新米弓使い
「寒い」
今日もいつも通り朝から働く。
冬になり畑仕事はなくなり森や林での収穫もなく
村では仕事が減って雪かきや除雪作業が主な男性の仕事
女性はいつも通り
私もいつも通りの仕事をこなし
子供達と学んで
今日の特別講義。
今日からまたソウ先生が帰ってきたので弓のテストをする。
「弓使いがだいぶ上手くなったらしいじゃないか」
「そうなんですよ〜先生が良いからですね!」(誰先生とは言ってない)
「そうだよな!流石俺だよな!HAHAHAHA」
「HAHAHAHA」
「それじゃあ腕前のほどを見せてもらおうか!」
「シュッ…トンッ」
…………
………
…
「うむ。8本ちゃんと当たってる。合格だ」
「はい!ありがとうございます!」
「じゃあこれ合格祝い。」
「?ありがとうございます!これなんですか?」
「開けてみてよ」
ガサガサガサ
これはきっと都市で買ってきた可愛いアクセサリーとか帽子とかに違いない!
もしかしたら昔漫画で見たようなミニスカートとニーソのセクシーだけどかわいい女の子アーチャー用の装備かもしれない!
なんだソウ先生も意外と乙女心わかってるじゃないですかー(笑)
いやー照れるなぁ…
「…」
「なんですかこれ?」
「これは以前話した獣避けの乾燥した草を入れるための金属の入れ物だよ」
「…」
「これさえあれば、獣や魔物に目を付けられることもないしとりあえずは安全に狩りを行える道具だ。常時使用しながらでもいいし危険ではない所なら使わずに過ごせる。金属製のコップ型の上に湿気らないように蓋までついた一品だぞ!」
「…あ、アリガトウゴザイマス…。」
「実用性があってミキ君の安全も守れてしかも俺のと比べて小型でオシャレ!」
「可愛い女性アーチャーには必需品と言って良い一品だろう!プレゼントセンスがある。流石俺」
「…」
「どうした?嬉しすぎて言葉も出ないだろう」
「アッハイ。とりあえず今日はテストで疲れたんで先に戻りますお疲れ様でした」
「おおぅ?おつかれー次は狩りに連れて行ってやるから楽しみにしとけよー♪」
バタン
「無いです。」
「期待した私がいけなかったんだろうけど女心わかってなさすぎる。」
「というかわかってたら独身じゃ無いわな。」
「何はともあれテストは合格したし、頑張って寒い中練習した甲斐があったな〜」
「最後の最後で微妙にテンション落とされるとは思わなかったけど、まぁ先生なりに気を使って買ってきてくれたんでしょう。ちょっと私の対応が失礼だったかな。」
「今度謝っておこう」
「それに、よくよく考えれば金属製の小物って村ではあまり見かけない気がする。」
「初めて見せてもらった先生の獣避けも金属とかじゃ無い上に大きかったし、このくらい小さい入れ物ならカバンやベルトに取り付けれるポーチ型になってるし。」
「今度会ったら改めれお礼を言っておこう。」
「…」
手に魔力を集めて…一気に流す!
コポコポコポコポ…
「だいぶ上手くなってきた。やり始めと比べて明らかに溜まってる。」
「溜まってるといっても…少量だけど。」
「今日は村の門じゃなくて門と門の間ぐらいに撒いてこようかな」
「全体的に満遍なく撒けば少ない聖水でも多少は効果あるでしょ。」
「ただいまー」
「おかえり」
「ご飯にするよ。」
「はーい」
「今日はソウ先生のテスト合格したんだって?」
「合格しました。」
「それに合格祝いにプレゼントも貰ったと聞いたぞ」
「頂きました。」
「そうかそうか…どんなアクセサリーじゃった?それとも可愛い服かな?」
「金属製の獣避け入れです」
「は?」
「金属製の獣避け入れです」
「ズズズッあー先生のご飯は美味しいなぁ」
「そ…そうじゃな…」
「そういえば、今日村長が持ってきてくれて、以前頼んどった弓が届いたそうじゃから部屋に置いてあるぞ」
「おぉ!ついに私の弓キター!」
「あとで見て見ます!」
「うむうむ。矢は少し多めに頼んどいたから箱にまとめて入れてある。」
「オマケで革のグローブも貰ったみたいだからあとで感触を確かめるといい」
「楽しみだなー」
「狩に行くときは怪我のないようにの。」