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歴めろ。  作者: 武田 信頼
第二章:学校動乱編
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第二十二話:過去に向かって

♪♪『オオカミ』中年登場ォォォ!!


……って、面白くないですね。皆様のジト目が簡単に想像できます。


何でしょう?? まだ現場に着きません。。。。

決して嫌がらせでも、もはや読者様に対し、告知を裏切ることに快感を覚えているわけではありません。


前書きって、弁明をする場所ではないですね。申し訳ありません。

後ろ向きで前に進むのはここまでにして、どうしても今後の展開で入れたいエピソードであり、間合いを置きたくて一旦ここで切りました。


すいません。。。。(やっぱり弁明している)


ご容赦ください。。。 




            ※※ 22 ※※


 

 『おじさん』こと教授の案内で、三号住居址へと向かう。


舗装されていないあぜ道。大きい幹が続く日陰の農道。時々、見える文明の遺物のような自販機。全て、本体がおよそ錆びついて蔦まで巻き、お金を入れても果たしてドリンクが出てくるのか疑問だ。


 まるで、過去に向かっているつもりが、実はここは『ロストテクノロジー』で未来に進んでいるのでは?

そんな錯覚を覚えるのだった。


 呑気にファンタジーな妄想を繰り広げている俺の隣に並んで歩く灼は、俺の袖をつかんで無言で歩いている。恐怖に怯えているような、あるいは真実を知る事に躊躇っているような……。


 だが、俺は一度だけ、コイツのこんな表情を見たことがある。


 あれは、俺が小学六年で、灼が五年の時だった。


 基本、クラスから異端視されていた灼だが、本人は全く意に介していなかった。やりたいことをやりたいようにやる……、これが今も変わらない灼のスタンスだが、あの時だけは違った。


 登校時の時だった。


 灼は怯えているような、戸惑っているような、そんな顔で言う。


 「平良。あんた、古墳って畿内だけだと思う?」

 「……いや、確かにその時代は『日本史における空白の四世紀』と言われるだけあって、日本は当然、中国にも文献がない。どういう形で発展していたのかは分からない……らしいけど、関東でもいっぱい出てるからなァ。日本全国にあるし、違うと思うぜ」

 「そうだよねッ! あたしたちが住んでる街にだってあるよねェ!!」

 「……あ、ああ」


 俺は、その時灼の意図が全く分からなかった。後で知ったことだが、どうやら俺たちの街に古墳があると言った灼はクラスから、嘘つき呼ばわりされて、仲間はずれにされていた。


 突然、灼が行方不明になった。その日は、俺は友人宅でゲームをして帰宅したので灼には会っていない。常に女子と一緒にいると思われたくなかったので、定期的に灼と距離を取っていたのだが、その日に限って間が悪かった。


 我が家に来た灼の母親は泣き崩れ、しきりに俺の母が慰めている。灼の父親はその時、海外にいた。

俺の父親は警察官なので対応が早かった。すぐに近所に声を掛けて捜索隊を編成した。『110番』しなかったのは、双月家への配慮と、付近の住民に不安を煽らない機転だと、今は思う。


 大人たちが捜索に出かけたとき、俺はふいに思った。すぐに灼の部屋へ行き、それはすぐに見つかった。灼の母親は全くこの意味が分からなかったのだろうが、俺は違う。俺は家を飛び出し、目的地へ向かった。


 小高い丘に入り、懐中電灯を当てながら、奥へ進むと女の子の鳴き声が聞こえる。思わず叫んだ。


 「灼ァ!!」


 突然、鳴き声は止んだ。


 「た、平良なの?」

 「灼、どこだ!? どこにいる!?」

 「……こ、ここだよ?」


 俺はその声を頼りに灼を見つけた。二メートルぐらいある窪地に落ちて、大きな瞳に涙いっぱい溜めて見上げていた。

 

 「待ってろ。今、引き上げてやる」


 言ったはずの俺も、足を滑らして窪地へ落ちてしまった。その瞬間、壁面が地滑りを起こした。俺は灼を庇いつつ、被害の受けない場所へ身を移す。土ぼこりが収まり、視界が明るくなったところで、俺と灼はとんでもないものを見た。

 

 そこは古墳の石室だった。おびただしい土師器の欠片に、円筒埴輪。当時、どの時代に類するのかは分からなかったが、俺と灼は興奮した。


 何とか窪地をよじ登り帰宅すると、俺は父親に、大人たちの前で思いっきり頬を殴られた。

 途端に灼が大声で泣いた。


 そんな、ご町内を騒がす事件は掲載されず、何故か地方紙に『小学生古墳を発見する。後期高塚式か』という見出しで世間に出回った。


 灼は嘘つき呼ばわれされなくなり、仲間はずれもなくなったが、俺にとって災難が始まった。毎朝、灼が我が家に来るし、やたら俺に歴史の話で突っかかってくるし。いつも傍に居たがるし。 


 ……そして、現在に至る。


 コイツの顔を見ながら、思わず忌まわしき過去を思い出した。

俺の視線に気づいたのか、露骨に不満顔を見せた。


 「何よォ?」

 「……別に」


 俺の言葉に、袖を掴んでいた指を離し、思いっきり踵で俺の足を踏む。

言葉が出ないまま、カカシのように飛び跳ねていると、


 「あんさん達、ほんま仲がええなァ。あんま見せつけんでなァ」


 おっとり笑う、結衣先輩。

 

 いや、ちょっ!? なんで今のでそうなります? 


 「いやはや、君たちはホントに面白い」


 ついには『おじさん』教授まで笑い出した。

 

 


これから、少しずつ平良と灼の過去話が何からの形で入ってくるかもです。


遅々と進まない中で、「これ、何の話?」とならないよう流汗淋漓いたしますので

ぜひともお見捨てなく、宜しくお願い致します。

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