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歴めろ。  作者: 武田 信頼
第一章:設楽原編
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第0話:独白


             ※※ 0 ※※




 「信長公記にあるように、設楽原したらがはらの合戦における勝敗は鉄砲だ。敵の攻勢を削ぐには有効だからな」

 

 俺は努めて冷静に言う。


 「馬の機動力は伊達じゃないわ! 火縄銃なんかで間に合うわけないじゃん!」


 対して、目の前のコイツは闘志むき出しで反論してくる。



  ここは、公立東葛山高校、歴史研究部。

  ただ今、文化祭の出し物について会議を開いていたのだが……。


 「……三段撃ちとか、言われてるけど、そんな効力はない。あんただって知ってるでしょ? 実験考古の結果がどうなったかを」


  それは、知っている。

  たしか、騎馬軍団が圧倒的な力を見せたよな……。


 「こっちだって、文献を考察したうえで言ってるんだ」


 俺の反論に容赦なく、コイツは罵倒を浴びせてくる。


 「あんた、一体何年、あたしと歴史見てきたの? ずぇーたい、ありえないっ!」



  ……また始まった。

 

何かにつけ『ありえない』を連呼する少女。

  

 コイツ……双月灼ふたつきあきらは、俺こと谷平良たにたいらと仲が良い幼馴染だった。

 親の気まぐれで出かけた博物館の展示物に、いつの間にか魅了されてしまう。


 気が付けば、古文書を貪る強烈な文献学マニアの俺と。

 遺物・遺産を探求する鮮烈な考古学マニアのあきらが出来上がっていた。


 結果……。


 文献学と考古学が過去の考証に対して、論争を繰り返す毎日に至ってしまったのだ。


 

 正直に言おう……。


 俺はもうこんな生活に辟易しているのだ。




  

    

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