第9話 モンジェネ東門①
ルーナちゃんに連れ添って、東の門へとやってきた。
30分の猶予があるので、ルーナちゃんの靴や武器防具をマジック○○で買い揃えた。
死なれたら困る。
ルーナちゃんには、俺のアパートンに住んでもらって、植える予定の花壇のお世話をお願いするつもりなのだ。
ルーナちゃんにモデルチェンジして、知識を見て分かったのだが、薬草や果実について詳しいことがわかったからね。
東の門の大将を務めるのはギルマスのようだ。
斧を背負って辺りを見渡していた。
「お前、ここに来たのか。頼りにしてるぞ」
俺の背中を強く叩くギルマス。
「お譲ちゃんも無理せず頑張れよ」
ルーナちゃんには、優しく頭を撫でる。
この扱いの差はなんなんだ。
差別だろー。いや、区別か。
俺は今、シェルトさんを自身に、反映している。
周辺察知スキル、害意察知スキルは有能だからだ。
周辺察知は気配察知の上位スキルのようだ。
察知範囲が広範囲になる。
「「がんばります」」
モンスターを迎え撃つ騎士や冒険者は、城下街や王都を守るのが、騎士の役目のようで、冒険者は、街から離れて戦っているようだ。
魔法であろう爆発音や剣と剣が重なりあう音や落下音、モンスターの鳴き声が響いている。
Fランクの者たちは、弓矢や水などの物資を渡すためにせっせと動いて働いている。
「そろそろ行くか?どうだ、アユム勝負しないか?どっちが、多く討伐するかの勝負だ」
「えー。別に良いですけど。そんな、遊び半分で良いんですか?」
「気楽な気持ちで挑まねぇと、だめなんだよ。リラックスさ。変に肩に力入れて意気込んでちゃー、本来の力が出せねぇーってもんだぜ」
ラフな感じでギルマスは返してきた。
「敵地へ、いざ参らん」
俺もノリノリで挑むことにした。
○○キング、今回はゴブリンキングとオークキングが想定されているが、その○○キングには、統一して同じスキルを持つと言われている統率者というスキルだ。
知能の低いゴブリンやオークなどを言うことを聞かせるというもの。
本来、ゴブリンや、オークは、単体で行動している。
知能が低いため、罠などを使うこともない。
毒草を武器に塗りたくるという発想もできないバカのモンスターらしい。
それを統率者というスキルで統率する○○キング。
この統率者というスキル発生時は、キングの意思を伝えることが可能らしい。
サーファさんが、オーク5匹に襲われたのは、モンジェネの予兆だったのかもしれないな。
☆☆☆☆☆
俺とギルマスは、モンスターに向かって走り出した。
冒険者側が押されているようだ。
ギルマスに聞いた話によると、10人で2000匹をを相手にする計算だという無理ゲーだよ。
この街、ファルトさんの知識を読み取った所によると騎士は少なく弱い。
この街の人口は2000人なのだが、騎士の数は100名ほど。
冒険者は30名ほどしかいない。
騎士が少ない理由は分からなくもないが、領主としては如何なもんかと思う。
低ランクと言えるEランクの冒険者に成りたての者は、恐怖でガタガタと身体が震えている者や終始ビクビクしている者がいた。
戦場には来たものの戦わずに、泣いて身を寄せ合っている冒険者もいた。
可哀相に。だが、邪魔だ。
「フライウィンド」
嵐魔法では、空を飛べることができる。
空を飛び、東門に来ているモンスターのボスを撮影することにした。
本来の自分の歩術でも空を飛べるが、俺は弱い。
直ぐに亡きものになる自身がある。
そのため、エリアーナさんを自身に反映させた。
「おい、お前、それ嵐魔法じゃねぇか。どういうことだ?」
大きな斧をぶんぶん振り回しながら、オークやゴブリン系統を圧倒しているギルマスが驚いた風に言ってきた。
ギルマスと俺の頑張りにより、冒険者側が、押してきている。
「お先に失礼しますね。このモンジェネ、ボスを倒せば、はちゃめちゃに物事が動きますよね?」
ゴブリンとオークは、本来仲は良くない。
ゴブリンキングとオークキングの指示によって、連携して動いているだけだ。
それなら、大元を潰せば、ゴブリンとオーク対人間が、ゴブリン対オーク対人間と変動する。
それを熟知している元Aランクパーティーのギルマス、エリアーナさん、ファルトさん、サーナさんがキングを潰す。
だから、騎士が少ない。
モンジェネの発生する8割はゴブリンとオークのキングによって起きるようだ。
「いくら倒しても切りがなさそうな数だね。1人100匹倒すとか無理だよね。本来、1日に1匹しか討伐しない様なランクのモンスターもいるよ」
エリアーナさんの知識で検索しながらボスまで飛んで目指している。
魔法を起動している間他の魔法が使えないことがわかった。
空を風魔法で飛んでいる俺は飛んだまま攻撃ができない。
困ったもんだ。
下から、弓矢が俺に向かって飛んできているが華麗に避けて進んでいる。
飛び始めて10分後、ゴブリンキングとオークキングの元まで辿り着いた。
呑気にイスに座って、酒を飲んでいる。
いい気なもんだ。
スマホを手に持ち撮影する。
ゴブリンキングは、色はゴブリンと同じで気味が悪い。
身体は3m近くかなりでかい。
オークキングも同様でオークと同じだ。
身体はこちらも3m近くありでかい。
横にも大きい。
醜い外見、肥満体型だ。
ゴブリンキングとオークキングの周りには護衛であろう、ナイトと、キングの息子のプリンスそして、ゴブリンキングに近いと言われるジャックがいる。
ゴブリンやオークは、比較的俊敏力が乏しいモンスターなのだが、ゴブリンナイトやオークナイトは、俊敏力に長けている。
ゴブリンの特徴であるお腹も減っこんでおり、どちらかというとスリム体型だ。
「一旦、下がるか。ギルマスと話そう」
☆☆☆☆☆
「ギルマス、ゴブリンキングとオークキングがいました。呑気に酒を飲んでいましたよ」
ギルマスの元まで飛んで戻ってきた俺は、エリアーナさんの嵐魔法の最上位を放ち、モンスターを200匹ほど討伐した。
カードにより確認。
「まじか。余裕なんだろ。舐められたもんだ」
支援物資の水を片手に持ち、小休憩に入っている冒険者達。
次にくるモンスター達からは、300m程、距離が離れている。
「先に行ってますね」
そう言って飛ぼうとしたが『クラッ』と意識がとんだ。
エリアーナさんの反映が解除されたみたいだ。
魔力切れだろう。
魔法使いは魔力が完全に切れると、意識を失うという。
「次は、誰でいこうかなー」
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