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《一日目》変わらぬ者

 僕はいつも、いつも自分を、自分すら守れない。

 なのに、それなのに人を守りたいって何度も思う。

 


 「おい、早く買ってこいよ!。」

 いつものように怒鳴られる。

 「俺、ピザパーン、はーやーくー。」

 そして今日も走らされる。

 今日こそ言わなきゃ、僕が変わらないと…。

 「ごめん、僕お金ないん──」

 「早くしろ。」

 ゾッとする。鋭い刃のような目付きで睨んできた。

 「わ…わかった。」

 怖い、従わないともっとひどい目に遭う。だから歯向かえない。

 購買へ行き頼まれた物を買いにいく。

 あ、僕の分のお昼代が、ない……。でも買わないと。買わないと…。

 買い終われば急いで教室へ戻る。

 「はい、ごくろーーさん。」

 「ねーねー、俺さーメロンパンっていったよねー。」

 「あの、でもさっきピザパンて…。」

 「は?え、冗談だよね?まさか歯向かうつもり?」

 まただ、これで何度目だろう。

 「でも、もうお金ないし。」

 お金がなければ今回は諦めてくれるだろう。

 でも、やはりそうは行かない。

 「じゃぁさ、盗めば?」

 おいおいそれヤバすぎ、などと言ってるくせに一向に止める気配はない。

 「じゃぁさ、土下座してよー、注文したものと違うんだからさー。」

 何とかその場は土下座をして終わったが次間違えたら罰ゲームと言われた。

 そして放課後になればやっといじめから解放される。

 僕の受けているいじめは先生に言ったって解決しない。僕の前にいじめられていた生徒を助けた先生がいじめられそれ以来、いじめを無くそうという活動は言葉だけとなった。

 僕のいじめは入学してすぐ理由もなく始まった。

 いじめられているなんて家族に言えるハズもなくずっと隠し通している。

 家に帰れば、近所迷惑で有名の精神疾患がいる。

 母は、外へ出れないためそして出さないために家を外からロックしている。

 なぜか夜になると叫び出したりして近所迷惑になったりする。



 「ただいま、かあ──。」

 「きゃぁぁぁぁ、誰か来たわあなた!」

 これが僕の日常、だから今さら変わって欲しいなんて思わなくなった。

 「大丈夫、今のは正渡(しょうと)だ、正渡が帰ってきたんだ。さぁ、ご飯にしよう、ね?。狂歌(きょうか)。」

 玄関を抜けリビングへ向かうと母さんが息を乱し、苦しそうに体を縮こまらせていた。

 「母さん、ただいま。」

 「あっ、あんた本当に正渡!?。いやっ、偽者こないで!あなた!助けて!。」

 どうせこうなることも分かってた。だから別に驚くとかリアクションとかそんなのはもうない。

 というかそんな感情はもう湧いてこない。

 キッチンへ行くと父さんがチャーハンを作っていた。

 料理の当番は父さん、僕、と順番になっている。父さんが作れるのはチャーハンしかないため二日に一回はチャーハンなのだ。

 「ごめんな。チャーハンばかりで。」

 「なに?、今さら。別にいいよ。チャーハン好きだし。」

 「そう言ってくれると助かるよ。」

 こんな何気ない会話が今のところこの家族を支えている。だから、こんな会話でもなくなれば《ピンチ》となる。

 「ほら、出来たぞ。」

 皿にのったいつもどうりの大きな半球型のチャーハン。

 リビングへ運びいただきますと箸をとり食べる。

 食事中は会話はほとんどない。大体テレビを見ている。

 テレビって言ってもバラエティーやドラマなどではなくニュース、だから笑いなど微塵も起きることない。

 食べ終わると当番が皿洗いをし、母さんが風呂に入ることになっている。

 その間僕が何をしてるかというと宿題だ。

 しかし自分の分だけではなくいじめっ子の四人分で、あわせて五人分だ。

 何時間かかるだろう。でもやらないと罰ゲームが待っている。

 


 午前二時

 やっと終わった~。

 「ふぁーぁ、疲れた~。」

 途中、風呂に入るなど休憩も入れたが流石に体力の限界だ。

 背伸びをしたら急に睡魔がやってきた。

 布団へ潜ると一分もたたずに眠ってしまった。


 そしてこの日が終わる。

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