お隣さん家は魔王城
「クソッ、酷い目にあったぜ。あの裁判官め、容赦なく首ちょん切りやがった……ん?」
『次のニュースです。昨日、勇者様が様々な罪により死刑が執行されました。勇者様の死刑執行について、インタビューしてみました』
『Q. 勇者死刑について。 A. え? アイツ死んだの!? ざまぁwwww』
『Q. 勇者死刑について。 A. ブフォッwww』
「アイツら許すまじ」
早速勇者は、インタビューに答えていた二人を██することに決めた。
「おい、テメェ」
「なんっで勇者が生きてんだようわぁあああああああ!」
「っし。まずは一人と。もう一人は声だけの出演だっからなぁ。どんなヤツか分からなお前だな」
「えっ、なんで分かんの!? ごめんなさい許してください何でもしますからァ!」
「ほぅ……何でもねぇ。なら、俺の部下になれ!」
こうして、勇者に仲間が出来た。
「部下にしたはいいが、ヒョロヒョロの男なんて役にたつかよ」
「すみませんねぇ、ガリガリのブサイクで」
「いやそこまで言ってねぇ!」
「まぁいいや。ところでお前装備は?」
「いきなり部下にされたのに持ってるわけ……ってあなたに言われたかないですがね! あんた全裸じゃんか」
「大丈夫だ、問題無い。俺にはマイフォン7がある」
「他の作品のセリフパクんじゃないですよ! っていうかスマホで何が出来るんですか!」
勇者は近くの木を切り刻み、割り箸にした。
「随分と器用だな、おい! そのスマホ買った金で装備買ってたらなお良かったんですがね!」
「フッ、そんな褒めるなって」
早くもゲッソリとしてきた部下を他所に、勇者は自慢のポジティブさで上機嫌である。
「よっしゃ! この勢いで一気に魔王城まで行くぜ! Hey Ketu! 魔王城の場所を教えてくれ!」
「魔王城って検索出来んの!?」
「もちろんだ! おっ出たぞ。なになに、東京都の〇〇〇は……ここから3mだ!」
「いや目の前じゃないですか! なんで気づかないんですか!?」
「いやそれお前もだろ」
「あっ……」
部下は盛大にブーメランを放ったが、気を取り直して慎重に魔王城へと踏み込んだ。
「よし、頑張って魔王を倒しましょう!」
「いやダメだ。今倒すとそこで話が終わってしまう」
「何言ってんのか分かんないですが、慎重に行くんですね」
二人が城内を探索していると、突然開けた場所に出た。
「なんだここ!? おい! ここに受付があるぞ!」
「いや意味が分かりま本当だ! ってなんで鼻血出してんですか!?」
「いやほらあの受付の娘……」
「……」
「すみませーん! 魔王討伐しに来たんですが」
「堂々と言っちゃうんですね!?」
部下は勇者の無鉄砲さにため息をついたが、
「はい! 魔王討伐コースですね! 料金は五千円です。それではあちらの列にお並びください」
「いや怪しすぎだろ! コースってなんだよ! 列ってなんだよ! 勇者ァー! 金を払うなぁ!」
「あー? もう払ったわ。早く並ぶぞ」
「なんで勇者が何十人も並んでんだよ! 三時間待ちってどゆこと!?」
どうしても納得出来ない部下だったが、勇者に促され仕方なく列に加わるのだった。