーのかよ!」
「そんなのしたら死ぬわ!」
「ていうかこの村周辺にそんな強そうなのいるわけないじゃん」
「でも確かヒュドラならいるよね?」
「え?いんの?この村の近くにヒュドラいんの?あの多頭竜で毒持ってる奴!?」
「う、うん。確か川沿いのずっと北の山の洞窟の中にいるとかなんとか…」
「近いけどたどり着くまでに5日はかかるぞ。」
「近いけどそんなに近くないじゃんよかったー」
「どちらかといえばとなり村とかの方が近いよな?」
「そうなんだ。いやいや流石に勝てる気がしないよ。」
「確か兵隊さんの一個…なんたらでも勝てなかったとか聞いたっけ?」
「それ私一人がどうこうできる奴じゃないじゃん。」
「掲示板にも一応貼ってあるだけで誰も本気にしてないしね。」
「他のやつ見て見よーぜ」
「コッルァァァァ!子供が討伐依頼なんて見てるんじゃねー!」
「見てねーし!ミキねーちゃん見てるだけだし!」
(うらやまけしからん…)
「討伐依頼を見れるのは教会の先生やソウ、ミキちゃんみたいにある程度の実力がついた奴だけだ!子供が見ていいもんじゃない!」
「ほら!散った散った!」
「チェッ!行こうぜ!」
「あははは…」
「やぁ!ミキちゃん新しい討伐依頼の探しもんか?」
「そうなんですよ〜この依頼書の中から一番弱いやつ探してて…」
「一番弱いやつか〜」
「ん〜金額がえらい高いやつ以外は大体どれも弱い方ではあるが…強いて言うならこの中型カタツムリとかかな。」
「すいません装備が短木剣と弓矢です…」
「おおぅ…そうだったのか…もう普通に剣ぐらい持ってると思ってたわ…」
「むしろその装備でよく勝てたな。確かスライムと中型ナメクジだったっけ?」
「はい。」
「………よく勝てたな…」
「あはははは…」
「こいつは鉄槌なんかがあれば楽に倒せる相手だが木剣じゃ無理だな…殻に篭られたら火魔法で炙り焼きにするしかない。」
「魔法使えないですね〜」
「今の装備で勝てそうな奴は…弓の腕次第もあるが飛行系の獣か地を這う虫系なんかなら弓でいけたはずだ。」
「過去二回の討伐からすると難易度上がりますねぇ…」
「いや、むしろ今まで二回が木剣で倒せる程度の敵だったと言うことだ。」
「普通に考えて討伐行くのに木剣はねーだろ(笑)ガハハッハ」
「ですよねー!あはっははは」
「だから弓で倒せるやつしか狙いに行けないから難しいところではあるな。」
「はい…」
「ま!俺も詳しくはないから詳しいやつに聞くなりして死なない程度に頑張れや!」
「はい、ありがとうございました。」
「うーん結局どうしよう。先生に頼んで見てもらう方が確実ではあるけどね。この世界の敵の強さなんて私は知らないわけだし。」
「暇だしワン太と近くの林に薬草でも取りに行こうかな…」
「あ、ワン太は貸し出し中だったか…」
「しょうがない。一人で行くか〜」
「もうワン太は子供たちアイドルになっちゃったな」
「私の召喚獣の気がするけど遠い存在に思える。」
トボトボ
「あ、確かこれは腰痛に聞くやつだ。何日か前におじいさんが腰の薬が欲しいとか言ってたっけ?」
「おっ…これは…」
「いやぁ、冬と違ってさすが春!たくさん取れたな〜」
「しかも木ノ実も豊富で何個かつまみながら帰ろう〜」
「今日の晩ご飯は何かな〜」
「“ごちそうさまでした!”」
「そういえば先生、次の討伐依頼受けようと思うんですが何かいいものはありますか?」
「んん?もうそういう頃か。最近小屋作りやらなんやらで忙しかったしの。」
「実はあらかじめミキ君ができそうなものを2、3枚拝借しとったんじゃよ」
「今日掲示板見に行ったんですけど私より3段階ぐらい強そうなやつしかなかったのはそう言う理由もあったんですね。」
「そうか見に行ってたか。それは悪いことをしたの。」
「目ぼしいものは村長に言ってあらかじめ貰っておいたんじゃよ。ミキ君でもできる討伐に流れ者の冒険者にさせるのはミキ君の経験的にも村的にも良くないからの。」
「さすが先生。」
「次の依頼じゃが…ソロソロまともな剣がないと難しいものが多くなってきたの。」
「ですよねー」
「悩んだんじゃが、これなんてどうじゃ?」
「なになに〜吸血ヒルの討伐。」
「大小、数が多く、主に大型の物の数を減らして欲しい。大型の物に血を吸われると一瞬で血を抜き取られ死んでしまうため注意が必要…」
「また…」
「またこういうのばっかり…」
「まぁまぁ…」
「なんでこう軟体系持ってくるんですか?しかも今回のやつ吸われたら一撃死って書いてありますよ?ほかに弱いのないんですか!?」
「いるにはいるが…今のミキ君の装備じゃとこういう軟体系しか討伐できんのじゃよ…金属製の武器が手に入ればその他の討伐も安心して紹介できるが…」
「それに!ミキ君は立派にアーチャーだし遠距離武器があるし…こいつは危険じゃし…」
「…」
「場所も分かる通り上流の方じゃ。スライムやらナメクジやらのさらに上流、ソウ君の報告によると吸血ヒルのいるあたりから聖水の効果が無くなるそうで境目に居て数を増やしているらしいのじゃ。」
「フッ…(ドン引き顔)超危険生物&危険地帯じゃないですか!」
「ま…まぁまぁ…」
「村長から早い目に数を減らすなり完全駆除するなりして欲しいとの直々の依頼でな…このままだと川を下って村の方に来るかもしれないし…ミキ君や子供達がたまに行く川にも近々出かねないのじゃ…」
「…」
「完全駆除をして欲しいが難しいじゃろうから数を減らす程度でもいいし、みんなから信頼もあるミキ君じゃからその日の討伐数は自己申告でいいらしい。」
「それって単純に群れてる上に吸われると即死するから核が回収できないってことじゃないんですか?」
「…」にっこり(滝汗)
「ミキ君が来る前から数はいたんじゃが…そのぉ…討伐できるような冒険者が中々居なくてな…」
「フルプレートメイルやブリガンディンを着込むような聖騎士や重装騎士なんかはこんな辺境に来てくれないし…」
「ソウ先生に頼めばいいじゃないですか」
「ソウ君だって昔はヒルのいる手前の森で獣や魔物に警戒しながら獲物をとって来るのがやっとでな…」
「今は春じゃから一年でも稼ぎ時で流石に村からもソウ君が稼げる一日のお金を村から出せるほど裕福では無いし…」
「人命が関わるのに?」
「とっ…とにかく…かなりの数になっていると報告を受けたのが最近になってからなんじゃ。」
「ミキ君もミキ君で早く蟻の討伐を行いたいのは分かるが…」
「その前にヒルを倒してくれんかの?」
「これからも子供たちが安心して村の外で遊べるのは全てミキ君にかかっておる!」
「子供を使うのは卑怯ですよ先生」
「それにじゃ!梅雨が来れば大繁殖は間違いない!そうなれば比較的川の近くにある村への被害は…あぁ…弓を教えてくださった…あのおばあさんの家は川から一番近かったのぅ…」
「お年寄りを盾にするとは…卑怯ですよ」
「それに!報酬を見たまえ!」
「なになに…1匹につき小銅貨一枚とドロップした素材や核は討伐者の物となる…」
「どのくらい居るか わからないけど今までのよりは美味しいことは確かですね。吸われたら死にますけど」
「それにじゃ!それに!討伐数3体置きに追加報酬として小銅貨一枚も出すと村長は言っておられる。」
「ふむ」
「村長は、はじめ5体に一枚じゃったが緊急性と危険性とミキ君にお願いすると言って3体にしてもらったんじゃ…」
「なんで私が引き受けることが前提なんですか(笑)」
「”お願い“じゃよ?(滝汗)」
「それとこのヒルじゃが乾燥させて水薬にすれば滋養強壮のポーションが作れる。」
「ソコソコ良い値段で取引されるからポーションにしなくても乾燥させたものだけでもいいお値段がするぞ?」
「ふむ。素材を採取できればコアだけではなく…しかもいい値段になると…」
「そうそう…」
「ふむ…」
「一人では不安だから慣れるまででもソウ先生ついてきてくれないかな?」
「村長やワシからのお願いではダメじゃったがミキ君がお願いすればついてきてくれるかもしれんのぅ…」
「ふむ…」
「一体につき小銅貨一枚と三体置きに追加で一枚。素材は水薬になり核も手に入ると」
「そうそう…」
「…」
「ちょっと考えさせてください。明日ソウ先生に聞いたりしてみます。」
「そして、やるかどうか決めていいですか?」
「命に関わるからの。ミキ君が納得した上でやってくれるのが一番じゃ。それでよいぞ。」
「わかりました。」
「明日聞いてきます」
「それじゃあそろそろ寝ます。おやすみなさい」
「おやすみ。」
「さて、ソウ君の所にでも行くかの…」




