テナー村の現状
~村長の家~
「飛び蹴りウサギの話はどこで聞かれたんですか?」
「半年程前にルーク村に居た時風の噂で聞きました。」
「そうですか・・・あの時は大変でした。平和に暮らしていたのにいきなり赤い目をしたウサギの大群が村に襲撃して村の三分の一の者がその襲撃で死にました。」
「奴らの脚力は凄まじく大人の顔の高さ目掛けて飛び蹴りをしてきて酷い者は首跳ね飛ばされてしまうほどの恐ろしい威力でした。」
「「・・・」」
「それで村に定期的に来てくれる行商人にお願いをして、この先にある枯れたダンジョンに居る冒険者様にお願いをしたのですが・・・」
「4名の5パーティーからなる20人の冒険者が挑みましたが一か月もしないうちに全滅してしまいそれ以降この依頼を受けてくださる方は居なくなりました。」
「「・・・」」
「今は掲示板に乗せておくと旅の者が見てあまり近づかなくなってしまうので掲示板には載せていません。」
「それ、私達に言っちゃってよかったんですか?」
「大丈夫です。私の目に狂いはありません。あなた方は必ずこの依頼を受けてくださいます。」
「どうしてそう言い切れるんですか?」
「最近奴らも賢くなってきたのか村に入る時は獲物を森から見るだけにして村から出る時に襲撃してくるのです」
「うへぇ・・・」
「ハメられたってことか・・・」
「はい。」
「でもウサギって草食性では?」
「残念ながらあのウサギどもは雑食性で何でも食べるんですそのせいで山に食料を取りに行けずに村から近い山のそばでウサギにおびえながら食べられるものを取ってくるのが精いっぱいでして・・・」
「ウサギも考えてんな~・・・」
「そして月に一度の割合で襲撃があるのです。」
「そして今夜がその襲撃日なのです!!!とかですか?」
「いえ。襲撃は昼間にあります」
(華麗なるフラグ回避成功)
「そのせいで村人はみるみる弱っていき今では若い男数名しかまともに動くことができません。」
「うわぁ・・・だから村の中で若い男性以外見なかったんだ・・・」
「他のものは空腹で動けなくなり家で寝ております。」
「ミキ。思ったよりやべーんじゃねーか?」小声
「かなりやばいね・・・」小声
「冒険者様は行商もしておられると聞きました。何か少しでもいいので食べ物を分けてはもらえませんか?謝礼ははずみますから!」ガシッ・・・ミキにすがる
「すいません。私達も自分たちが食べる分しかなくてですね・・・それこそ、この村で補給できると思っていたので・・・」
「そうですか・・・」ガクゥ・・・
((心苦しい!!!))
「忌々しいウサギどもを食料にできればいいのですが、討伐できる者がおらず・・・それも中々難しく・・・」
「どのくらいの大きさなんですか?普通に1キロぐらい?」
「いえ・・・あいつらは5キロ程あります」
「5キロ・・・(笑)」
「そりゃまた食いでのありそーなサイズだな」
「食いではありますよ。ですがほとんどが足の筋肉でして、臭くは無いのですが硬くて硬くて・・・」
「頑張って食べても胃が痛くなる始末でして・・・」
「臭くないならワンチャン・・・」猿肉を想像しながら
「臭くないならまぁ・・・」猿肉の干し肉を想像しながら
「倒すのも骨ですが倒しても骨で・・・」
「奴らはどの辺に居るんだ?」
「正確にはわかりません。山の中としか・・・山の中で出会えば最後。一撃を受けてしまえばどこかの骨が折れてそのまま餌食になります・・・」
「生きたまま食われるのは嫌だな」
「うわぁ・・・討伐難易度高けぇ・・・」
「遠距離で倒せるものなんですか?弓とか」
「一応倒せますが、なにぶん耳も優れている連中でして不意打ちでも避けられてしまうんです。」
「うわぁ・・・クッソ強いじゃん・・・」
「・・・」
「罠とかは?」
「この辺の地中は岩盤がで落とし穴が使えないのです。」
「あぁ~~そうだった~~~!_| ̄|○」
ドンドンドン!
「すいませんちょっと失礼」
「どうするんだ?」
「どうするって言ってもなぁ・・・」
「村長さん!大変なんです!お母さんが!」
・・・・・・
・・・・
・・
「ヒュー・・・」
「ヒュー・・・」
「お母さん!しっかりして!村長さん連れてきたから!」
「・・・」
「・・・・・・」かすれた声で何かを言っているが聞こえない
((うわぁ・・・))
「今は村中どこもこのありさまでして・・・」
「村長さんお母さんを助けて!」
「すまないね・・・薬も何も無いんだ・・・」
涙目の少年
「ミキ。お前回復薬作ってたろ?アレを飲ませたらどうだ?」小声
「あれは傷を回復させるもので衰弱した人を回復させるのは体力回復なんだけど・・・いらないと思って作ってない!」小声
「何で作らなかったんだよ!」小声
「体力が切れたら休憩すればいいって思ってたから!」小声
「でも俺は何とかしてやりたいって、思うんだ。」
「はぁ・・・まさか君がそこまで熱い思いがある人だったなんて以外だわ~」
「宝物庫オープン」
「「!?」」
きゅぽっ・・・
衰弱したお母さんの唇に湿らせるようにして飲ませる
「薬・・・?」
「違う。」
「でも、その瓶は回復薬なのでは!?」
「傷を回復するほうの回復薬。」
「・・・」
「お母さん・・・治るの?」
「・・・」
20ml程飲ませただろうか?今にも逝きそうだった母親の表情は幾分か楽そうに見えた
「顔色がよくなった!お姉ちゃんありがとう!」
「まだ治ってない。回復薬の効果で幾分まともになっただけ。早く栄養のある物を食べるか・・・」
(体力回復と栄養剤を摂取させる必要がある)
「ミキ、俺さ」
「わかってるよ。私達の食料出せばいいんでしょ?」
「すまんな。」
「報酬は討伐した獲物の革でいいよ」
「優しいな」
「アル程じゃない。」
それから二人で竈を借りてお風呂に使う予定だった薪を使い
弱った人も食べやすいように、かつ栄養を無駄にしないために
最初に川魚の骨を煮込み出汁を取り、そこに春野菜を入れてザリガニの粉末を多めに入れ
最後に魚の身を小口大に切り入れた。
川の幸と春野菜の大鍋スープの完成だ。
ちなみに回復薬を3本程入れてあるので味はだいぶマズくなってるはずだ。
「野菜は細かく切りあらかじめ別鍋ドロドロに煮てあるし、川魚も骨は丁寧にとってあるから安心して食べられるよ」
村が狭いせいか、呼ばなくてもお腹を空かせた村人がお皿を持って集まってきた。
不平等が無いように動けない人が居るかどうかは村長に確認しながら配ったけど誰も不平?を言う人はいなかったのは素直に素晴らしいと思う。
たかだか大鍋1つで村の全員が食べられるはずもなく。
弱っている人を優先にした結果村人の三分の一と私達はその日何も口にすることはできなかった。




