第4話 お金の価値とフワァーナ
「知らない天井だ」
友達からアドバイスを受けていた通りに言葉を発して朝を迎えた。
俺は、寝る前に切り替えで、ラビットにモデルチェンジしておいた。
気配察知があるからである。
気配察知は、誰かが近づいている気配が分かるスキルのようだ。
俺のいる部屋に、今、誰かが近づいて来ている。
ラビットの気配察知はそこまで強くないみたいだ。
詳しくは分からない。
『コンコン』
「アユムさま。起きていますでしょうか?朝食のお時間です」
ロムンさんが呼びに来てくれたようである。
「はーい。今出ます」
ロムンさんに用意しておいてもらった服に着替えて、部屋のドアを開ける。
俺の着ていたジャージ上下は、汚れないといった特殊なものなのだからずっーと着ていても良い気がするが、俺は世間体を気にする。
『昨日も同じ服ですよね?』とか思われたりするのは嫌だ。
☆☆☆☆☆
朝食を終え、ロムンさんの案内で不動産屋に向かった。
適材適所ということで、不動産屋の人に、案内をお任せするようだ。
良いところや悪いところも教えてもらいたいな。
受付のお姉さんはピンク色の髪で髪の長さは肩にかかるくらいのふわふわな雰囲気の女性だった。
服装も全体的に落ち着いた雰囲気で。
おっとりとした印象を受ける。
受け付けのお姉さんがそのまま俺の担当になった。
たくさんある家の中から良いところと悪いところを聞いてある程度絞り込みに成功した。
「今から見に行きますかー??」
「はい。ぜひお願いします」
受付のお姉さんが家に案内してくれることになった。
早速、1軒目を紹介してくれるということで俺はお姉さんについて歩く。
しばらく歩くと、お姉さんが立ち止まった。
「1件目はここですー」
そう言って、お姉さんは1軒の建物を指さした。
「おー」
そこにはなかなか立派な家が立っていた。
庭も広く、井戸もある。
この街に、住んでいる者達の各家に井戸があるわけではないことはお姉さんに聞いてあったので、良い物件であることは頷ける。
「どうでしょうかー??この家なら、家の大きさも悪くないし、家の中の状態もご期待に添えれると思いますよー。中を見てみますかー??」
お姉さんはそう言うと、ガチャッガチャッと鍵を開けて家の中を見せてくれた。
「おぉー」
中もなかなかに立派だった、定期的に、このお姉さんが掃除にきているらしい。
家自体は領主様の者だが、掃除を不動産屋に頼んでいるため、新人の不動産屋の従業員は、お客さんに家を売れない月があっても、100軒近い領主様の家を掃除することで生活ができているらしい。
「なかなかいいですね」
「そうでしょうーそうでしょうー」
だけどなー。。。
改めて見たけど広いよねー。
大きい家に住みたいと昔から思っていたけど、俺今1人身だしなー。
こんな広い家に1人で住んでいると疎外感を感じそう。
それに、庭から家までが遠いから風邪をひいて歩くのもきついときとかに、薬などを買いに行くのも苦労しそうだ。
「辞めときます。次お願いします」
「はーい。では、次に紹介するのは庭が大きめで家は普通サイズのをご紹介させていただきますねー」
お姉さんは、そう言って最初みた物件に鍵をして、歩き始めた。
そして、2つ目の家を紹介してもらったのだが、これも、納得できるものでなかった。
それから8軒ほど周って最後に俺にとって落ち着く家?アパートを紹介してもらった。
「こちら、10部屋あるアパートンと呼ばれる家です。最近、流行りの物件ですね。初期投資は高くつきますが、誰かに貸すことによって定期収入を得られるのを目的として購入される方が殆どです。それに、この庭には馬車を、2台止めれるスペースに井戸も設置されてあります。お風呂はないのですが、近くに公衆浴場がありますので便利です」
2階建てでないのが少し残念だけど、これは良いと思う。
「良いですね。外見は気に入りました」
「それでは、中をお見せしますねー」
鍵を開け中に入ると、1LDKくらいの広さだった。8畳ほどである。
「トイレは各部屋にありますか?」
流石に、全ての家について覚えていなかったので、お姉さんに聞いた。
「はいー。全ての部屋にトイレは常備してありますー」
「ここに決めます。ありがとうございます」
お姉さんにお礼を言って、ロムンさんからもらっているであろうが、チップとして、白大金貨を渡そうとしたら目を見開かれて驚かれた。
白大金貨は、1000万円の価値があるらしい。
それが俺の手元には5枚あるから、5000万円俺大金持ちじゃん。
それから、お姉さんに貨幣について教えてもらったところ
銅貨 『 10円』
大銅貨 『 100円』
銀貨 『 1000円』
金貨 『 10000円』
大金貨 『 100000円』
白金貨 『 1000000円』
白大金貨『10000000円』
ということが分かった。
『どこかの貴族様なのですかー?』
お金の価値を知らない俺の世間の知らなさに疑問を持たれてしまった。
とりあえず、貴族ではない旨を伝えて、今後、お食事を奢らせてもらうということでチップについては解決した。
流石に1000万円は渡せないよ。
この街の領主の知り合いと説明してくれたお陰なのか、元々のこの不動産屋の対応が良いのか分からないが、受け付けのお姉さん(フワァーナ)は、終始笑顔で応対してくれた。
一度、ファルトさんの屋敷に戻り、どこの家に決めたのか報告をしてから街に向かった。
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