いつもの日常
「おはようございます〜」
「おはよう」
「“いただきます”」
「そういえば、昨日言い忘れてたんですが、昔ネズミと死闘を繰り広げた近くにある林の管理をソウさんに任されてしまいました。」
「ん?あーなんかそんなことも言っておったのう。」
「知ってたんだったら教えてくださいよ!」
「忘れとった(棒)いや、聞いたときは本当にさせるとは思ってなかったから。」
「はぁ…」
「それじゃあ…次の見回りはいつなんだい?」
「ソウさんは3日おきでいいって言ってたから3日後ですかね。?」
「ふむそうか…」
「?」(もぐもぐ)
「うーむ…」
「どうしたんですか?」
「いや、ソウ君はからも聞いたかもしれないんじゃが、弓使いは接近戦になったら弓を捨てて短剣に持ち替える必要があるじゃろ?」
「そうですね。」
「ミキ君はソウ先生に短剣貰った?」
「いいえ、無いです」
「そうだよねぇ…昨日帰ってきたときは持ってる雰囲気じゃなかったしのぉ。」
「うーん短剣か〜短剣短剣…」
(もぐもぐ)
「ミキ君的には短剣一本か盾を持つかどちらが好みだい?」
「安全性が高い方で。」
「じゃあ盾持ちの短剣じゃの。」
「しかしこの村には製鉄所が無い。鉄製品は村にくる行商人に頼んで他から持ってきてもらう必要がある。」
「村にはまだ装備品を備蓄して居なかったから。」
「すぐには用意できんのう…」
「短剣って高いんですか?」
「物によるな。良くあるアンデット系にも効く銀製だと高いし、鉄製でもそれなりにする。一番安いのは銅製…いや軽銀というのがあったか…」
「軽銀?銀なんですか?」
「いや、銀に似た光沢を持つ金属の中では軽いやつだったはず。」
(それってアルミニウムなんじゃ…)
「軽銀ならほとんど捨て値で売られておるの。」
「何故ですか?」
「加工しやすく折れやすいために模造で作ったり弟子入りしたての子達がお小遣い稼ぎで売ったりしておるからの。」
「その他にも小物なんかに使われるが光沢の良さから物好きが購入したりそういった理由で出回ってたりする。」
「ふーん」
「でもそれって行商人に持ってきてもらわないとダメなんじゃ?」
「だの」
「ダメじゃん」
「というか私、お金持ってないです」
「そもそもこの村お金の取引より物々交換の方が多いし」
「うむ、しかも今は冬で財産のほとんどを食料に変えた後じゃな。」
「まぁ一部、経済的に豊かなのもおるが…」
「いやぁ…ソウ先生には色々と貰ってばかりで何も返せてないので流石にお金を借りるのは…」
「そうじゃのう…」
「よしわかった!3日後までにわしがなんとかしよう!」
「無理しなくていいですよ。ソウ先生にもらった獣避けありますし」(しれっ)
「ムムム?ミキ君はワシの事を侮っているな!?これでも元冒険者で今まで生き残ってきたという実力を見せてあげようでは無いか!」
(材料ないし製鉄所もないのにできるわけないじゃん…)
「はぁ…」
「3日後に楽しみにしておれよ!」
今日は先生が意気揚々と出かけて言ったため一人で自主練になりました。
流石に講堂の中は寒いのか冬になってから子供達から遊びのお誘いがありません。
勉強のチャンスといえばチャンスですが…
「寒い…」
弓の練習もある程度慣れてきて毎日はしなくて良くなった代わりに3日おきに見回りしなきゃいけないし。
錬金術はそもそも素材がないし
サマナーの件もあれから先生の話を聞くものの、他にも勉強することが多いしそれに忙しいのもあるけど、そもそもお金なくて契約書の紙を買ってない。
「誰かに借りても返すあてがないしなぁ…」
正直ここの生活はお金が必要ない。
弓も村長から貰ったものだし
蓄えをしてくれてたから食うには困らないしたまに獲物が取れればおすそ分けしてもらえる。
畑に行って雪をどかせば根のものの野菜もあるし
「別に切迫してお金が必要なかった。」
各種勉強もそこそこやってきたしそろそろお金を持つという事をし始めてもいいかもしれない。
いずれは私も冒険に出たいし、その前に防具を買わないと…
胸当てだけじゃ危険だってソウ先生も言ってたしなぁ…
「何かお金になることはないだろうか…」
「…」(聖杯を見ながら)
「あ、そういえば今の魔力を流しにくい状態で出てくる青い聖水をポーション瓶に入れれば売れるとか先生言ってたっけ?」
「でもまだポーション瓶に入れられるほど出せないんだよねぇ…」
「聖杯関係は今までよりも、もっと集中してやろう。」
「ソウ先生と林に行った時も、危険区域の見回りするって言ったときすぐに聖水のポーションを思い出したから一本ぐらい早めに持たせてあげたいし。」
「そういえば呪文系まだ教えて貰ってないけど魔力を増幅する呪文とかないのかな。」
「あれば先生に教えて貰えば早く聖水のポーション使えるかもしれない。」
「後で聞いてみよう」
「でも今はこの聖杯の器に濃い魔力を溜める練習をした方が稼ぐならそれが一番な気がする」
「集中力を増せば魔力が増えるんだろうか?いや、先生は確か個人によって魔力の総量が違うとか言ってたっけ、鍛えていく中で増えていくとも。」
「先生が聖杯をさせてるということは・・・あまり実感はないけど魔力が増えているということ・・・。そうだと思いたい。」
「だって最初の雫から段々と増えて行ってるし。」
「今は全体の5分の1ほどしかないけどポーション瓶に入れるなら最低でも5分の4は欲しい。」
「今の4倍か…遠いな。」
「うん。練習は今までよりも本気でやるけどすぐに4倍になるのは無理だ。」
「ん?本当に無理だろうか?」
「昔は倒れて意識なくなるまで注いでたのに最近は意識を失うことがない。」
「意識がなくなるほどに聖杯に魔力を注げばいいのではないだろうか。」
バタン。
「いつ意識がなくなってもいいよにベットの上でやる。」
「教会で凍死とかシャレになんない」
「まず全身の魔力を手のひらに集めて…集めて…全部集めて…それを凝縮して…もっと…もっと…そして聖杯に一気に流す!!!」
コポコポコポコポ…
………
(おやすみなさい。)
「むくり。ん。寝てしまった。」
「あ、聖水…おぉ!溜まってるぞ!」
「しかも…5分の3ぐらいある!」
「この方法なら割と早めに聖杯に溢れるぐらいまでできそうだ。」
「実戦では全く使えないやり方だから気をつけないとね…」
「ミキくーんご飯じゃよ〜」
「はーい。」
「ってもうそんな時間か。」
「先生〜見てみて〜聖水すごい溜まってきたよ!」
「お?どれどれ…おお!コレはすごい!ミキ君も成長したの〜」
「えへへー」
「聖杯から溢れるぐらいできるようになったら次の勉強に移ってもいいかもしれんなぁ…」
「おぉー楽しみですねぇ!」
「さっ、ご飯にするから聖水を村の周りに撒いておいで。」
「はーい行ってきます」
……………
「”いただきます“」
「今日はお肉が入ってるんですね!」
「たまにはいいじゃろうと思ってな。」
「良いです!毎日でも良いです!」
「ほっほっほ。」
「“ごちそうさまでした”」
「それじゃあおやすみなさい」
「おやすみ」
「さて剣と盾作りをしますかな…」