魔物の討伐依頼
あれから基礎だけを覚える日々が続いた。
平和な毎日を送って居たある日…
「ん〜?魔物の討伐か…」
先生は村の掲示板を見て居た。
春、長い冬の冬眠から目を冷ますように草花や森の木々が大いに茂り
人々もまた畑仕事や狩りに勤しむ中…
「やぁ先生。」
「おぉ…村長さん…どうしたんです?この討伐依頼の数」
「うむ…今年はなぜか村の近隣で目撃される獣が多くてな…」
「ふむ…」
「村の若手を連れ出して討伐させるのも良いが…この時期は皆、何かと忙しい。
獣退治も大事じゃが…畑仕事もせにゃならん。」
「ミキ君の聖水で農地が広がったおかげで…ホラ、前にみんなで話しとった小麦畑も作ると村の話し合いでもでとったろ?」
「あぁ…あれか…」
「それで村の者が討伐に行きたがらんので…こんな有様になっとるんじゃ…」
「なるほど…それでか…」
「うむ。」
「たしかに身の危険がある討伐に参加するぐらいなら少しでも田畑を充実させた方がいいしのぉ〜」
「村全員で討伐しても一人当たりの配分なんてたかがしれておる…」
「そうなんじゃ…」
「それのこの春の時期はどこの村でもこんな有様じゃろ?」
「冒険者が稼げるこの時期、そこに留まっている村で仕事を受ければ良いからこの村まで来てくれんのじゃ。」
「う〜むそうか…」
「と言う事があったんじゃ」
「なるほど〜」もぐもぐ
「…」
「…」
「ミキ君…「あっせんせー!このサラダ美味しいですね!!」
「…」
「…」
「それd…「いやー今日林でたくさんのフルーツがなってて美味しかったんですよー」
「…」
「…」
「行きたくないのか?」
(ビクッ)
「なななんのことでしょう?」
「以前ミキ君は冒険者になりたいと言ってなかったかな?」
「フッ…何を言っているんです?先生?私はプリーストですよ?戦えるわけ無いじゃないですか…」
「…」
「いや!ミキ君は今までずっと修行してきた!故に!討伐に行けると思うんじゃよ!」
「嫌です。」
「どうして!?」
「だって前に先生言ってたじゃないですか。討伐はパーティーを組んで行うのが普通だと。」
「私一人しか居ないんですよ?死んでしまいます。」
「それがな…最初の話にもある通り村の者が討伐に行きたがらない。だから弱い魔物の討伐依頼も多いんじゃ。」
「チラッ…」
(興味を持ったようじゃ!もうひと押し!)
「しかも村の者が誰もしない上に旅の冒険者もこないじゃろ?だから討伐金額がかなり跳ね上がり中々いい金額になっておるんじゃ…」
「ほう…」
「村のもんから言えばいくらお金を積まれても畑仕事をしとったほうが長期的に食って行けるじゃろ?それにミキ君の聖水のおかげで魔物や獣の被害も無いからどれほど増えようとあまり興味がないようでな…?」
「そこで我らがプリースト!サマナー!アーチャー!錬金術師の称号を持つミキ君にぜひにと討伐を行って欲しいのじゃ…」
「…」
「ミキ君なら遠距離で狙撃して依頼を達成できるじゃろうし…近接になっても盾と短剣の使い方を教えた。それにワン太もおるし、錬金術で作られるポーションもある上に怪我をしても回復できる。」
「…」
「それにワシは知っておるぞ…たまに行商人から月間、女性用冒険雑誌を買って楽しそうに読んでおるのを…」
(!?)
「ワシも昔は冒険者じゃったんじゃ…ああ言う本を見て胸が踊るのもよくわかる。」
「…」
「ミキ君…これはチャンスなんじゃよ…。」
「今掲示板に貼られている依頼書の魔物は弱いやつが多い。それなのに誰もかかり合わないから報酬のお金も敵が弱い割りに中々良い…」
「ゴクッ…」
「以前のネズミで知っておるだろう?戦利品は中々お金になる…」
「ゴクリッ…」
「それらが全てミキ君の物になると考えて見なさい…」
「くっ…」
「この村で畑仕事と狩りを細々と行っているだけではいつまでたってもあの雑誌のような可愛い装備は手にはいらないだろうなぁ…」
「…」
「そうか〜それでもしたくないか〜…仕方ない。無理を言って強制するわけにも行かん…この依頼は他の冒険者が来るまでは掲示板に貼って温めておこうかのう…」
「…それ…本当に弱い獣なんですか…?」
「ん〜?おぉ…そうじゃとも…ほれ、これを見てみなさい。」
「こやつはダンジョンでも浅いところに生息しておる初心者向けのモンスターじゃ。」
「なになに…核スライムの討伐…小規模の群れを発見…
数にしておよそ15体の完全討伐」
「なお、魔法無効の物理無効モンスターにつき討伐報酬一体銭貨2枚と獲得したドロップアイテムは討伐者に与えられる…」
「って!物理無効魔法無効なら無理じゃ無いですか!」
「うむ。知らぬ者には難しいじゃろうな…」
「いやいやいや、勝てないですよ。」
「いや、こいつには弱点があってな?スライムを形成する本体に核があるんじゃよ。それを砕けば形を維持できなくなって自然消滅するんじゃ。ちなみにその時素早く入れ物に移しておけば錬金素材の「軟膏の傷薬」ができる。」
「あ、錬金素材になるってそう言えば先生も言ってましたね。」
「そうじゃ。錬金素材も取れて一体銭貨二枚という通常の倍以上の報酬に加え数も15体程度しかおらん。一石二鳥!それに今のミキ君なら余裕で倒せる相手じゃろう。」
「おぉ!希望が湧いてきましたよ!先生!」
「そうじゃろう!そうじゃろう!」
「初めての戦闘じゃから依頼書の中で一番弱い物を選んでおいたのじゃ。」
「ふっふっふ…私の木剣が光り輝きますね!」
「弓で核を狙う練習をしてみても良いぞ?遅いが動くマトでもあるし良い練習になるじゃろう。」
「たしかに!」
「じゃあ明日日課を終わらせて特別授業を討伐に当てるから夕暮れまでに帰ってくるんじゃぞ」
「はい!先生。」
「それじゃあ今日はもう寝なさい。木剣の方は切っ先を研いでおいてあげるから預かっておくね。」
「お願いします。」
「それじゃあおやすみ。」
「おやすみなさい。先生」
「ミキ君の初戦闘。スライム相手なら怪我することもないじゃろう。明日が楽しみじゃな。」




