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ハルを愛する人  作者: NES
2/7

ハルを愛する人 (2)

 雨の音を聞くだけで思い出す。

 ホワイトノイズみたいなサァーっていう静かな音じゃなくて、ボツボツボツボツって感じの、ビニールの雨合羽を大きめの雨粒が叩く音。

 遠くでごぉーっていう低い音がずっとしている。カタカナじゃないな、ひらがなで「ごぉー」って感じだ。これは増水した川の流れる音。

 音の情報ばかり思い出すのは、きっと本当は聞きたかった他の音が一切聞こえなかったからだと思う。

 音以外のことでも、覚えていることは沢山ある。顔に張り付いた濡れた髪の気持ち悪さとか。べっちゃりと濡れた服の冷たさと重さとか。泥と草の混じった臭いとか。どくどくと脈打つ自分の心臓の鼓動とか。

 足の傷の痛みとか。

 ああ、夢をみてるんだな、とヒナはまるで他人事みたいに考えた。この時の出来事は本当に頻繁に夢にみる。自分でも、良く飽きないなと思うが、飽きないんだから仕方がない。それだけ強く刷り込まれている記憶だし。

 それに、それだけ大事な思い出だった。

 ヒナが八歳の時だから、小学校三年生だったか。弟のシュウが産まれた。

 弟が出来ると判った時は無邪気に喜んでいたが、実際に産まれてからは、ヒナにとってはつまらないことの連続だった。

 お父さんは元々出張ばかりで家にいない。お母さんは赤ちゃんのシュウにかかりきり。ヒナが何を言っても、何を望んでも、生返事ばかりでちっとも構ってくれない。

 シュウはくにゃくにゃしているだけで、ヒナがちょっと突っつくと泣きだして、お母さんに怒られる。可愛くないとは言わないけど、シュウばっかりお母さんを独り占めして、ずるい。ヒナだって、お父さんが居ないことが多い中、お母さんが相手になってくれないととても寂しい。

 確か小学校の展覧会だった。ヒナの絵は先生にとても褒められた。お母さんにも見てもらいたかった。ヒナ凄いね、上手だねって褒めてもらいたかった。

 でも、お母さんは展覧会には来れなかった。シュウがいたからだ。シュウが少し熱があると言って、お母さんはずっと家にいた。

 展覧会にはハルのお母さんが来てくれた。ハルと、ハルのお母さんと一緒にヒナの絵を見た。ハルのお母さんはヒナを褒めてくれた。でも、そうじゃない。ヒナが欲しかったのは、ヒナのお母さんの言葉。

 ハルのお母さんにはとても申し訳なかったが、ヒナはうつむいたまま何も言えなかった。ハルがそんなヒナのことを黙って見ていた。多分、その時にはもう、ハルは察してくれていたんじゃないかって、そう思ってしまうのは虫が良すぎるだろうか。

 家に帰ると、お母さんがシュウの横に並んで眠っていた。シュウを優しく抱いていた。外では雨が降り始めている。雨で濡れたヒナが帰ってきて、誰もいない薄暗い玄関で「ただいま」って言って歩いて、お母さんとシュウの姿を見て。

 ヒナの居場所は、ここには無いんじゃないかって、そう思ってしまった。

 何処に行こうとしていたのか、何をしようとしていたのか。何処にも行けないって、何も出来ないって、そんなことは判っていたはずだ。いくら子供でも、そのくらいの理屈は理解出来る。

 でもじっとしていられなかった。お母さんとシュウの寝顔を、ただ黙って見ていることなんて出来なかった。そんなことをしていたら、ヒナは壊れてしまいそうだったから。

 黄色い雨合羽を着て、ピンクの長靴を履いて。ヒナは薄暗い中、自転車で走り出した。雨粒がビニールを叩く音、きいきいという自転車の音。後は、自分のすすり泣く声。

 ペダルを漕ぐ足に力が入る。何も考えない、考えたくない。暖かい部屋で、お母さんとシュウが幸せそうに寝ている。嫌だ、考えない。ヒナは何処にいればいいんだろう。考えたくない。

 頭の中がぐるぐるする。涙が出てくる。声が出そうになる。寂しいよ、つらいよ、嫌だよ。いろんな感情と、言葉が爆発しそうになる。自転車のハンドルを、ぎゅっと強く握る。

 濡れたゴム長靴が、にゅる、という感触で滑るのが判って。

 ヒナは、あっ、と思ったけど。

 その時には、もうヒナの小さな身体はもんどりうって。

 自転車と一緒に、崖の下に吸い込まれていく所だった。

 ・・・やっぱり良く覚えているのは、音だ。

 身体を叩く雨の音。雨合羽が水を弾く音。遠くから聞こえる川の音。

 起き上がろうとすると、足が酷く痛んだ。太ももに、大きな擦り傷が出来ている。血と泥と雨で、ぐちゃぐちゃになった傷口が、ずきずきと疼いている。それほど血は出ていないみたい。でも、こんなに大きな怪我をしたのは初めてだ。実際、この傷痕は高校生になっても残っている。

 ヒナは大声で泣いた。お母さんを呼んだ。助けて欲しいと訴えた。

 雨の河川敷には、誰もいなかった。もちろん、ヒナのお母さんだっていない。ヒナの泣き声も、大きな雨音にかき消されてしまう。ヒナは自分の家にまで届くくらい大きな声で泣いたつもりだった。でも、実際にはすぐ近くにいてもほとんど聞き取ることが出来ない程の、小さな声にしかなっていなかった。

 お母さんの声が聴きたい。優しい言葉で、大丈夫って言ってもらいたい。泣きながらも、ヒナは耳を澄ませる。助けてくれるはずの人の声、来てくれるはずの人の声。聞こえてくるはずだ。聞こえてくるよね。お願い。

 雨脚が強くなって。足の痛みが強くなって。

 ヒナは、本当に自分のいる場所が無くなってしまったという、暗い絶望感に襲われた。

 ヒナは一人ぼっちだ。家に帰っても、お父さんは仕事でいない。お母さんはシュウばっかり。ヒナは一人で帰ってきて、一人でご飯を食べて、一人でお風呂に入って、一人で寝る。

 頑張って絵を描いても、誰も褒めてくれない。こうやって家を飛び出しても、誰も探しに来てくれない。誰も追いかけて来てくれない。

 怪我をしても、誰も助けてくれない。泣いても、誰も慰めてくれない。誰も、大丈夫だって言ってくれない。

 誰も。

 誰も。

 誰も・・・

「ヒナ!大丈夫か、ヒナ!」

 だから、この時のハルの声は、一生忘れない。

 絶対に忘れない。あの時の絶望を、孤独を、痛みを、何もかもを吹き飛ばして、ヒナを照らしてくれた光を。

 ヒナを助けてくれたハルのことを、ヒナは絶対に忘れない。

「ハル!ハル!」

 ぼろぼろになって泣きながら、ヒナはただハルの名前を呼び続けた。他の言葉なんて忘れてしまった。だって、他に何が必要なんだろう。ヒナには、ハル以外に必要なものなんて何もない。

 ハルはヒナの横にしゃがむと、ヒナの足の怪我に気が付いた。うっと、つらそうな顔をする。擦り傷だが、範囲が広い。皮が破れて、じくじくと膿が沸き出している。

「怪我してるのか?立てないのか?」

 ヒナは泣きながら、ただ何度もうなずいた。何も考えられない。ハルが喋ってる。それに応えないといけない。嬉しい。助けて欲しい。もう、何もかもが混ぜこぜだ。

「わかった、おんぶするから、負ぶされ!」

 今思い出しても、この時のハルは、とにかくカッコいい。

 ヒナは別に太っているわけではなかったけど、痩せているってこともなかった。身長も体重も、多分当時のハルとそんなに差は無かったはずだ。決して軽いとは言えない。

 ハルは、ヒナを背負って崖をよじ登った。

 正直に言うと、その辺りの当時の状況がどうであったのかは、ヒナは正確には記憶していない。

 何しろ、ハルの背中にしがみついた後は、ずっと目を閉じていた。

 ハルの身体に回した手にぎゅっと力を入れて、ぴったりとしがみつく。ハルの体温を感じる。暖かい。空っぽだった胸の奥が満たされていく。足の痛みはまだ残っているけど、ずきずきとどきどきが混ざって、奇妙なハーモニーが頭の中で響いている。

 知らない間に、涙は止まっていた。もう泣いてない。ハルの背中に顔をうずめていたら、なんだか落ち着いてしまった。ハルに抱き着いてたら泣き止むなんて、変なのって少し可笑しくなった。

 後でハルに聞いた話。

 ハルにも、四歳下の弟がいる。名前はカイ。ハルと違って秀才っぽい感じなんだけど、それはまあちょっと置いといて。

 カイが産まれて、やっぱりハルもヒナと同じに、両親にあまり構ってもらえない時期があった。両親がどちらもカイに取られてしまったみたいで、ハルも家の中に居場所が無い感じ、疎外感に苛まれた。

 だから、ヒナに弟、シュウが出来た時、ヒナの様子を見てハルはとても心配していた。ハルが感じたのと同じに、ヒナも酷く寂しい思いをしているのではないかと、とても気にかけていた。

 怪我をしているヒナを見つけた時、ハルは最初は誰か大人を呼んで来ようとしたらしい。確かに、小学生にどうにか出来る状況でもないだろう。

 一度その場を離れようとしたところで、ハルは思いとどまった。泣いているヒナを見た。ヒナをここに置いて、何処かに行ってしまっていいのだろうか。ヒナは何故こんな所に一人でいるのか、ハルはその理由をよく判っていた。ヒナを一人にしてはいけない、そばについていなければいけない。

 ハルは、自分の力でヒナを助ける手段を選んだ。

 ハルの判断は結果として正しかったと、ヒナはそう考えている。ヒナが今、自分のこと、そしてハルのことを信じられるのは、何よりもそのおかげだ。

 それに。

 ハルの背中で、ハルにしがみついて、ハルの体温を感じて。

 ヒナは、ハルのことが好きになった。恋をした。

 それまでも、ハルの家とは家族ぐるみで付き合いがあって、ハルとは仲の良い友達だった。

 曙川と朝倉で、出席番号も近い。ちょっと乱暴というか、ぶっきらぼうな所もあるけど、まあ男の子だしそれは仕方ないだろう。

 良く一緒に遊ぶ友達。友達としての、好き。

 それを一気に振り切って、全く違う「好き」になってしまった。

 ヒナは、やっぱり「好き」という言葉で全部を片付けるのは気に入らない。だって、ハルはヒナにとって、他に替えの無い、たった一つの居場所。それを一言で片付けるなんて、どうしても納得出来ない。

 ヒナを助けてくれる、ヒナを探してくれる、ヒナを見つけてくれる、ヒナをわかろうとしてくれる。

 本当に大切な、大好きなハル。

 ハルに助けられた後、色々あって、ハルと、ハルのお母さんと一緒に家に帰って。

 お母さんに泣かれて、怒られて、謝られて。

 その間、ヒナはずっとハルの手を握っていた。だってもう、離さないと決めたから。絶対に離さない。ここは、ヒナの場所。何があっても譲らない。絶対にだ。

 あまりにヒナが頑固なので、ハルが家に帰る際にちょっと困らせてしまったんだけど、それもまた良い思い出だ。

 その時から、ハルはヒナの一番。ヒナの特別。

 色々言われることもあるけど、ヒナはハルのことだけを考えて、ハルのためだけに生きてきた。胸を張って言える。ヒナは、ハルのことが好き。大事なことなので何度も言う。ヒナは、ハルのことが好き。

 だんだん夢から覚めてくるのを感じる。前半はつらくて悲しいけど、後半に救いがあっていい話だ。何回見てもいい夢だ。本当に飽きが来ない。

 そういえば、昨日ハルから告白されたんだった。好きです、付き合ってくださいって。うわぁ、それはスゴイ。

 ヒナはハルのことをずっと好きだったけど、ハルがヒナのことを好きかどうかはまた別な問題だ。ハルに好かれるために、ハルの好みの女の子になるために、ヒナだって全く何もしてこなかったわけではない。

 幼馴染という距離は本当に微妙で、放っておいてもくっつくみたいな扱いをされるのはちょっと腹立たしい。ヒナがハルの隣に居続けるために、どれだけ涙ぐましい努力をし続けて来たと思っているのか。近くにいるからこそ意識されない可能性について、もう少し理解があっても良い気がする。

 とは言っても、正直自信はあった。だって、好きでもない娘のことを雨の中探しに来てくれる?怪我しているところを背負って助けてくれる?一人にしてはいけないなんて言ってくれる?

 そして、この度ついに告白までしてもらった。オッケーしないはずが無い。だって、ハル以外の誰かなんてもう考えられない。この気持ちをずっと大切にしてきたからここまで来れたって、大声で叫びたいくらいの幸せだ。

 いよいよ彼氏彼女。ははは、なんだそれ。どうすればいいんだろう。何すればいいんだろう。何か特別な事とかしなきゃいけないのかな。

 朝一緒に登校するとか?あれ、もうしてる気がするな。実は半分待ち伏せみたいな感じなんだけど。

 携帯でお話ししたり、メッセージのやり取りしたり?うん、当たり前のようにやってるね。

 えーと、お弁当でも作ろうか?それくらいかなぁ。でも予告なしで作ってくのはマズイか。ハルのお母さんにも相談しないとだし。ハルの好きな食べ物とかはもう知ってる。でも毎日作るとなるとレパートリーも考えないと。ああすごい、新妻の悩みみたい。うひひ。

 気が付いたらすっかり目が覚めていた。もう何処からが夢で、何処からが妄想だったのかが判らない。目をつぶったまま、うへらうへらと怪しい笑みを浮かべてしまっている。

 起きないとな、でもまだ目覚まし鳴ってないしな。早起きしたとしてどうしようか。ちょっと念入りに髪とかいじってみようか。うん、そうだ。今日もハルの前で可愛くいたい。

 よし、とヒナは目を開けて、一気に上半身を起こした。

「随分楽しそうな夢をみていたようじゃないか」

 起き抜けに聞きたくない声を掛けられて、ヒナの機嫌は一気に最底辺にまで下降した。なんだこいつ、普段は呼んでも出てこないくせに、なんでこんな時だけ出てくるんだ。実に不愉快だ。

 顔を横に向けると、ベッドのすぐ脇にナシュトが立っている。すらりとした長身、浅黒い肌に、ムキムキの筋肉質。腰巻に豹の毛皮とか、エジプトの神官ってハナシだけど、ヒナに言わせればどっかの総合格闘技の選手みたいだ。

 そしてサラサラの銀髪。ルビーを思わせる赤い瞳。高い鼻、彫りが深くて、それでいてスッキリとした顔立ち。はいはい、イケメンイケメン。

 朝起きたらベッドの横に異国風イケメンが立ってましたー、きゃー。ふざけんな。ラノベか。

「何?人の寝顔見て何やってんの?それが神様のやることなの?」

 この神様には本当に困ったものだ。いくら不測の事態とはいえ、こんな神様が自分と一体化しているとか、どういう拷問なんだ。イケメンならなんでも許されると思ったら大間違いだ。

「我が何をしていようが我の勝手であろう。お前こそ自意識過剰なのではないか」

 ああむかつく。なんだこのイケメン。本気で何やってもいいと思ってるんじゃないのか。神様にでもなったつもりか。そうか神様か、こん畜生。

 しかしナシュトに何を言っても無駄だと、ヒナはとっくに諦めていた。所詮は神様、人間とは考えも価値観も異なる。ナシュトに出会ってから、色々と話をしたり、助けてもらったりもしたが、残念ながら理解しあえるとは到底思えない。

 そもそもこうやって突然半裸で女子のベッドの脇に立つことを何とも思わないような奴と、一体何を解りあえるというのか。タッグでも組めばいいのか。お断りだ。

「何か用があるから出てきたんでしょ?着替えるんだから、さっさと用を済ませて消え失せてよ」

 ナシュトが突然部屋の中に現れること自体にはようやく慣れてきたのだが、流石に着替えやお風呂、トイレなどは気になってしまう。ナシュトの姿が見えていなくても、存在が一部同化してしまっている以上気分の問題でしかないらしいが、ヒナにとってはその気分が大事、重要だ。

 いくら神様とはいえ、嫁入り前の娘のプライベートを四六時中見てて良いいわれなどあってはならない。あってたまるか。しかもこっちは晴れて彼氏持ちだ。今までだって十分汚された気がして、酷く傷付いたりしたんだ。このバカ神。

「なに、ようやくハルと男女交際を始めるということで、一言お祝いをと思ってな」

 ぐっはぁ、なんだこのキザ男。見た目だけじゃなくて中身もイケメンじゃなきゃ気が済まんのか。さぶいぼ立つわ。

「あー、それはありがとうございますー」

 とりあえず棒読みでお礼だけ言っておく。ナシュトにしてみれば、それはナシュトのためでもあることなのだから、お祝いくらいは述べておきたいのかもしれない。よろしい、その気持ちだけは受け取っておこう。ヒナは神様より寛大だ。

「こちらとしてはさっさと解放してもらいたいところなのだが・・・」

 愁いを帯びた表情も素敵です。

 が、残念でした。人間関係って言うのはそんなに単純なものではありません。

「前進したんだからいいでしょ。これもお互いのため」

 ナシュトがヒナと同化しているのは、不慮の事故というか、ヒナが頑として自分を譲らなかったことが原因だ。この神様はとんだ貧乏くじを引いた結果、こんな女の子に自身の生殺与奪の権利を委ねる結果になってしまった。ホント、世の中は何が起こるか判らない。

 その境遇を思えば、哀れと言えば哀れだ。同情くらいはしておこう。

 もっとも、だからと言って簡単に解放してやるつもりなど毛頭無いが。

 迷惑料として十分こき使ってやらないと全く持って割が合わない。乙女の私生活に密着出来ただけで普通はお釣りがくるだろう。

 ヒナは自分の左の掌を見下ろした。銀色の光が、鍵の形を浮かび上がらせている。ヒナと一体化した、銀の鍵。ナシュトの宿る、夢の地球カダスへと続く道しるべ。

 本気でいらないと嫌っていたが、使い方によっては便利かもしれないと、最近になってようやく思い直してきたところだ。

「で?言うこと言ったんならもう消えてよ。邪魔」

 噛みつくぐらいの剣幕でヒナが吠えると、ようやくナシュトは姿を消した。すっと、前触れもなく完全に視界からいなくなる。今まで自分が誰かと話をしていたのかと不安になるくらい。やれやれ、いても消えてもわずらわしい。

 最高の目覚めだったはずが、一瞬で最悪の目覚めに変わってしまった。とにかく着替えよう、朝食を摂ろう。

 折角の彼女初日を、こんなことで台無しにされてたまるもんですか。

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