食べ物を求めて異世界生活
むくり…
「おはようございますぅ…」
「お腹すいた。」
やばい。今日は何か食べないと。いくら人間は飲まず食わずで二週間生きられるとは言っても活動しなければの話でしょ?と思ってしまう
今10時ぐらいだろうか
陽が落ちて寝て10時に起きるってかなり寝たんだな。
食べ物がない以上寝ることだけが唯一の回復手段
寝る時間だけは削ってはいけない。
井戸に移動
顔洗って水飲んで
今日も食べ物を求めて出発だ!
昨日と同じ、村の前に捨てた棒を拾って今度は少し離れた林の中へ
「おぉ…!?コレは…?」
赤い実がある。
しかも瑞々しい。
小さい時に実家の近く小山で見た山イチゴと呼んでたやつに似てる
そしてほとんどを何かに食われておる。
コレは食べられるのではなかろうか…
服で軽く拭いて一口…
異世界転生してからの初めての料理?食事だ!
「うーん…ほんのり甘いけどかなり酸っぱい。」
「頑張れば食べれそうだけど酸っぱすぎて好んで食べようとは思わない…
苦くないだけマシか…」
でも3粒ほどしかない実を全部ちぎって他の食べ物探しながら酸っぱい実を口に運びながら歩く
「今は夏だろうか?いや、常時夏という可能性もある。わからない。」
最後の実を食べ終わった頃に新しい実を見つけた
「これはクコぽいな。どれどれ…うん。グミの実です。しかも大量になってる!」
そして小一時間ほどちぎっては食べちぎっては食べ、全体の三分の1を食べた
「そこそこお腹は満たされた。」
村からそう遠いわけでもないしちぎると日持ちしないからこのままならしておこう。
お腹が空いた時また来ればいいか。
一旦林を出て林の周りを散策。
村から1キロほど離れたところにそこそこ大きな川がある
「おお…大自然…。木陰とかに入れば水浴びできそう。」
そして何より魚いそう。と思ったけど居た。しかも結構大きいのもいる
そしてなぜか浅瀬にいる。浅いところと深そうなところとが入り混じる川なのかな
「それにしても川が綺麗だな〜普通に飲めそう。少し飲んでみようか。」
「うん。うまい。陽射しも良いしちょっと川辺でごろ寝」
「食事事情が心許ないけどニート生活最高である」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
…少し油断して昼寝してたらしい。
なにかが頬をスンスンしてくる
微妙にくすぐったい
むくり…チラッ
「うわああああああああ!」
1m大のたぬき(ビクゥ!?)
「あ、逃げてった。」
「あ、貴重なタンパク質」
「可愛い…可愛い?顔は可愛いけどでかすぎる…」
「あれ?たぬきって雑食性じゃなかった?かじられてない?…セーフ。」
昼か。
お腹すいた。
寝てただけなのにお腹すいた
グミも無限じゃないし夕ご飯にとって置いて川の水でも飲もう
「ぷはぁ!うますぎるッ!」
「さてどうしよう」
寝床は多分安全な教会裏
食事は目の前の川と林の中の何らか
「そのうち詰むよね?」
そもそもこの国の言葉を話せないと生活の安定とはならない気がする
今だって教会裏(不法滞在)な訳だし日本なら警察に通報されるレベルだよ
せめて言葉話せて軒下で寝かせてもらえる許可とか取らないといつ追い出されるかわからない。
側から見れば言葉が通じない人型ってゴブリンじゃん
いや、この世界のゴブリンが言葉喋らないと決まったわけじゃないけど
…
「暇だ。」
いや、本当は暇じゃない。保存食の一つでも確保すべきだと思う
明日という安定のために…。
日本みたいにストレスと労働があるけど衣食住のある環境というわけではないんだし
何の責任もない異世界に来て自由はあるけど安定もない
あれほど日本では労働とストレスを嫌がってたくせに本能的に安全と安心できる
「何か」を求めてるなんて、おなしな話。
言葉覚えてお金貯めて商人になるのとか良いな。
自分の身を守れるぐらいの冒険者兼商人とか
ゲームでよくある錬金術を使って楽してウハウハとかも良い
にへらっ…
いやいや、それでも始めに言葉覚えないと
やっぱり誰かに教えてもらうしかないよね
言葉を教えてもらって文字を教えてもらって
まずそこから。
でもそう上手く行くわけないよね
そこまでトントン拍子に進めるならそもそも異世界転生特典の不思議パワーでもうできてるよ
でも誰かが教えてくれるって言う妄想するのはタダだよね
「ふふん♪」
魚とっても良いけど
火通さないと怖いな…
火でも起こす練習でもしようかな
林の中に入って適当な棒と太めの枝を探してこよう
「ないな〜」
そんな都合よくないか〜
お?川のそばの林に良いのがあるじゃいか!
「さすがは生命の源!川さんだ」
後は…確か…えーと…
火口だ、確か火種作って火口につけて火を育てて小枝に火を移して大きな枝に火を移すとか何かで見た気がする
燃えやすいものは…
この辺に落ちてる乾燥した葉っぱや朽ちた枝
小枝と大きな枝はさっき木を拾ったところにあったっけ
「ん、よいしょ。」
後はこれを縦に立て掛けていって中に火口を入れるスペースを作れば…完成!
「後は火を起こすだけだ。」
確か木に穴を開けてか何かしてそこに棒をはめてコスコスするんだよね?
「これで火がつけばお魚食える〜♩」
「よっしゃー気合い入れて行くぞー!」
〜30分後〜
「火がつかない。」
て言うか、棒はそうでもないけど棒を当てる板があんまりよくない気がする
綺麗に加工されてるわけでもないし
細いとはいえほぼ丸太やしなこれ
でも火をつけられるようにならないとこの先詰むからもっと頑張ろう
〜3時間後〜
付かない。もうダメだ…ぐすん…火を生み出すの舐めてた。
こんなに頑張っても付かないなんて…
魔法使いなら手軽に火なんて付けられるのに…
「ぐすん…もう疲れた。」
夕方か〜陽が沈みそう
暗くなる前にグミでも食べておこうかな。
トボトボ…
「!?」
「命の源…グミが一個もない…」
しかもなんか手のひら大の足跡がそこら中にあるんですが…
草食系ということを祈りたいけどもし雑食系だったら死ぬかもしれない
こんな細い棒で渡り合える自信ないわ…
人を襲うって決まったわけじゃないけど、こんなのが村の近くを徘徊してるとか…
素手だと某殺人拳法家しか生き残れない気がする…。
「お腹すいた。」
「帰って寝よ。もう暗くなるし…暗闇の中でグミ食ったやつに遭遇したくない。」
〜教会裏〜
「予備の薪が邪魔だな〜」
薪置き場を勝手に拝借してるから仕方ないけど。
さておやすみなさい。
明日は頑張って火を起こして魚取ろう。